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人が出す音が嫌でたまらない。何かを食べる時の咀嚼音、ヘッドホンの音漏れ、鼻歌、赤ちゃんの泣き声、くしゃみや咳、呼吸の音ですら過剰に反応してしまい、不快感や嫌悪感、怒りの感情が抑えられず、パニックに陥る場合もある。
このような症状を『ミソフォニア(音恐怖症)』という。
誰にでもいくつかの苦手な音はあるものだが、それが病的なレベルにまで達すると日常生活に支障を生じる。
ミソフォニアの人々の特徴的は、一般に口やのどなど顔に関連する動作によって生じる音であるということだ。
これまでミソフォニアの原因は、音の処理に問題があるのだろうと考えられてきた。ところが、英ニューカッスル大学の研究グループによって、脳の2つの異なる部分の「超過敏な接続」に問題があることがわかったという。
【ミソフォニアの人の脳の超過敏結合】
『Journal of Neuroscience』(5月21日付)に掲載された研究によると、ミソフォニアの人たちの脳では、聴覚野と運動野と言う2つの部分が「超過敏な結合」をしてしまっているのだという。
ミソフォニアの人たちの脳が音に対してどのように反応するのか調べられたところ、意外にも「聴覚皮質」は普通の人と同じように反応していることがわかった。
違っていたのは、聴覚皮質と顔・口・のどに関連する運動制御領域との間でコミュニケーションが増加することだった。そのために嫌いな音を耳にしたとき、運動制御領域が強く活性化していたのだ。
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【ミラーニューロンが関与】
このことから研究グループは、ミソフォニアの背景には「ミラーニューロン」の関与があると推測している。
ミラーニューロンは、他人の行為をまるで自分の行動のように感じさせる神経細胞で、共感と関係していると考えられている。
どうやらミソフォニアの人たちの脳では、他人が立てた音を聞いたときにミラーニューロンが過剰に活性化してしまい、音による不快感が無理矢理体に侵入してしまっているようなのだ。
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【嫌な音を聞いた時の対処法:真似をすると気持ちがおさまる】
面白いことに、ミソフォニアの人たちは、嫌な音が出る行動を真似するだけで、嫌悪感がおさまることがあるのだという。このこともまた、この症状とミラーニューロンの関係を示唆しているそうだ。
すべての人に効果があるわけではないが、どうしても耐えられなくなりそうなら、同じような音を立ててみたり、その動作をまねてみるのも手かもしれない。
References:misophonia - a supersensitive brain connection - Press Office - Newcastle University / Supersensitive connection causes hatred of noises | EurekAlert! Science News/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:他人の咀嚼音などが嫌でたまらない人は脳の「超過敏な接続」に原因があることが判明。その対処法は? https://karapaia.com/archives/52302474.html
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