
スマホ依存率が高いほど催眠術にかかりやすい /iStock
とにかくスマホが手放せず、近くにないと不安になる。いつでもどこでも、寝る間際まで、気がつくとスマホに夢中になっている。
いわゆるスマホ依存症というやつだが、そんな人ほど催眠術にかかりやすいという研究結果が報告された。
時間を忘れてスマホに没頭しているとき、それは催眠によるトランスと同じような状態にあるのだそうで、スマホ漬けになりやすい人ほど、催眠による暗示に従いやすいのだという。
【3つの共通点―没入感・時間感覚の喪失・自動性】
マギル大学(カナダ)をはじめとするグループの本研究は、世界で初めてスマホ依存症と催眠との関係を調べたものだ。
同グループによると、スマホの濫用と催眠術には、「没入感」「時間感覚の喪失」「自動性」という3つの共通点があるという。
スマホのヘビーユーザーは、気がつくと(自動性)時間を忘れて(時間感覚の喪失)画面に夢中になって(没入感)してしまう。こうした特徴からは、そうした人が催眠によるトランスに似た状態にあることがうかがえる。
ならば、日頃からスマホ漬けの人は、もしかしたら催眠術にかかりやすいかもしれないと研究グループは考えた。
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【スマホの依存度が高いほど催眠術にかかりやすいことが判明】
研究では、大学生641名(平均年齢21歳)に催眠術を利用した実験に参加してもらった。
まず学生に催眠状態に導くよう作られた45分の音声を聞いてもらう。それから「あなたは頭が前に落ちてしまいます」や「しばらく目を開けることできません」といった類の暗示を12種類出す。
このセッションが終わったら催眠を解いた上で、今度は質問に回答してもらい、スマホに依存している度合いを評価した。質問内容は、たとえば「スマホが手元にないとソワソワする」といったものだ。
その結果、暗示にしたがった回数が多い人ほど、スマホ依存症スコアが高いことが明らかになった
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【解離と社会性】
研究グループによると、催眠のかかりやすさとスマホに依存しやすい傾向の背景には、2つの心理学的概念が関係しているという。
1つ目は、”私"という感覚や周囲の環境から切り離されたときの状態を指す「解離」だ。過去の研究では、簡単に催眠術にかかってしまう人や、問題のあるツールの使い方をしてしまうような人は、解離しやすい傾向にあることが分かっている。
もう1つは「社会性」だ。研究グループによると、催眠のかかりやすさは社会的サインに対する反応のよさと関係している可能性があるとともに、スマホを人付き合いのツールとして利用することとスマホ依存症とにも関係があるのだそうだ。
【たまにはスマホを遠ざけてみる】
スマホ関係の企業は、できるだけ多くの利用者からデータを集め、より没入感あふれるデバイスやアプリ作りを目指している。
それは思わずハマる楽しい体験だが、その代償として、依存症のような問題行動に発展する恐れもないわけではない。たとえば今回の研究では、スマホ依存症になるリスクが高いと評価された学生は、女性51%、男性39%だったそうだ。
そうしたリスクから身を守るためには、スマホをあえて手の届かないところに置いたり、ひっきりなしに届く通知を制限したりと、少しスマホを遠ざけてみるといいそうだ。
この研究は『Frontiers in Psychology』(6月25日付)に掲載された。
Frontiers | Hypnotised by Your Phone? Smartphone Addiction Correlates With Hypnotisability | PsychiatryReferences:psypost / written by hiroching / edited by parumo
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyt.2020.00578/full
催眠術といってもテレビでやってるような「ほんとにかかってるのかよ!」的なアレじゃなく、代替医療としての催眠療法みたいなガチのやつは一度でいいからちょっとかけてみてほしいとは思う。
かかる人とかからない人がいるという話だけど、私の場合ADHDだから集中力なさすぎてかからなそうな予感はしたりしなかったり。
記事全文はこちら:スマホ漬けの人ほど催眠術にかかりやすいことが判明。その没入感は催眠のトランス状態と同じ(カナダ研究) http://karapaia.com/archives/52293023.html
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