人類終了まで残り10億年。地球の酸素が失われ生命活動ができなくなることが判明


 今のうちに肺いっぱいに空気を吸い込んでおくといい。当たり前に思っている酸素とて永遠のものではないのだから。


 東邦大学理工学部生命圏環境科学科とジョージア工科大学の共同研究グループが実施したシミュレーションによると、地球の大気に含まれる酸素は、あと10億年もすれば失くなってしまうのだそうだ。

 それは地球で生きる多細胞生物の寿命でもある。アンドロメダの衝突を待つまでもなく、酸素が失われ生命活動が維持できなくなるというのだ。
【地球の生命が活動停止する時期を予測】

 地球上で暮らしている生命は、永遠に繁栄し続けられるわけではない。究極的には、太陽がやがて燃え尽き、そのエネルギーを利用できなくなってしまう。

 だが、酸素を吸って生きている生命の受難は、太陽の寿命が尽きるよりも早くやってくる。私たちはこの惑星でいつまで生きられるのか? 尾崎和海氏らは、地球がほとんどの動植物を維持できなくなる転換点を探ることにした。

 そのために、地質学的時間スケールで大気に含まれる酸素に影響する要因を組み込んだ、包括的な数値モデルを開発。

 過去6億年にまでさかのぼり、約40万通りのシナリオを含むシミュレーションを通じて将来的に地球の酸素がどのように変化するのか調べられた。

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【10億年後に酸素が失われる】

 特に影響が大きかったのは太陽の活動だ。今から10億年後、太陽の膨張につれて地球の温度が上昇する。これまで熱を吸収してくれていた二酸化炭素が減少し始め、オゾン層も燃えて失われる。


 二酸化炭素の減少は、植物の光合成にも影響し、酸素の生産量が低下。その一方でメタンが増加する。

 二酸化炭素不足で思うように光合成できなくなった植物は、わずか1万年で絶滅。呼吸に利用できる酸素が失くなってしまうことも相まって、植物に頼って生きていた陸生・海生動物もまた絶滅する。

 生き残れるのは、ごく小さな嫌気性の細菌だけだ。その状況は、地球上に動植物が誕生する以前の太古の時代によく似ているという。

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 もともとわかってはいたことだが、今の地球環境が永遠に続くわけではないという事実が改めて突き付けられた。

 私たちが遠い未来を生き抜くために必要なことは何か?今から準備しておく必要があるかもしれない。太陽の光をなんとかするか、太陽系以外に移住できる惑星を探すか、あるいは生命体そのものに、酸素のいらない環境に適応できる改造を施すか、SFの世界を参考にしながら考えてみよう。

 この研究は『Nature Geoscience』(3月1日付)に掲載された。

References:東邦大学プレリリース / phys/ written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:人類終了まで残り10億年。地球の酸素が失われ生命活動ができなくなることが判明 https://karapaia.com/archives/52299884.html
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