
発達障害のデジタル療法が承認 / Pixabay
ADHD(注意欠陥・多動性障害)や自閉スペクトルラムなどの発達障害は、これまで飲み薬が一般的だったが、テレビゲームをプレイし、感覚刺激や運動刺激を与えることでその症状を緩和させるデジタル療法が注目されている。
昨年、アメリカの医療ベンチャー企業アキリ(Akili)社が発達障害を治療するためにアクションゲームを開発し、一定の効果をあげているというニュースをお伝えしたが、その効果が認められ、子供のADHDの治療を目的とするゲームが、アメリカ食品医薬品局(FDA)により承認を受けたそうだ。
FDAによると、なんらかの疾患の治療目的でゲームを利用した療法が承認されたのは今回が初めてだという。
【ADHDのデジタル療法として認可されたテレビゲーム】
今回FDAの承認を得られたのは、アキリ社の「エンデバーRX(EndeavorRX)」というアクションゲームであり、史上初めて薬として販売されるゲームとなる。
600人の子供を対象とした7年の研究を経て完成したiPhoneとiPad用ゲームで、8~12歳の子供の注意欠陥・多動性障害(ADHD)に対して治療効果があるという。
薬なので、これを手にするには普通の薬と同じく医師の処方箋が必要になる。
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image by:EndeavorRx
【1日25分のプレイで治療効果】
エンデバーRXでは、ホバーボードに乗ったキャラクターを操作して、障害物を避けたり、アイテムを集めたりする。
ADHDの子供に4週間にわたり1日25分間プレイしてもらったところ、3分の1が「少なくとも1つの測定可能な客観的注意力の尺度で、注意欠陥を示さなくなった」という。
1ヶ月間の治療で、その効果は最大1ヶ月持続する。欲求不満や頭痛といった副作用もあるそうだが、従来の薬に比べれば軽いものであるようだ。
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The first FDA-approved prescription video game: EndeavorRX (Trailer)
【補助的な役割として有効】
ただし、エンデバーRXのようなゲーム療法がすぐにADHD治療の主流になるようなことはなさそうだ。
実際、アキリ社の研究でも「確立・推奨されたADHD治療の代替療法として利用すべきと提案するには不十分」であると述べている。
ゲーム療法はあくまで他の治療法や教育プログラムと併用されることが念頭に置かれているという。そうは言っても、ゲームが、治療の手段として進化する姿を見るのは感慨深い。
今回の事例以外にも、重度の火傷を負った患者の痛みをヴァーチャルリアリティで癒すという試みなどがあるそうだ。
ADHDのゲーム治療の効果に関する論文は『The Lancet』に公開されている。
A novel digital intervention for actively reducing severity of paediatric ADHD (STARS-ADHD): a randomised controlled trial - The Lancet Digital Health
https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500%2820%2930017-0/fulltext
References:FDA / businesswire / akili/ written by hiroching / edited by parumo
追記:(2020/06/20)タイトルを一部訂正して再送します。
記事全文はこちら:ゲームが薬に。ADHDの治療に役立つテレビゲーム療法が治療法として正式承認される(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52291943.html
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