意識は「物質と電磁気エネルギー」であるとする新理論。もしそうならAIに意識を宿すことも可能となる(英研究)

意識は物質とエネルギーであるという新理論 /iStock
 意識とはいったいどこからくるのか?それは脳のみで発生しているのか?超高速で膨大なデータを演算処理する意識の不思議な力の源泉は何なのか?
 
 科学者は常にその答えを探し求めている。

 最新の研究によると、ある研究者は、意識は「物質とエネルギー」で生じているという新理論を展開した。
この理論が正しければ、自意識を持ったAIの開発も可能だという。
【意識するほど難しくなる意識に関すること】

 「愛とはため息でできた煙のようなもの」これはロミオとジュリエットのセリフである。ロミオが口にしたこのセリフは、ほとんど関連性がない「愛」という感情、「ため息」という動作、「煙」という物理的なガスが、シェイクスピアの頭の中でつなぎ合わされて紡ぎ出されたものだ。

 これを読んだ者は特に違和感を感じることもなく、一編の詩として認識し、愛という人間の感情の中でもっとも甘美でときにほろ苦い感覚を想起することができる。

 もっと身近な例をあげるなら、すぐ目の前の景色がある。その景色は、色や質感、輪郭や動きといったいくつもの要素で構成されているというのに、1つの景色として統合されて認識されている。


 脳内のそれぞれ異なる場所にある情報はどのようにして1つのものとして認識されるのか? これはまだ未解決のままであり、脳科学では「結びつけ問題」と呼ばれており、未解決問題の一つである。

 いくつもの計画や実行段階がありながらも、それらを一瞬で把握し、1つのものに統合して解決する。これは人間なら子供でさえ容易くやってのけるが、飛躍的に進歩したはずのAIにはとても真似できない代物だ。

 超高速で膨大なデータを演算処理するAIにもできないことをやってのける意識の不思議な力の源泉は何なのか?

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【意識の概念は「物質と魂」から「物質とエネルギー」へ】

 かつて意識は「物質」と「魂」でできていると考えられていた。

 現在でも、こうした二元論を信じている人は大勢いるだろうが、科学的には、意識は脳のみで発生しているという一元論が主流だ。

 それは無数の神経細胞の発火が作り出している現象であり、意識を理解しようとする研究も神経細胞の活動を観察することで行われる。


 だが「CEMIフィールド理論(意識の電磁気情報場理論)」を提唱する英サリー大学のジョンジョー・マクファデン教授は、現代的な二元論的を持ち込むことで結びつけ問題を解決しようとしている。

 『Neuroscience of Consciousness』(9月22日付)に掲載された論文によれば、意識は「物質と魂」ではなく、「物質とエネルギー」によって生じているのだという。

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【情報を持つ電磁気エネルギーが意識を生み出す】

 それは科学的な事実に基づいている。脳内で発火した神経細胞は、ただ電気的なシグナルを送信するだけでなく、周辺の組織に電磁気エネルギーの波をも送っている。

 こうしたエネルギーは往々にして無視されがちだ。電磁場は脳波図や脳磁図で脳を計測すれば普通に検出されるが、これまで脳の機能とは関係がないものとされてきた。


 だがマクファデン教授によれば、電磁気エネルギーは神経発火と同じ情報を携えている。ただし、それは神経細胞を伝う原子の流れではなく、非物質であるエネルギー波としての情報だ。そして、こうした豊富な情報を含んだ電磁場こそが、意識を織り成し、自由意志や自発的な活動を生み出す源泉なのだという。

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【AIに意識が宿る日は来るか?】

 超高速で複雑な演算をこなす現代のコンピューターであっても、意識の一瞬のひらめきを真似できないのは、このことと関係がある。

 神経細胞の発火からコンピューターの演算処理まで、ほぼありとあらゆる情報は経時的に処理されている。だが、エネルギー場だけはそれを空間的に統合することができる。
だから電光石火の速さで情報を統合できるのは意識だけなのだ。

 しかしこれを踏まえた上で技術開発が進めば、意識が宿り、自ら思考するロボットやAIも実現できる可能性があるという。

References:surrey.ac. / medicalxpress/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:意識は「物質と電磁気エネルギー」であるとする新理論。もしそうならAIに意識を宿すことも可能となる(英研究) http://karapaia.com/archives/52295872.html