ほうれん草がEメールで危険を知らせてくれる!植物を利用したコミュニケーション技術

危険を察知するとEメールで知らせてくれるほうれん草/iStock
 じっと黙っているかのように見える植物だが、実は高度なコミュニケーションスキルを持っている。危険が迫ると仲間に助けを求めたり、あるいは通信を傍受したりとスパイのようなことまでやってのける。


 米マサチューセッツ工科大学の科学者は、植物の性質を利用して、爆発物を察知するとEメール(電子メール)で知らせてくれるほうれん草を開発した。

 日本では、「報告」「連絡」「相談」を分かりやすく「ほうれん草」と掛けた略語「報・連・相(ほうれんそう)」があるが、まさにこのほうれん草はほうれんそうだ。
【土壌の水分から爆発物を感知すると信号を発信】

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループによって誕生した爆発物探知ほうれん草は、普通のほうれん草と同じく、根から土の中の水を吸っている。

 だがその水の中に、地雷などの爆発物に含まれる「芳香族ニトロ化合物」が混ざっていることを察知すると、葉に仕込まれたカーボンナノチューブから信号を発信する。

 あとは、これを赤外線カメラで読み取り、Eメールで注意喚起が出されるという仕組みだ。

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【人間と植物のコミュニケーションを促す植物ナノバイオニクス】

 このほうれん草は、電子パーツを植物に組み込むより広範な研究の一環として作られた。
こうした植物に新たな能力を与える技術を「植物ナノバイオニクス」という。

 研究の中心人物であるマイケル・ストラーノ教授は、「植物と人間のコミュニケーションの壁を乗り越える方法を示した斬新なデモです」と話す。

 同教授によると、植物はとても優れた化学者なのだという。

 「植物は環境にとてもよく反応します。人間よりもずっと早く干ばつを察知します。土や水の電位のわずかな変化だって検出します。
そうした化学的なシグナル経路を利用できれば、豊富な情報を手に入れられるでしょう。」

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【植物が気候変動や生態系の変化を教えてくれる未来】

 この実験では爆発物を検出するほうれん草が作られたが、同じ技術を応用すれば、汚染物質や気候変動による環境の変化をモニタリングすることだってできる。

 初期の実験では、ナノ粒子と光合成プロセスを利用して、何かが燃えたときに発生する酸化窒素を検出する植物が開発されたそうだ。

 植物は身の回りからさまざまな情報を吸収しているので、生態系の変化を観察するのにうってつけとのことだ。

 この研究は『Nature Materials』に掲載された。

References:euronews/ written by hiroching / edited by parumo

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