ゾクっとする怪談話「未来からの電話」

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 虫の知らせ・・・・体から分離した魂が幽霊となり、愛する者のところに現れて、亡くなったことを知らせるという不思議な現象は世界共通のようだが、今回紹介する物語はちょっと変わっている。

 舞台はスイス。
アメリカ出身の電気技師のライリーは、ロシア出身の女性、アーシアと結婚したため、ロシア系コミュニティの人々とも仲良くなった。

 その後ライリーはアーシアと離婚しアメリカに戻ったのだが、アーシアとは離婚後も良好な関係を続けていた。ある日アーシアから電話がかかってくるのだが... 

【ロシア人女性と結婚し、ロシア系コミュニティにかかわった電気技師】

 ジョン・パウエル・ライリーは、電気技師として成功し、1950年代から60年代の間に、ロシア出身の美しい淑女アナスタシア・"アーシア"・スマグワイと結婚した。

 ふたりの生活の拠点はスイスのジュネーブで、ロシアからの亡命者コミュニティである白系ロシア人社会とのつきあいが多かった。

 そのコミュニティの中でもっとも人気があったのは、タマラ一家だ。タマラは、マーラという25歳の娘と母のバボーシャの3人で暮らしていた。

 一家の稼ぎ手であるマーラは、語学にたぐいまれな才能のある女性で、国連で通訳・翻訳者として働いていた。美しく聡明で優しく、誰からも愛されていたという。

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【離婚してアメリカへ戻った男性に元妻からの電話】

 その後ライリーはアーシアと離婚することになった。アーシアがピエール・ソウニアというフランス人男性の元に走ったのだ。

 ライリーはアメリカに戻り、タマラ一家とも音信不通になっていた。離婚したにもかかわらず、ライリーとアーシアは良い友だち関係を築き、よく電話で話していた(結局、ふたりは1998年に寄りを戻した)。


 数年がたち、ある朝早くにアーシアが泣きながら電話をしてきた。「ああ、ジョニー、大変なことが起こったの。マーラが死んだのよ」

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 ライリーはショックを受けた。彼の知る限り、マーラは健康そのものだった。アーシアの話によると、マーラは友だち数人とランチをとっているときに、オリーブの種を喉に詰まらせ、救急車が到着する前にこと切れたのだと言う。マーラは一ヶ月前に結婚したばかりだった。

 ライリーは、どうにもやりきれない悲しみに苛まれた。人生を謳歌していたあれほどすばらしい女性がこんな些細なことであっけなく死んでしまうなんて、人生とはなんと不条理なことかと痛感した。

 ライリーは友人たちにもマーラのこの悲劇を伝え、この世のこうした理不尽なありようをなんとか論理的、理性的に解釈しようとした。

 1995年に、ライリーはFateMagazine誌に寄せた記事の中でこう書いている。

確かなことがひとつある。わたしたちは、宇宙の物理法則が例外なく支配する世界に住んでいる。
神でさえそれを無効にすることはできない。

あなたがどれほど優れた人間でも、もし崖から突き落とされたら確実に死に、いくらあなたが善良であっても、それはあなたを死から救ってはくれない。

スピードをあげて走ってくる車の前にうっかり飛び出してしまったら、どんなに立派な人格の人間であっても、その避けられない結果にいかなる影響も与えることはできないのだ


【その後...】

 ライリーとアーシアは、その後二度とマーラのことを話題にしなかった。それから1年ほどたった頃、アーシアが電話してきた。ライリーには彼女が相当うろたえているのがすぐにわかった。

「ああ、ジョニー、大変なことが起こったの。マーラが死んだのよ」

 困惑したライリーは答えた。「わかっているよ、ダーリン。彼女がオリーブの種を喉に詰まらせたんだろう」一年前にも同じことを言われたことをアーシアに思い出させた。

 アーシアはそれはありえないと言った。

 マーラはちょうど前日に死んだばかりだったのだから...

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PixabayReferences:strangeco/ written by konohazuku / edited by parumo

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