
男性の性的欲求をつかさどる遺伝子を特定/iStock
それは生きる喜びをもたらすものでありながら、ともすれば人生を踏み外す羽目にもなる。そんな男性のリビドー、つまりは性的欲求を司る遺伝子が特定されたそうだ。
いざというときにはまったくダメで、今じゃないというときに発動してしまう。男性の性欲というのはやっかいなものだとは噂には聞いていたけれど、今回その遺伝子が特定されたことで、新たな治療法が生み出されることが期待されている。
【オスの性行動を左右する遺伝子と酵素】
その遺伝子は「Cyp19a1」という。男性ホルモン「アンドロゲン」を女性ホルモン「エストロゲン」へ変換させる「アロマターゼ」という酵素の情報が記載されており、脳と精巣で発現する。
アロマターゼは触媒として作用して、男性ホルモンの「テストステロン」が女性ホルモン、エストロゲンの一種「エストラジオール」というホルモンに転換する手助けをする。
そして、このエストラジールの形成は、さまざまな動物のオスの性行動を左右することが知られている。
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【精巣と脳の両方から性欲が発動】
先ほど述べたように、アロマターゼを作るCyp19a1は、精巣と脳で発現する。
去勢されたオスには性欲が薄れる傾向があるために、精巣内のアロマターゼが男性の性欲をうながしているだろうことはかねてから推測されてきた。
では、脳内のアロマターゼはどうなのか? これがはたす役割については、これまでそれほどよく分かっていなかった。