恐竜が絶滅した5回目の大量絶滅時、サメはその影響をあまり受けずに生き延びていた可能性


 今から約約6550万年前、地球に巨大な隕石が衝突した。それよって地球環境が激変し、当時地上を支配していた恐竜や、首長竜やモササウルスといった大型水生爬虫類が絶滅した。
海洋のプランクトンや植物類にも多数の絶滅種があった。

 これは地球で5回目に起きた大量絶滅(K-Pg境界)で、種のレベルで最大約75%の生物が絶滅し、個体数の99%以上が死滅したと言われている。

 劇的なまでの絶滅現象だったが、『PLOS Biology』(21年8月10日付)に掲載された研究によれば、サメはそれほど影響を受けておらず、陸上のように多様性が激減したということはなかったと考えられるそうだ。

大量絶滅前後のサメの歯の形状を調査 スウェーデン、ウプサラ大学などのグループが行ったのは、サメ(現生の8目と絶滅した1目に属する種)の歯の化石1239点の形状分析だ。

 化石の年代は、8360万年前(白亜紀)から5600万年前(古第三紀初期)までの2700万年間にわたる。

 恐竜が絶滅した時期は「K-Pg境界」と呼ばれているが、その前後でサメの歯の形状に大きな変化はあるのだろうか? あるとすれば、恐竜と同じく、サメもまた地球の激変から大きな影響を受けていたということになる。

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スウェーデン南部のクリスチャンスタッド盆地から発掘された白亜紀後期のサメの歯 / image credit:Benjamin Kear、Bazzi Met。al、PLOS Biology、2021サメの多様性は保たれていた だが分析の結果、特に大きな変化はなかったことが確認されたという。

 サメの歯の多様性は、K-Pg境界以前からすでに減少傾向にはあったそうだが、だからと言って、K-Pg境界を境に激減するようなことはなく、比較的一定していたという。

 ただし三角形の刃物のような歯を持っており、食物連鎖の頂点にあったグループは大きな影響を受けたようで、中には絶滅した仲間もいたという。これはエサとなる種が絶滅したことが背景にあると考えられている。

 だがそれ以外のサメについては、多様性が増加すらしているという。
たとえば、魚の捕食に適した細く尖った歯を持つ「オオワニザメ科」の仲間は、古第三紀初期にヒレを持つ魚が増えたのと合わせるように、種が多様化していた。

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photo by Pixabay
 研究グループによれば、これは四足類の捕食者からより一般的な硬骨魚のエサへと生態系が移ったことを反映していると考えられるそうだ。

References:Shark diversity unaffected when the dinosaurs were wiped out / written by hiroching / edited by parumo

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