赤タマネギからサルモネラ菌の集団感染。アメリカとカナダで900人近くが食中毒

赤玉ねぎからサルモネラ菌の集団感染 /iStock
 コロナ・パンデミックは収束の気配を見せないままだが、今度は北アメリカでサルモネラ菌の集団感染が発生しているそうだ。

8月11日の時点で、アメリカとカナダで879人が食中毒による体調不良を訴え、114人が入院したという。


 アメリカ食品医薬品局(FDA)によれば、食中毒の原因はカリフォルニア州のトムソン・インターナショナル社が生産した赤タマネギで、同社はすでに5月1日以降に出荷された全タマネギの回収を発表している。

 しかし、食べてから症状が出るまでに最長1週間の潜伏期間があることや、症例が報告されるまでに2~4週間程度かかることを考えると、被害は今後も拡大するとの見込みだ。
【赤タマネギはアメリカとカナダ各地に出荷】

 汚染された赤タマネギはアメリカとカナダ各地の卸売業者・レストラン・スーパーなどに出荷された。また回収対象には、まるごとのタマネギだけでなく、惣菜などに加工されたものも含まれている。

 両国の当局は、タマネギの汚染が不明な場合は、廃棄して手を洗うよう注意を喚起。タマネギをきちんと調理したとしても、調理前に菌が他の食材や調理器具に付着している恐れがあるので、食中毒のリスクは残るとのことだ。

 最新の情報は『FDA(アメリカ食品医薬品局)』のサイトに掲載されている。

[画像を見る]
Pixabay
【暑い夏の日、食中毒に注意】

 『MSDマニュアル』によると、サルモネラ菌のよくある感染経路は加熱が不十分な鶏肉や卵などだが、火が通っていない牛肉や豚肉、加熱殺菌されていない乳製品、汚染された海産物や生鮮食品でも感染することがある。

 またペットとして飼われている爬虫類もサルモネラ菌に感染している可能性があるそうなので、触ったら忘れずに手洗いをしたほうが良いそうだ。

 感染した場合、6~48時間の潜伏期間を経て、吐き気・嘔吐・発熱・下痢(ときに粘血便)といった症状が現れる。

 一般にサルモネラ菌の食中毒で死亡することはほとんどなく、今回の集団感染でも死者は出ていないが、菌が腸から血管に入ってしまうと、重症化することもある。特に5歳未満の子供、65歳以上の高齢者、免疫系が弱い人はリスクが高いそうだ。


[画像を見る]
サルモネラ菌 / Pixabay
【進化したサルモネラ菌】

 ちなみにサルモネラ菌は普段はヒトや動物の消化管内に潜んでいるのだが、最近では植物の細胞内に侵入できるよう進化したものも報告されている。

[動画を見る]

 コロナにも気を付けなければならないが、真夏は食中毒、そして熱中症にも気を付けよう。

References:arstechnica/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:赤タマネギからサルモネラ菌の集団感染。アメリカとカナダで900人近くが食中毒 http://karapaia.com/archives/52293667.html
編集部おすすめ