
1888年、グリーンランドの横断に世界で初めて成功したノルウェーの探検家フリチョフ・ナンセンは、そこでの体験を「無限のように深く純粋な氷の大冒険」と語った。
だが大部分が北極圏にある世界最大の島(なんと日本の面積の5.73倍!)、グリーンランドの下には、彼が気づかなかった神秘が隠されている。
幸いにして、今を生きる我々はレーダーなどの技術を使うことで、厚さ3000メートルの氷の下に閉じ込められている秘密をうかがい知ることができる。
1. 世界最長の渓谷 2013年、グリーンランドの氷床の下から世界最長の渓谷が発見された。グリーンランド中央部のもっとも標高が高い地点から、北西沿岸のピーターマン氷河までじつに740キロ。地上に出ているものとしては世界最長の渓谷であるヤールン・ツァンポ大渓谷(496キロ)よりもはるかに長い。
氷の下の渓谷の幅は10キロほどで、深いところでは800メートルも切れ込んでいる。ちなみにアメリカのグランドキャニオンは、平均すると幅16キロ、深さ1600メートルだ。
また渓谷の一部をたどって解けた氷の水が海へと流れ込んでいる可能性もある。それは氷床ができる前に形成されたもので、かつては大河だったのかもしれないという。
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Canyon discovered under Greenland ice sheet氷の下に眠る山 グリーンランドの氷の下の地形はどうなっているのか? 研究者たちは飛行機に氷を透過するレーダーを載せてそれを探ってきた。その結果、氷の下には険しい山脈や急峻なフィヨルドが広がっていることが明らかになっている。
2017年に作成された氷の下の地図には、島の中央部のお椀のような窪みと、その周囲を囲む海岸沿いの山脈が描かれている。こうした地図は、温暖化によって氷河がどのように加速し、氷山が海に分離するペースがどのように変化するのか予測するのに役立つ。
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Photo by:agupubs.onlinelibrary
3. 太古にあった巨大な湖 数十万から数百万年前、まだグリーンランドが氷におおわれる以前、そこにはおよそ7000平方キロメートルの大きな湖があった(琵琶湖は669平方ロメートル)
今ではもう土砂で埋まって、窪地になってしまっているが、当時は深いところで水深250メートルあり、少なくとも18本の川が流れ込んでいた。
かつての湖底には大昔の北極の気候を知る貴重な手がかりが隠されている可能性があるが、今日そこに到達するためには1.8キロの氷を掘らなければならない。
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グリーンランド、フンボルト氷河4. 宝石のような湖が隠されている 氷床の下には、宝石のような風景も隠されている。それは水晶のように澄んだ水を湛えた湖だ。英シェフィールド大学の研究グループの調査によって、グリーンランド北部と東部を中心に60以上の小さな湖が点在していることが明らかになったのだ。
大きさは直径200メートルから5.9キロまで様々。湖を満たす雪解け水は、氷床の表面から流れ込んできたものもあるし、氷が動いたときの摩擦や地熱によって解けたものであることもある。
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Photo by:Andrew Sole, University of Sheffield
5. 隕石が衝突した痕跡 地球外に起源があるものもある。それは隕石が衝突してできた2つのクレーターだ。いずれもグリーンランド北西部で、1つはハイアワサ氷河、もう1つはそこから183キロ離れたところにある。
前者はハイアワサ氷河の980メートル下にあり、直径31キロ。後者はさらに深いところにあり、氷の2キロ下で発見された。
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Photo by:NASA's Goddard Space Flight Center/ Cynthia Starr
6. 100万年前の植物の化石 2017年、冷蔵庫の中から不思議な氷が発見された。それは米ソの冷戦時代に、核兵器基地を建設するために掘り起こされた氷であった。
なんとその中には100万年前の植物の化石が完璧な状態で保存されていたのである。氷を調べた研究者によると、まるで昨日枯れたばかりに見えたという。
氷はグリーンランド北西部で採取されたもので、植物は北方林(北緯45~70度に広がる亜寒帯林)で成長したものであるようだ。
こうした森林は氷があるところではあまり育たないため、グリーンランドの氷床の一部はこれまで考えられていたよりも新しいものである可能性がうかがえる。
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Photo by: Joshua Brown/UVM
7.世界最北端の島発見 最近になってグリーンランドの北方で、これまで発見されていなかった世界最北端の陸地が発見された。それまでは、オーダック島が世界最北端とされていた。
新たに見つかった島はオーダック島の北方780メートルに位置する。
新たに発見された島に名前はつけられていないが、海抜は30~60メートルしかないため、近い将来、海水にのみ込まれる可能性もあるという。
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Scientists stumble upon ‘world’s northernmost island’
グリーンランドは現在、気候変動の影響を強く受けている。
References:6 mysterious structures beneath the Greenland ice sheet | Live Science / Researchers discover world's 'northernmost' island / written by hiroching / edited by parumo
