
銀河系には多くの滅亡した文明がある説 / Pixabay
温暖化や核など、人類には自滅の恐れがあるさまざまな問題に直面している。NASAジェット推進研究所とカリフォルニア工科大学の研究グループによると、どうもそれは人類だけの宿業ではなく知的生命体の宿業であるようだ。
これについて『arXiv』(12月14日投稿)に投稿された論文では、こう述べられている。
「知的生命が自滅する可能性が高いのだとすれば、その存在の証拠がほぼない、あるいは皆無だったとしても驚くには当たらない。」
【ドレイクの方程式のアップデート】
アメリカの天文学者フランク・ドレイクは、この宇宙に存在する地球外文明の数を求める方程式を考案した。これはカール・セーガンによって世に広く知られるようになり、今では「ドレイクの方程式」と知られているが、最新の研究はいわばそのアップデートだ。
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地球型惑星をともなう太陽に似た恒星の数、危険な放射線を放つ超新星が起きる頻度、適切な条件の下で知的生命が誕生する確率とそれまでの時間、そして高度な文明が自滅する傾向――これらは、知的生命の発達に影響すると考えられる要因だ。
研究グループは、これらの要因を考慮しつつ、銀河系(天の川銀河)の進化をモデル化し、既知の要因に基づいて生命が誕生する確率を推測。そのピークは、銀河が形成されてから80億年後、中心から1万3000光年離れた宇宙であることが判明したという。
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銀河系の年齢(Y軸)を銀河中心からの距離(X軸)に対して数十億年単位でプロットしたもの。銀河が形成されてから80億年後、銀河中心から13,000光年後に文明のホットスポットがあることを示している。
【我々は遅れてやってきた】
ちなみに地球は銀河の中心から2万5000光年離れたところにあり、私たち人類が地球上に文明を築き上げるようになったのは、天の川形成から135億年が経過してからのことだ。
つまり地球は銀河の辺境にあり、私たち人類は天の川に登場した宇宙人としてかなり遅れてやってきた存在ということだ。
それでも生命がそれなりに頻繁に誕生するもので、いずれは知的生命にまで進化するのだとすれば、太陽に似た恒星がたくさんある銀河中心から1万3000光年離れた宇宙には、おそらく今も文明があるだろうと考えられるという。
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【圧倒的多数の文明が自滅した可能性】
そうした今日もなお存在する文明のほとんどは、歴史の浅いものである可能性が濃厚であるようだ。
というのも長期的に見ると、知的生命には自滅する傾向にあるからだ。
この論文によるなら天の川における文明誕生のピークは50億年以上も前のことだが、この期間のうちに当時あっただろう文明の大半は自滅してしまっただろうと考えられるそうだ。
はたして文明はどのくらいの頻度で自滅するのか? この部分は一番不確実で、だが同時に文明の数を推定するにあたって一番重要な要素だ。
しかし仮にきわめて低いと想定したとしても、この天の川にかつて存在した圧倒的多数の文明はすでに消え去っている可能性が高いという。あなたが見上げる星空の輝きは、もしかしたら遠い昔に存在した高度文明の残光かもしれない。
References:livescience / nypost/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:銀河系には膨大な数の滅亡した知的生命体による文明があるかもしれない http://karapaia.com/archives/52297725.html
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