
アメリカのテキサス州で保護された野良犬は怪我を負っていた。過去の路上生活で空気銃を撃ち込まれたり、ひどい扱いを受けていたその犬は、人間に対して強い恐怖心を抱いていたのだ。
保護活動を行っている女性が犬を家の中に入れようとしたが、玄関から前に進むことができない。これまで辛い経験をしてきたため、どんなにやさしく接してても、人が怖くてしかたがない。
だが女性は辛抱強く犬に愛情を注ぎ続けた。
【路上で保護された傷だらけの野良犬ブーマー】
テキサス州ヒューストンで、犬の救助・保護活動をしているサマンサ・ジマーさんは、路上の野良犬たちのお世話をしている女性から連絡を受けた。
厳しい冬の吹雪が吹き荒れる2月、ジマーさんはできるだけ多くの野良犬を保護しようと決意し、3匹の保護に成功した。
そのうちの1匹が、テリアのミックス犬ブーマー(2歳)だった。
辛い路上生活を経験しているブーマーは、人に怯えてジマーさんたちには近寄ろうとしなかった。そこで罠をしかけて保護することに。
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その足で動物病院に向かったところ、ブーマーはフィラリアに感染していた他、片方の脚に未治療の骨折があること、胸に空気銃で撃たれた傷跡があることがわかった。
ブーマーは満身創痍でボロボロの状態だったのだ。
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【家の中に入ることができないブーマ】
ジマーさんはブーマーを自宅へと連れ帰り、仮里親としてお世話をすることに。ところが、ブーマーは玄関ドアから一歩も進めず、中へ入ることができない。
ジマーさんがドアのすぐ外にいるブーマーに家の中から呼びかけても、ブーマーは躊躇する姿勢を崩そうとしなかった。
ブーマーが、これまで一度も家の中に入ることを許されたことがなかったのは明らかでした。入りたくても、困惑している様子でした。
以下の動画では、ジマーさんが「あなたはもう野良犬じゃないの。ハウスドッグ(家で飼育される犬)になったのよ。さあ中に入っておいで」と優しくブーマーに語りかけている。
しばらく躊躇した後、ようやくブーマーはドアから一歩脚を踏み出して中に入って来たが、お腹をつけて床に座り込み、不安そうな視線をジマーさんに投げかけている。
ジマーさんの呼びかけを確認するようにしていたブーマーだが、再びドアの外へ出てしまう。
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Rescued dog struggled to enter his new house - because he'd never been indoors before | SWNS
【しばらくして、ようやくブーマーは心を開くように】
ジマーさんは、ブーマーの信頼を得ようと根気強く接し、1か月かけて、ブーマーに「家の中に入っても大丈夫なんだよ」と言い聞かせ続けた。
やがて徐々に、ブーマーはここにいても良いんだ。この人は自分をいじめる人じゃないんだ。ということがわかってきたようだ。
人間に愛されるという感覚を初めて知ったブーマー。だが辛かった数々の経験が邪魔をしてすぐには受け入れられない。
戸惑いながら、ゆっくりと玄関から家の中に入って、毎回ジマーさんに「大丈夫?」と不安そうな目で合図を送り、やさしく微笑むジマーさんを見て、ようやく家の中で過ごせるようになったという。
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時間と愛情という薬がブーマーの人間不信と心の傷を徐々に癒していく。
今ではソファでジマーさんたちと一緒に過ごす時間が、ブーマーの一番のお気に入りとなったようだ。
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ジマーさんは、ブーマーがもう少し落ち着いて、人間を心から信頼してくれるようになったら、永遠の家を見つけてあげる予定だという。
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:人が怖くて家の中に入れない...悲しい過去を持った保護犬ブーマーの物語(アメリカ) https://karapaia.com/archives/52300337.html
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