象のリーダーは仲間思い。川岸を登れない赤ちゃん象を牙でやさしく支えて助けてあげる
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 群れで行動する象は、仲間意識がとても強いことで知られている。このほど、アフリカ・ボツワナの自然保護区で、群れのリーダーと見られるメスの象が、赤ちゃん象を自然に助けている姿が捉えられた。


 赤ちゃん象は、坂になった川岸を上ろうとしたがうまく行かず立ち往生していた。すると後ろから来たリーダー像は、牙を使いながら体幹でやさしく押し上げ、うまくサポートしていたという。

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Baby Elephant Stuck on Cliff Gets Helping Hand川岸を上手く登れない赤ちゃん象をリーダーがヘルプ 野生生物の映画製作者であるキム・ウォルフターさん(62歳)は、南アフリカのボツワナにあるマシャトゥ野生動物保護区を訪れ、撮影を行っていた。

 その時、象の群れに遭遇。象はマジャル川を渡り、急な川岸を上がる所だった。

 成長した象は、前脚を曲げ、後脚で重い体を押し上げるようにして次から次へと器用に川岸の坂を上っていく。

 しかし、1頭の赤ちゃん象は母親の後を追うように上ろうとするも、まだ小さいのでうまく登れない。足を滑らせ立往生してしまった。

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 先に上って行った母象は、最初は気付いてなかったが、後ろを振り返ったところ、我が子が窮地なのを知り、助けようとして戻ってきた。

 その時である。群れの一番後ろにいたメスのリーダーが、体幹を使ってやさしく赤ちゃん象のお尻を押し上げてくれたのだ。

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 赤ちゃん象が、川岸を上りきることができたのを確認したリーダーは、その瞬間カメラを構えていたキムさんの方に顔を向けたようだ。


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 仲間意識の強いリーダーのやさしさを目の前で見ることができたキムさんは、このように話している。
私は、ちょうど川岸に沿って何キロも車を運転していたところでした。

北岸は、洪水の度に絶えず切り取られていたのですが、特定の場所では川床が急な小道になっていて、そこを象の群れは上ろうとしていました。

リーダーの象が、赤ちゃん象をサポートし、押し上げていた光景を見て、心が温かくなりました。

象は、互いを気遣い助け合う仲間意識があることは周知のとおりですが、私が見たリーダーも、誰も取りこのされないようにしっかりと確認し、小さな象を助けていました。
リーダー役となるメスの象の役割 『For Elephants』によると、アフリカゾウの群れは、通常、家族関係のある成体のメスの象とその子孫が含まれ、互いに協力し合って常に行動を共にすることで知られている。

 群れの中にオスの象はいない。オスは単独または独身者のグループと一緒に行動を共にするからだ。

 そのため、群れのリーダーとなるのはメスの象だ。群れを危険から遠ざけ、必要な食料を探し、子孫の世話をする方法を教える重要な役割を担うことから、統率力、知恵と経験、強い仲間意識が必要とされる。

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 メスがリーダーの群れは、子育ても群れで協力して行う。特に年配のメスの象は、若い母親の子育てを助ける役割を担っている。


 群れが、水と食べ物を求めで移動する時にも、リーダーとなるメスの指示を仰いで行動する。危険に遭遇すれば、群れは最も安全な解決策を見つけるためにリーダーの知恵と経験に頼る。

 リーダーとなるメスは古株なため、死ぬと次のリーダーになるのは娘の象である場合が多い。リーダーと最も近しい関係の象が、通常役割を引き継いでいくようだ。

 しかし密猟によって、群れがリーダーを失ったり、子象が母親を失ったりするケースも少なくなく、家族の構造が破壊されて赤ちゃん象を孤児にしてしまうという深刻な状況が問題視されているということだ。

written by Scarlet / edited by parumo

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