
太陽の黒点の高画質画像 NSO/AURA/NSF
まるでサウロンの目、魔王の邪眼のように見る者を威圧するこの画像は、太陽の黒点をこれまでで最高の高解像度で捉えたものだ。
画像はハワイ、ハレアカラ天文台のダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡が2020年1月28日に撮影したもの。
黒点は幅1万6000キロという巨大さで、熱いガスと冷たいガスが流入し、暗い中央部分から放射状の筋となっている様子を観察することができる。
【太陽の黒点が鮮明にくっきりと】
『Solar Physics Journal』(12月4日付)に掲載されたこの黒点の画像は、従来のものよりも2.5倍解像度が高く、太陽の構造を細部まで映し出している。
黒点の中心は磁場の密度が高く、熱を遮ってしまう。そのために周囲よりも温度が低く、太陽の表面が約6000度であるのに対して、黒点の中心は4000度、半暗部なら5500度程度。黒く見えるのはこのためだ。
小さいが太陽の活動を目で推し量ることができる唯一の指標で、黒点が増えればそれだけ太陽は活発で、減れば停滞していると推測できる。
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NSO/AURA/NSF
【地球に影響する太陽活動】
アメリカ国立太陽天文台のFriedrich Woger氏は、「我々物理学者は、モデルを使って太陽で観測される現象を予測するために、観察結果とモデルを比較します。全体的にはそうしたモデルはとてもよくできていますが、細部が肝心なのです」と語る。
「観察結果は、予想通りのものでしたが、細かい部分は違っており、画像は内部プロセスを詳細に明かしてくれています。」
こうしたことが大切なのは、それによって予測モデルの精度を改善できるからだ。
日頃から私たちの地球を明るく照らしてくれている太陽だが、それだけでなく太陽風・コロナガスの噴出・太陽フレアといった活動もまた地球に干渉し、それはときに社会に混乱をもたらす。
たとえば1972年8月7日、大型の太陽嵐が発生し、地上で激しい磁気嵐が吹き荒れたおかげで、電波や通信ネットワーク、電力システムなどの障害が現実に起きている。
事前に太陽の活動を予測し、万が一に備えられるような体制作りが重要なのはそうしたわけだ。
過去20年にわたり、太陽活動の背景にあるプロセスの解明が試みられてきたが、道はまだ半ばだ。
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First sunspot observed by the Inouye Solar Telescope
References:Inouye Solar Telescope Releases First Image of a Sunspot - NSO - National Solar Observatory/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:サウロンの目のようだ。太陽の黒点が史上最高の高解像度で撮影される http://karapaia.com/archives/52297283.html
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