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だが大部分が北極圏にある世界最大の島(なんと日本の面積の5.73倍!)、グリーンランドの下には、彼が気づかなかった神秘が隠されている。
幸いにして、今を生きる我々はレーダーなどの技術を使うことで、厚さ3000メートルの氷の下に閉じ込められている秘密をうかがい知ることができる。
1. 世界最長の渓谷 2013年、グリーンランドの氷床の下から世界最長の渓谷が発見された。グリーンランド中央部のもっとも標高が高い地点から、北西沿岸のピーターマン氷河までじつに740キロ。地上に出ているものとしては世界最長の渓谷であるヤールン・ツァンポ大渓谷(496キロ)よりもはるかに長い。
氷の下の渓谷の幅は10キロほどで、深いところでは800メートルも切れ込んでいる。ちなみにアメリカのグランドキャニオンは、平均すると幅16キロ、深さ1600メートルだ。
また渓谷の一部をたどって解けた氷の水が海へと流れ込んでいる可能性もある。それは氷床ができる前に形成されたもので、かつては大河だったのかもしれないという。
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Canyon discovered under Greenland ice sheet氷の下に眠る山 グリーンランドの氷の下の地形はどうなっているのか? 研究者たちは飛行機に氷を透過するレーダーを載せてそれを探ってきた。その結果、氷の下には険しい山脈や急峻なフィヨルドが広がっていることが明らかになっている。
2017年に作成された氷の下の地図には、島の中央部のお椀のような窪みと、その周囲を囲む海岸沿いの山脈が描かれている。こうした地図は、温暖化によって氷河がどのように加速し、氷山が海に分離するペースがどのように変化するのか予測するのに役立つ。
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Photo by:agupubs.onlinelibrary
3. 太古にあった巨大な湖 数十万から数百万年前、まだグリーンランドが氷におおわれる以前、そこにはおよそ7000平方キロメートルの大きな湖があった(琵琶湖は669平方ロメートル)
今ではもう土砂で埋まって、窪地になってしまっているが、当時は深いところで水深250メートルあり、少なくとも18本の川が流れ込んでいた。
かつての湖底には大昔の北極の気候を知る貴重な手がかりが隠されている可能性があるが、今日そこに到達するためには1.8キロの氷を掘らなければならない。
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グリーンランド、フンボルト氷河4. 宝石のような湖が隠されている 氷床の下には、宝石のような風景も隠されている。それは水晶のように澄んだ水を湛えた湖だ。英シェフィールド大学の研究グループの調査によって、グリーンランド北部と東部を中心に60以上の小さな湖が点在していることが明らかになったのだ。
大きさは直径200メートルから5.9キロまで様々。湖を満たす雪解け水は、氷床の表面から流れ込んできたものもあるし、氷が動いたときの摩擦や地熱によって解けたものであることもある。
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Photo by:Andrew Sole, University of Sheffield
5. 隕石が衝突した痕跡 地球外に起源があるものもある。それは隕石が衝突してできた2つのクレーターだ。いずれもグリーンランド北西部で、1つはハイアワサ氷河、もう1つはそこから183キロ離れたところにある。
前者はハイアワサ氷河の980メートル下にあり、直径31キロ。後者はさらに深いところにあり、氷の2キロ下で発見された。
直径は36キロで、地球上で22番目に大きなクレーターだ。
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Photo by:NASA's Goddard Space Flight Center/ Cynthia Starr
6. 100万年前の植物の化石 2017年、冷蔵庫の中から不思議な氷が発見された。それは米ソの冷戦時代に、核兵器基地を建設するために掘り起こされた氷であった。
なんとその中には100万年前の植物の化石が完璧な状態で保存されていたのである。氷を調べた研究者によると、まるで昨日枯れたばかりに見えたという。
氷はグリーンランド北西部で採取されたもので、植物は北方林(北緯45~70度に広がる亜寒帯林)で成長したものであるようだ。
こうした森林は氷があるところではあまり育たないため、グリーンランドの氷床の一部はこれまで考えられていたよりも新しいものである可能性がうかがえる。
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Photo by: Joshua Brown/UVM
7.世界最北端の島発見 最近になってグリーンランドの北方で、これまで発見されていなかった世界最北端の陸地が発見された。それまでは、オーダック島が世界最北端とされていた。
新たに見つかった島はオーダック島の北方780メートルに位置する。
新たに発見された島に名前はつけられていないが、海抜は30~60メートルしかないため、近い将来、海水にのみ込まれる可能性もあるという。
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Scientists stumble upon ‘world’s northernmost island’
グリーンランドは現在、気候変動の影響を強く受けている。
気温上昇による氷河融解が著しく、危機的な海面上昇を招いているという。
References:6 mysterious structures beneath the Greenland ice sheet | Live Science / Researchers discover world's 'northernmost' island / written by hiroching / edited by parumo
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