
ワタリガラスは、その体に反して脳のサイズが大きく、人間と同等の社会生活能力があり、道具を使いこなすだけでなく仲間と助け合い、感情までも共有すると言われている非常に知能の高い生き物だ。
イギリスに住むロキ(Loki)と名付けられたワタリガラスは、飼い主を亡くした後、保護施設へ引き取られた。
そこで出会った世話係の男性と深い絆を育むようになり、今ではとても懐いて、本来の聡明さをどんどん発揮しながら元気に暮らしているようだ。
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The Gwah Diaries - Episode 1
【元の飼い主の死後、数週間放置されていたワタリガラスのロキ】
イギリスのエセックス州にある鳥の保護施設『Coda Falconry』には、個性あふれる鳥たちが保護されているが、中でも注目されているのはワタリガラスのロキ(7歳)だ。
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この施設で働くエリオット・マナリンさん(30歳)は、ビデオ制作に従事する傍ら、これまで何年も大型の鳥に対してトレーニングを行っているベテランボランティアだ。
ある日、施設のもとにブリーダーから連絡があり、ワタリガラスの保護を依頼された。聞けば、ワタリガラスをペットとして飼っていた飼い主が、誰にも気付かれずに亡くなっており、数週間カラスがケアを受けることなく放置されていたという。
孤児になってしまったワタリガラスを引き取ってもらえないかということで、エリオットさんらスタッフは、施設にそのカラスを迎え入れ、「ロキ」と名付けた。
【ロキは放置されていた間、人間不信に陥っていた】
ワタリガラスは頭が良く行儀もいいとブリーダーから聞いていたエリオットさんだったが、ロキは当初まるで反対の態度を見せたそうだ。
放置されていた経験から、慢性的な不安を抱えるようになったロキは、心身ともに衰弱して人間を怖がり、とても攻撃的になっていた。
エリオットさんは、そんなロキに根気よく付き合いトレーニングを重ね、愛情を示して懸命にケアをし、何年もかけてロキとの絆を育んでいった。
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そして、ロキはエリオットさんの努力に応えた。今やロキとエリオットさんは、大親友と呼べるほどの強い絆で結ばれているという。
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【「買い戻し」行為で知能の高さを見せるロキ】
トラウマ的経験を乗り越えてようやく再び人間との関りを楽しむようになったロキは、本来の知性を発揮し始め、エリオットさんに対しても愛情を示し、ハグしてもらうことが大好きになった。
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毎日とてもユニークな振る舞いを見せてくれるロキは、特に贈り物の交換をすること、パズルゲームをすること、エリオットさんにイタズラをしかけることが大好きなのだそうだ。
また、ロキは腕(口)のいい泥棒でもあり、くちばしに収まるものならお金や食べ物などなんでも持ち去って隠してしまうという。
エリオットさんが最も興味深いと感じたのは、ロキが盗んだアイテムごとに「買い戻し」価格を付けていることだ。
例えば、掃除用スポンジにはおやつとしてぶとう3つ分、南京錠にはチョコレートビスケットというように、もらうおやつによって盗んだ物の価値を判断してエリオットさんに戻すのだ。
そのためエリオットさんは、ロキが定期的に盗んだ物を買い戻すためのいろんなおやつを用意しておかなければならないようだ。
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【「いろんな面で動物を超えて人間らしい」】
ロキの日常をInstagramやYouTubeでシェアしながら、数年にわたりロキの世話をしているエリオットさんは、ロキについてこのように話している。
ロキは、ジェラシーや喜び、期待などの複雑な感情表現が、鳥ではなく人間のように豊かです。
ゲームを通して表現される驚くべき問題解決スキルにも驚かされますが、非常に社交的で、それを第一に優先しているようなところもあり、私はロキに対しては鳥という感覚で見ることをとっくに止めてしまいました。
ロキは、会話の状況を察して鳴き声で使い分けもしています。こちらが冗談を言ったりする時には笑い声で返し、イタズラで何かを盗んだりした時には邪悪な声で鳴いたりします。
ロキは動物よりも、より人間的であると言えるでしょう。
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エリオットさんは、毎日ロキとのお喋りを楽しんでいる。
そして何より、ロキもエリオットさんとの関りをとてもハッピーに感じていることは、これまでにシェアされた数多くの動画や写真からもうかがい知れる。
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:飼い主の死後、人間不信となっていたペットのワタリガラスが、保護施設の男性と深い絆を育む(イギリス) http://karapaia.com/archives/52288974.html
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