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欧米ではレストランやバー、ホテルやヘアサロン、デリバリー、タクシーなど、何らかのサービスを受けた時にチップ(謝礼)を支払う文化がある。
特にアメリカではチップは必須である。
【給与明細を明かしてくれたアメリカのバーテンダー女性】
テキサス州でバーテンダーとして働いているアリーヤ・コルテスさんは、去年1月にTikTokで「チップの重要性」をシェアした。
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コルテスさんは、バーで1か月間働いた分の給料明細の詳細をシェア。そこには、驚くべき数字が並んでいた。
【約70時間の労働に対する基本給は9.28ドル】
コルテスさんは、月全体で70.8時間労働したにもかかわらず、実際に支払われた金額は9.28ドル(約1017円)となっている。時給にすると14円だ。
とは言え、その手取り金額からは、税金や社会保障、メディケアなどへの支払いが差し引かれている。
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これが、私の約70時間の労働時間に対しての収入です。この給料明細を見ればわかるように、アメリカでチップはとても重要なんです。
あらかじめ基本給が低く抑えられている為、顧客からのチップが重要な収入源になるということだ。
【アメリカの一部の州連邦最低賃金は30年間変わらず】
アメリカでの賃金ルールは州により異なるが、テキサス州は他の15州と同様、アメリカ連邦最低賃金の支払いは、連邦公正労働基準法にのっとって1時間2.13ドル(約234円)と定められている。
この2.13ドルの最低時給で働いているのが、バーやレストラン、ヘアサロンやデリバリーなどのサービス産業に従事している人たちだ。
この低賃金は1991年以来、つまり30年間変わっていない。
また、チップ収入のない仕事に就く人々の連邦最低賃金はこの30年間で70.6%も上昇しており、サービス業界の労働者に対して賃金への取り組みがなされていないという不公平な状況も明らかだ。
テキサス州を含む16州では、チップ付きで1時間の収入が7.25ドルに達しなかった場合、その差額を雇用主が補うことが義務付けられている。
しかし、スタッフがチップを客から貰って時給にして7.25ドルを稼げることを期待し、2.13ドルという最低賃金から上げない雇用側も少なくない。
そうなると、コルテスさんのように1時間最低賃金で働く人たちは、チップに生活を頼らずにはいられないのだ。
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動画の中で、コルテスさんはこのように話している。
私は、チップがあるから何とか生活していけるけど、全てのサービス業界で働く人が、チップをたくさん貰っているとは限らないわ。私は、この州法には賛成できません。
事実、チップに生活を頼る労働者は、チップの支払われない職種に就く労働者の2~3倍生活が困窮している傾向があり、特に女性の70%はチップに依存する職しか見つからないことが多いという。
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残念なことに、最近バイデン政権のCOVID-19救済パッケージの一環として連邦最低賃金を引き上げる提案がなされたが、上院が拒否する結果に終わっており、最低賃金の上昇はなかなか容易ではないようだ。
だからこそ、コルテスさんが動画で訴えているように、「アメリカではチップが重要」なのだ。
サービス業界の大きな問題は、顧客が十分にチップを払っていないことです。もちろんチップに見合うだけのサービスを提供するのが私たちの使命であることは十分理解しています。
最低賃金を引き上げることが非常に困難な業界では、顧客からの寛大なチップによってどれほど労働者の暮らしが救われるかということを、多くの人に知ってもらいたい。(コルテスさん)
ちなみに、業界の規模にもよるが、チップ賃金のレートが一番高いのはカリフォルニア州で、1時間あたり13~14ドル(約1430~1540円)となっている。
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【アメリカでのチップの相場】
日本では考えられないかもしれないが、アメリカではサービスにお金(チップ)を払うのは当たり前の文化となっている。目安となる割合は決まっているが、良いサービスを提供するほど多くもらえ、サービスが悪いと少なくなる場合もある。
ちなみにコルテスさんのようなカウンターバーのバーテンダーの場合、1杯につき1ドル支払うのが相場だ。
一般的なレストランでは料金の15~20%、タクシーは15~20%、美容院などは20%、ピザのデリバリーなどは10%、ただしUberはチップ込みの料金となっているので必要ない。ファストフードチェーンも必要ない。
written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:アメリカでチップが重要な理由。あるバーテンターの女性が給与明細をSNSでシェア https://karapaia.com/archives/52301025.html