なんと!木材から透明なガラスのような素材を作り出すことに成功(米研究)

透明なガラスのような素材を木から作ることに成功 image by:USDA FOREST SERVICE
 これは木(気)になる木というやつだろう。アメリカの林産科学研究(Forest Products Laboratory)をはじめとする研究グループが、ガラスのように透明なパネルを木材から作り出すことに成功したという。


 この木でできた透明パネルは、現在建物に使われているガラスよりあらゆる点で優れた未来の窓ガラスになるという。そうなったら、窓ガラスという呼び方も「窓木」に代わる日もそう遠くないのかもしれない。
【現在の窓ガラスの欠点】

 窓枠にはめる素材として現在、もっとも一般的な素材はガラスだろう。現時点では窓の素材として一番優れているかもしれないが、いくつか欠点もある。

 まず熱を簡単に通してしまうことだ。寒い日や暑い日、窓ガラスのそばがスースーと冷えたり、その反対にジリジリと暑かったりするのはそのせいだ。おかげで冷暖房の効率も下がり、余計なエネルギーコストがかかることになる。

 またガラスを製造する際に排出される二酸化炭素も無視できず、年間で2万5000メートルトンにもなる。持続可能な社会を目指すのなら、この点も改善しなければならない。

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【バルサ材から作るガラスのような透明パネル】

 そこで、成長が速く、密度が低い「バルサ」の木から作られたこの透明パネルの出番だ。

 バルサ材を常温の酸化浴槽で、ほぼ透けて見えるくらいまで漂白。さらに「ポリビニルアルコール」という合成ポリマーを浸透させると完成する。


 ほぼ透明な素材で、そこに含まれる天然由来の「セルロース」とエネルギーを吸収するポリマーのおかげで、ガラスより軽く、しかもはるかに丈夫だ。

 ガラスよりもずっと大きな衝撃に耐えられるだけでなく、バラバラに砕け散ったりはせず、曲がるか裂けるだけなので安全でもある。

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【持続可能かつ再生可能な素材】

 性能だけでなく、コストの面でも優れている。熱効率がガラスの5倍高いので、ガラス窓にはつきものの冷暖房のコストを削減することができる。

 持続可能かつ再生可能なリソースから作られ、生産プロセスで排出される二酸化炭素も少ない。さらに生産には既存の加工機器を使えるので、メーカーも採用しやすいだろう。

 まさに未来の窓にぴったり。この透明な木なら今の混迷の時代をはっきり見通すことができるかもしれない。

 この研究は 『Journal of Advanced Functional Materials』に掲載された。
A Clear, Strong, and Thermally Insulated Transparent Wood for Energy Efficient Windows - Mi - 2020 - Advanced Functional Materials - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.201907511
image by:usda/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:なんと!木材から透明なガラスのような素材を作り出すことに成功(米研究) https://karapaia.com/archives/52295352.html
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