
ニワトリになりきった女性/pixabay
7月に報告された医学情報誌『Tijdschrift Voor Psychiatrie』によると、ベルギーに住む50代の女性が、一時的に自身を「ニワトリ」と思い込み、そのように振舞った稀な症例があったという。
女性を診察した医師は、女性が自分を動物だと思い込む精神障碍「獣化妄想」を患っていると診断した。
その原因は、女性が家族を失ったことでうつ病を患っていたことに関連しているかもしれないという。『Oddity Central』などが伝えている。
【突然、ニワトリのような行動をした女性】
ベルギーのフランダース市にあるKUルーベン大学の医師らは、54歳の女性が自身をニワトリだと思い込み、一時的にニワトリのように振舞ったという奇妙な症例を報告した。
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その匿名の女性は、20年にわたる既婚者で、薬局で安定した職を得ていたという。
しかしある日、女性の兄が、庭で女性がまるでニワトリのように頬を膨らませ、「コッ、コッ、コッ」と鳴きながら、その後突然雄鶏のように甲高い鳴き声をあげたのを見て驚愕し、すぐに女性を病院へ連れて行った。
【女性は、自分を動物だと思い込む「獣化妄想」になっていた】
女性は、この奇妙な症例が現れる前、何らかの薬物やアルコールを摂取していたという事実はなかった。
しかし、医師に会うと女性は「自分はニワトリで、脚に新しい感覚がある」と述べたという。
医師は、女性が自分を動物だと思い込む精神障碍「獣化妄想」を患っていると診断した。
結局、女性の症状は一時的だったようで、女性は再び自分が人間であることを自覚し、ニワトリのように振舞った時の記憶がないと話し、家族から一部始終を聞くとかなり恥ずかしい思いをしたようだ。
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【家族を失いうつになっていたことと関連】
KUルーベン大学の研究では、「臨床的な獣化妄想の症例は稀」としており、病因についても様々な見解があると述べている。
基となる精神障碍から引き起こされる場合もあるが、脳の構造もしくは機能的傷害に続発する可能性もあるという。
今回の女性の場合、唯一の関連性が「最愛の身内を喪い、苦しんでいた女性がうつ病になっていた」ということだったようだ。
症例報告によると、1850~2012年の間に医学文献および歴史的文献での獣化妄想の事例は、56件報告されている。
その中では、患者はライオンやトラ、ハイエナ、サメ、ワニ、カエル、牛、猫、ガチョウ、サイ、ウサギ、馬やヘビ、鳥、イノシシ、スナネズミやミツバチなど、実に様々な動物だと信じ込んでいたことが挙げられている。
この症状は、女性のように一時的で終わる場合もあれば、数十年続くこともあり、都会に住む人よりも農村地帯や非工業地域に住む人に見られる傾向があるという。
研究論文では、結論としてこの状態を一般的には統合失調症やうつ病、また双極性障碍などの根底にある精神障碍と関連付けているが、まだ完全には理解されていない部分もあるとも記している。
なお、女性は1年後には職場に復帰したということだ。
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:獣化妄想。自分をニワトリだと思い込みニワトリのように振舞った女性(ベルギー) http://karapaia.com/archives/52293384.html
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