天才と呼ばれるの子供たちを45年間追跡調査。彼らはどのように成長したのか?

 1960年代、アメリカの心理学者ジュリアン・スタンリーは、成績がトップクラスの7年生(日本の中学1年生に相当)を全米から集め、標準的な大学入試を受けさせるという実験を行なった。

 すると、彼らは大学進学を希望する一般的な高校3年生よりも高得点を取った。
そうした子供たちはただテストの点がいいだけではなかった。定量的思考、論理的思考、空間的思考において並外れた能力の持ち主だったのである。

 スタンリーはこうした天才児たち「ギフテッド」と呼んだ。日本で言うところのの神童ような子供たちである。

 研究に参加した神童の中には、政治、科学、工学、ビジネスエンジニアといった各分野で代表的な人物にまで成長した者たちもいる。もちろんそうでない者もいる。

 その明暗はどのようにして別れたのか? 彼らを追跡調査した45年にわたる研究からは、必ずしも才能だけではないことが明らかになった。

 ジュリアン・スタンリーから神童の研究を受け継いだヴァンダービルト大学のダビッド・ルビンスキ氏は、神童が大人になってから成功する為に必要な4つの要素を解説してくれている。【1. 神童にはその才能を導いてくれる指導者の存在が必要】
 英語には「早く熟すものは、早く腐る」という表現がある。「昔神童、今凡人」にも通ずる言葉だが、その言わんとすることは、早く才能を開花させようと幼い頃からやりすぎると、長期的には逆効果になる可能性があるということだ。

 しかしそれは真実とは程遠いようだ。

 才能あふれる神童だが、それでもやはり誰かからの指導を必要としている。
ルビンスキ氏によれば、どんなに賢くても自分で「道を見つけれられる」ほどではないという。天才児ではあるが、まだ子供なのだ。

 天性の才能を見出し、それを導いてくれる大人の存在が必要なのだ。
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【2. 自分の興味のある分野で才能をより発揮する】
 飛び抜けて頭のいい子供が目指すべき職業は何だろうか? 医者や研究者だろうか?

 確かに医者や研究者になるには高い知能が必要だが、だからといって神童がそれを目指すべきかというと少し違う。私たちと同じく、「神童たちの情熱はさまざま」だからだ。

 医学に興味を持つ子もいれば、経済や工学に興味を持つ子もいる。弁護士や作家に必要な論理や言語に強い関心を示す子もいれば、芸術に興味を示す子もいる。

 まず何に情熱を感じているか?そこを見極めるのが重要だ。宝の持ち腐れにならないためには、好奇心が導き、情熱が持続する分野へ進むことで、その才能は開花する。
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【3. 努力も必要】
 才能は、ある人が成功するかどうかを決める要因の1つでしかない。並外れた知能、成績はその子の天性の才を示しているかもしれないが、何かに懸命に打ち込むどうかまでは示していない。

 ルビンスキ氏によれば、人生で成功するために「決定的に重要なのは努力」であるという。
「政治、科学、音楽、文学など、それぞれの分野で傑出した人物は、ひたすらそれに打ち込んでいます」
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【普通の子供も神童も教育方法は同じ、個に合わせる】
 神童の研究では、その子の能力と関心に沿いつつ、少し難しいことをやらせてあげたほうが、よく伸びることがわかっている。

 神童をうまく育てるには、今の実力、学習の速さ、長所や短所といったものを見極めて、それにあったカリキュラムを組むべきだ。しかしそれは「どの子供でも同じこと」だとルビンスキ氏は話す。

 現実には、義務教育ではそこまで個人に合わせた教育は行われていない。だが、どんな子供たちにもそれぞれの潜在的な能力を内に秘めている。

 もしそれを見出して、本人もそれに対しての情熱があるのなら、伸ばしてあげることは可能なのかもしれない。

References:WATCH: A 45-year study has changed the way we view giftedness / written by hiroching / edited by parumo

記事全文はこちら:天才と呼ばれるの子供たちを45年間追跡調査。彼らはどのように成長したのか? https://karapaia.com/archives/52304404.html
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