親に育てられない亀の子も人間の子と一緒。顔を認識し好意的な反応を示す(英研究)

子育てされていない亀の子も顔を好む/iStock
 泣き叫ぶ赤ちゃんに「いないいないばあっ!」と顔を見せると、あら不思議。ニコニコと笑ってくれた。
自分の顔をこんなに喜んでくれるなんて感激だ。

 このように誰かの顔を好むのは、なにも人間の赤ちゃんだけではない。サルの子供やヒヨコ、あるいはワンちゃんだって、顔に(それがシミュラクラ現象で、顔のような3つの点であっても)好意的な反応を示すことが知られている。

 生まれたばかりの赤ちゃんのこうした習性は、動物が子育てをすることを思えば理解できるかもしれない。生まれた直後に見る他者の顔は、きっと自分にとって大切な存在であるはずだ。だから、他者の顔を好むような本能が芽生えたとしてもおかしくはない。

 そしてその習性は親が子育てをしない亀にも備わっているという。孵化したての赤ちゃんは、3つの点を書いて顔に似せた模様に近づいていったのだという。
【子育てをしない動物でも親の顔を好むのか?】

 動物だからといって必ずしも子育てをするわけではない。もし、そうした子供をほったらかしにする動物にも、顔を好む習性があったのだとしたら、それは一体何を意味するのだろうか?

 英ロンドン大学クイーン・メアリー校をはじめとする研究グループは、子育てをしないチチュウカイリクガメ属の生まれたての子供の亀を対象に、顔に対する反応を調べる実験を行ってみた。

 『PNAS』(9月14日付)で報告された実験では、両脇に模様が描かれている箱に子ガメを入れて、そのときの反応を観察した。

 すると多くの子ガメは、顔に似せた模様に近づいていったのだという。


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image by:Gionata Stancher
【リクガメの子供も顔に引き寄せられる】

 人間には3つの点が集まった図形が人の顔と見るようにプログラムされている。これはシミュラクラ現象と呼ばれているのだが、亀も同様のようだ。

 描かれた模様は、片方が顔を模したデザイン(2つの目と口/鼻の模様)で、もう片方が顔ではないデザイン(たとえば顔デザインを逆さまにしたもの)だ。

 これをチキュウカイリクガメ属の5種、計136匹の孵化したての子供で試してみたところ、7割が顔のデザインの方へ近寄っていたというのだ。

 大人になったチチュウカイリクガメは、たとえ同種の仲間であったとしても互いに避けて、群れを作ることはない。

 だが、小さな子供の頃は、必ずしも人付き合いが嫌いなわけではないのかもしれない。仲間の顔を好み、近づいていく習性があるようだ。

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image by:PNAS
【子育てと顔を好む習性は関係なかった!?】

 チチュウカイリクガメは単独行動をする動物で、3000万年前から親が子供の面倒を見ることなく進化してきた生き物だ。

 それなのに、その子供までが顔を好むということは、こうした習性が本当のところは子育てと関係がないことを示唆しているという。

 研究グループの仮説によると、顔を好む習性は、3億年以上前に存在したは虫類・哺乳類・鳥類の共通祖先にまでさかのぼることができる古いメカニズムなのだという。

References:A unique trait shared by tortoises and humans changes a scientific belief/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:親に育てられない亀の子も人間の子と一緒。顔を認識し好意的な反応を示す(英研究) http://karapaia.com/archives/52294938.html
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