圧倒的パフォーマンスを発揮する超集中状態「ゾーン」に入るための方法

ゾーンに入るための方法/iStock
 某バスケ漫画で有名となった「ゾーン」だが、ゾーンに入ると、スポーツであれ、ゲームであれ仕事であれ、まるでその行為と完全に一体になったかように、思い通りに心や体が動き、無敵感を得られるという。

 我を忘れるほどに没頭してしまえば、圧倒的パフォーマンスを発揮できるので、ぜひともゾーンに入る方法を知りたいところだ。


 英リンカーン大学をはじめとするグループによるアスリートを対象にした研究によれば、ゾーンには2種類あり、入るコツは目標設定の仕方にあるのだという。
【2種のゾーン、フローとクラッチ】

Psychology of Sport and Exercise』に掲載された研究は、圧倒的なパフォーマンスを発揮したアスリートに、その数時間から数日後にインタビューしてそのときのことを語ってもらい、ゾーンの詳しい特徴について調べたものだ。

 それによると、彼らはゾーンには2つの種類があるらしきことを口にしているという。たとえば、ある探検家は「ゾーンには間違いなく2つの状態がある」と語り、マラソン走者は「レースは2種類あるような感じだ」と述べている。

 研究グループは、それぞれ異なるタイプのゾーンを「フロー」と「クラッチ」と呼んでいる。

 フローは、行為に完全に没頭した状態で、まるで自動的に行っているかのように楽々と行うことができる。それはあらゆるものがカチッとハマっているかのような感覚だ。

 一方クラッチは、自分で作り出すことができる。ここぞという場面で、意図的に集中を高め、底力が発揮された状態だ。

 スポーツの世界では一般に「クラッチ・パフォーマンス」と知られており、1987年にNBAの伝説的選手マイケル・ジョーダンが1989年のプレイオフで見せた「ザ・ショット」などが有名だ。

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The Shot: Michael Jordan's iconic buzzer-beater eliminates Cavs in 1989 NBA playoffs | ESPN Archives

【プレッシャーが必要なクラッチと自由が必要なフロー】

 クラッチ・パフォーマンスは、ここ一番の大勝負といったプレッシャーがかかる場面で起こる。

 マラソンなら、レース終盤でこのまま行けば自己最高記録や優勝が狙えそうだという状況が挙げられる。
スポーツ以外の場面でも、たとえば、大事な会議に間に合うためには次の電車に絶対に乗らねばならず、懸命に駅へ向かって走っているというような状況があるだろう。

 一方、フローはこれまで遭遇したことのない状況や、いろいろ試行錯誤しているような場面で起こる。

 たとえば初めてのゴルフコースでプレイしたとき、マラソンで初めてのルートを走ったとき、真っ白なノートでブレインストーミングをやっているときなどだ。こうした状況ではプレッシャーや周囲の期待などはなく、ただ自由に探求することができる。

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【コツは目標設定の仕方にあり】

 それぞれのゾーンに入るには目標の種類が重要だという。

 クラッチ・パフォーマンスが発揮されるのは、大きな結果が手に入りそうで、何をすべきか分かっているときだ。目標実現へ向けて、ぐっと底力を開放するのだ。

 課題を終わらせるために徹夜してみたり、締め切りを守るために遅くまで作業したり、自己新記録を更新するために普段以上に頑張ってみたり——そんな経験は誰にでもあるだろう。

 このとき鍵になるのは、はっきりとした目標があり、それを達成するために何をするべきかきちんと理解していることだ(最後の1キロを5分以下で走れば自己新記録など)。明確な目標があれば、力を発揮できるのはある意味当然だ。

 だがフローの場合は少々違うようだ。探究できる状況でなければならない。
プレッシャーや周囲の期待といったものから自由でなければならないのだ。

 目標はオープンであることが大切で、たとえば「次の5キロをどのくらい速く走れるか」「ゴルフでどのくらいのスコアを出せるか」といったものでなければならない。

 こうした上限や制約のないオープンな目標は、プレシャーや期待といったものがなく、また少しずつ自信を深めていくことができる。フローに入りやすいのはこうした状況であるそうだ。

References:Let it happen or make it happen? There's more than one way to get in the zone/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:圧倒的パフォーマンスを発揮する超集中状態「ゾーン」に入るための方法 http://karapaia.com/archives/52296912.html
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