史上初、隕石の中から地球外の未知のタンパク質を発見か?

Frantisek Krejci from Pixabay
  1990年、アルジェリアに「Acfer 086」という隕石が落下した。これを高精度な質量分析にかけたところ、そこに未知のタンパク質が存在することが明らかになったそうだ。


 隕石から地球外の起源を持つタンパク質が報告されたのは史上初であるそうだ。
【史上初となる地球外のタンパク質か?】

 そのタンパク質は、「グリシン」と「ヒドロキシグリシン」でなるアミノ酸鎖、鉄、酸素、リチウムで構成されている。

 また原子核が陽子と中性子で構成される「重水素」(水素の同位体。普通の水素には中性子がない)が豊富であるという。
 
 発見したハーバード大学とプレックス社の研究グループは、このタンパク質に「ヘモリシン(hemolithin)」という名称を提案している。

 地球上で作られたアミノ酸に重水素が大量に含まれることはない。『arXiv.org』(2月22日投稿)で公開されている査読前の研究論文によれば、それは原始太陽の分子雲が起源であることを示しているという。

 「地球外の起源を持つタンパク質が報告されたのはこれが初めて」であるそうだ。

[画像を見る]
H. Raab
via Wikimedia Commons


【生命の誕生に奇跡はいらない。宇宙でも化学反応が生じる】

 念のために言っておくと、この研究グループはヘモリシンが宇宙人がいる証拠であるとは主張していない。

 それでもなお、この発見が正しいものであれば、宇宙生物学者の好奇心をくすぐらずにはいられないだろう。地球の生物が持つのと同じような複雑な化学物質が、宇宙の奥深くでも自然に形成されたということを意味しているからだ。


 それは正真正銘の生化学系が生じるためには、奇跡などいらないということでもある――ならば、宇宙のいたるところに生命が存在するかもしれないではないか。

 こうした考えはもはや常識外れのものではない。地球以外でも複雑な化学反応が起きるという科学的証拠はどんどん集まっているのだ。

 たとえば、土星の衛星タイタンの分厚い大気には、大きな有機分子が渦巻いているし、タンパク質の構成要素であるアミノ酸とて隕石や彗星の中から発見されている。

[画像を見る]
NASA
【本当に未知のタンパク質なのかは今後の調査次第】

 いずれにせよ、先走ってはいけない。研究論文はまだ査読を待っている状態で、これをパスするかどうかはまだ分からない。

 また次のような意見もある。カリフォルニア大学の海洋化学者によると、ヒドロキシグリシンが隕石や前生物的実験で発生したという報告はこれまでに一度もなく、それがタンパク質の中で発見されたこともないのだそうだ。

 となると、それが隕石の中で発見されたというのは、かなり疑わしくなってくる。そう、可能性としては、発見されたタンパク質が地球上で隕石に付着したとも考えられるのである。
 
 さて、真偽のほどはどうだろうか? 今のところはじっと査読の結果を待つよりなさそうだ。

References:space/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:史上初、隕石の中から地球外の未知のタンパク質を発見か? http://karapaia.com/archives/52288565.html
編集部おすすめ