
人間の細胞を培養した人工肉 image by:Beazley Designs of the Year exhibition
人間の体の15~20%はタンパク質で構成されている。ところが今、世界に「タンパク質危機」が迫っており、世界的な人口の増加などの理由から、2025~30年には、現在の畜産業や漁業では社会のタンパク質需要を満たせなくなると懸念されている。
その為、従来の食肉に代わる代替肉の開発が急ピッチで進められている。植物由来のベジミートや、動物や魚の細胞を培養した培養肉などだ。
そしてこの度新たに開発されたのが、人間の細胞と血液を培養して作る人工肉だ。これなら人間が食べる肉を人間の細胞で培養できる為、食肉生産を人間だけで完結することができるのだ。なにやら共食いめいた気配がしなくもないが技術的にはそうではないという。
【ヒト細胞と血液から作られた培養人肉ステーキ】
現在、英デザインミュージアムで開催されている「Beazley Designs of the Year」では、米国の科学者とデザイナーグループが人体の細胞から培養した人肉ステーキが展示されている。
その「Ouroboros Steak(ウロボロス・ステーキ)」は、自分のほっぺの内側から採取した細胞に、やはり人間の血液から採取された血清を与えて培養する。
ウロボロスとは、自分の尻尾を噛んで環になったヘビや竜の姿をシンボル化したもの。ウロボロス・ステーキはそのイメージ通り、自分自身の血液と細胞だけで食肉生産を完結することができる、環境にやさしく持続可能な培養肉となっている。