アメリカのスクールバスの車体の横に3本線がある理由【雑学】


 アメリカのスクールバスと言えば、明るい黄色の車体で、一目でスクールバスと分かるデザインとなっている。

 このスクールバス、州によって車体は異なるのだが、1つだけ共通していることがある。
それは車体横に3本の線が入っていることだ。

 その線の色は黒の場合もあれば黄色の場合もある。そしてこの3本線には重要な意味を持っているという。
【アメリカの黄色いスクールバス】

 北米のスクールバスは、4つの車体タイプがあるが、他のバスと外観で区別できるようにすることが義務付けられており、いずれも目立つ黄色をしている。

 この黄色の塗装が連邦安全規格で義務付けられたのは、1939年のこと。黄色は、夕暮れや早朝でも最も見やすいとして、安全と警告のための色として北米スクールバスの標準色に選定されたのだ。

 以降、幾度かの改正を受けて更に厳格な規格がスクールバスに義務付けられてきた。

 最も重要なのは、公道上で乗車している生徒たちの安全を守ることであり、スクールバスの車体側面には、一時停止標識や大型ミラー、複数の非常口の他、乗降中であることを示す点滅灯などが設置されている。

 そして、重要な安全対策としてバスの車体に3本の横線を入れることも義務付けられている。

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【車体の側面と背面に入る黒い3本線の理由】

 ニュージャージー州西部でスクールバス運転手をしているYouTuberのClawBossさんは、スクールバス愛好家でもあり、定期的にスクールバスについての動画をシェアしている。

 特に、3月4日にシェアされた動画「スクールバスの側面にある黒い3本線はなんのため?」は、大きな反響を呼んだ。

 ClawBossさんによると、アメリカのスクールバスの側面と背面に沿って入っている黒い金属製の横線は、薄い車体の壁を保護し、万が一の衝突事故の際にその力を吸収するのを防ぐ役割を果たしているという。


 動画で、ClawBossさんはこのように説明している。
一番下の黒い線は、バス車内の床の高さに合わせて取り付けられています。真ん中の黒い線は、子供たちがお尻を置く座席のシート部分の高さ、そして一番上の黒線は、椅子の背もたれ部分の位置、つまり窓枠のちょうど下に設置されています。

衝突事故が起こって、ドアや窓が開けられなくなってしまった時、消防署などの救助チームがバスの側面を切断して子供たちを救助しなければならない場合に、より正確に中の位置を把握できる目安となるからです。

 例えば、黒線の一番下部分がダメージを受けた場合、バス内は床下が破損したことを意味し、車内の子供たちは最悪の事態を回避できた可能性があることを示しているという。

[動画を見る]
WHAT ARE THE BLACK LINES ON THE SIDE OF A SCHOOL BUS FOR?

【3本ラインの色やサイズは州により異なる】

 ただ、黒い3本線のサイズや素材、色などの詳細においては、州により異なるようだ。
 
 例えば、イリノイ州やメリーランド州では、黒は黒でも「光沢のある黒」の線を設置することが義務付けられているが、他の州では黄色く、車体の黄色と一致させても問題ないとしている。

 動画の中で、ClawBossさんは1本の黒線を設置するコストは3000ドル(約33万円)かかると話しており、決して安くはない。

 しかし、黄色にしても黒にしても車体横の3本線は、万が一の事故に備えて優れた視覚的補助を提供しているということだ。

written by Scarlet / edited by parumo

記事全文はこちら:アメリカのスクールバスの車体の横に3本線がある理由【雑学】 https://karapaia.com/archives/52300782.html
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