希少な白いキリン、2頭殺されたけど最後の1頭の生きている姿が確認される(ケニア)

白いキリン、最後の1頭が生きていた image credit:KWS
 ケニアのイシャクビニ・ヒロラ保護区で、白いキリンの親子密猟者によって殺害されたと報道されたのは、今年3月10日のこと。

 白変種のキリンはケニアの同地区でのみ3頭が確認されており、2頭の死はこの希少種にとって大打撃となり、最後の1頭と推測されているオスの白いキリンの生存が懸念されていた。

 しかし、その後、最後の白いキリンが元気に仲間といる姿が確認されたようでほっと一息だ。
【白いキリンの親子発見は大きな話題に】

 ケニアの北東部ガリッサ郡にあるイシャクビニ・ヒロラ保護区で、真っ白なキリンが初めて発見されたのは2017年6月のことだ。

 この白いキリンは先天性色素欠乏症(アルビノ)ではなく、白変種(リューシズム)という皮膚細胞の色素の合成が阻害される珍しい遺伝子疾患で生まれたことが判明しており、軟組織では濃い色素を生成することから目は黒っぽい褐色をしていたようだ。

 神々しいほどの真っ白なキリンの親子は、当時SNSで大きな注目を浴びた。

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White giraffe

【2020年3月、白いキリンの2頭が殺害される】

 白いキリンは度々ネット上でも話題になっていたが、今年3月に悲劇が起こった。3月10日、キリンの親子が密猟者により殺害されたことを発表したのだ。


 ガリッサ郡の村で、自然保護官がメスの白いキリンとその子の白骨化した死体を発見したという。

 その4か月ほど前には、親子そろって3頭の姿が確認されていたことから、2頭はその後すぐに殺害されたとみられている。死体の様子からも、少なくとも4か月は経っていると推測された。

 希少な白いキリンの3頭のうちの2頭、しかも世界最後のメスが殺されたことについて、同保護区のモマメド・アフメドヌール所長は、当時次のように話していた。

この珍しく、希少な品種を守ってきたケニア全土、そしてイジャラのコミュニティーにとって、2頭の殺害は大きな打撃だ。

白いキリンを保護しているのは、世界中でこの地域だけであり、研究と地域の観光にとって長期的な損失となる。

 この大きな打撃は、自然保護活動を今後も支援し続けていくことへの警鐘であるとも口にした同所長。しかし、安全対策には言及していないことが一部で問題視されたようだ。

 
【オスの白いキリンは生きていた!】

 当局がこの件について引き続き捜査を行っている中、6月30日の朝にオスの白いキリンの姿が目撃された。


 2頭が殺害されて以降、残りの1頭は生存していると思われていたが、その姿は確認されていなかった。

 しかし、イシャクビニ・ヒロラ保護区で仲間のキリンと一緒にいるところを目撃されたのだ。

 写真がTwitterでシェアされると、再び大きな注目を浴び、ユーザーらからはオスのキリンの存在を確認できたことへの喜びの声と、2頭の殺害への悲しみの声が改めて多数寄せられている。

【キリンの個体数は40%以上減少】

 国際自然保護連合(IUCN)によると、キリンの個体数はこの30年間で40%も減少しているという。


 去年の7月、IUCNはケニアとタンザニアに分布するキリンの亜種マサイキリンを絶滅危惧種(Endangered)に指定すると発表した。

 アフリカ全土でキリンの密猟が増加していること以外にも、人間の自然への進出による生息地の破壊、紛争などでキリンが死亡するケースも増えており、今キリンには静かな絶滅の脅威が迫っている。

 また、白いキリン2頭が殺害された時にも問題視されたが、デジタル化により自然と簡単に繋がれる時代になってしまったことで、SNS上で希少な野生生物が密猟者に狙われやすいという環境が出来上がっていることも懸念されているようだ。

 厳しい野生環境の中では、通常の野生動物の子供の生存率は厳しい。特に白いキリンなど目立つ外見は、捕食者に一層狙われやすいことから生き抜くにはかなりの困難が伴うことは必至だ。

 母ときょうだいを殺害されてしまったこのキリンも、今後その安全性が懸念されるが、無事に生き延びてほしいものだ。

 なお、2頭を殺害した密猟者は現在も特定されておらず、その動機も未だ不明ということだ。

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:希少な白いキリン、2頭殺されたけど最後の1頭の生きている姿が確認される(ケニア) http://karapaia.com/archives/52293548.html
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