子供がブロッコリーを嫌いな理由は口内細菌のせい。特定の細菌が多いほど腐敗臭を感じる
 ブロッコリーやカリフラワーなどのアブラナ科の野菜が苦手だという人がいる。特に子供に多いとされている。


 その理由は口の中に潜んでいる口内細菌のせいだという。野菜を食べるとそれを分解するために、口内細菌が特定の酵素を分泌するのだが、その時に腐敗臭を放つ分子まで放出してしまうのだという。

 『Journal of Agricultural and Food Chemistry』(21年9月22日付)に掲載された研究によると、酵素を分泌する細菌がたくさんいる子供は、アブラナ科の野菜が嫌いになるという。

ブロッコリーをまずく感じさせる酵素 野菜嫌いの原因が口内細菌であると考えられるのは、それが「システインリアーゼ」という酵素を分泌するからだ。

 ブロッコリーやカリフラワーといったアブラナ科の野菜には「S-メチル-L-システインスルホキシド(SMCSO)」という化合物が含まれているのだが、システインリアーゼ酵素はこれを分解してくれる。

 ところが、そのときに腐敗臭を放つ分子まで作り出してしまうのだ。だから、唾液の中にシステインリアーゼ酵素を分泌する細菌がたくさんいる子供ほど、ブロッコリーやカリフラワー、さらにはキャベツや芽キャベツといった野菜もまずく感じてしまう。

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唾液に野菜の粉末をまぶして臭気測定 オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究グループがこのことを実際に確かめている。

 この研究では、6~8歳までの子供とその親98組から唾液を採取し、そこにカリフラワーやブロッコリー粉末をまぶした後で臭気を測定した。

 その結果、唾液に含まれるニオイ成分がたくさん検出された子供ほど、カリフラワーやブロッコリーが嫌いであることが確認されたのだ。

 子供が特に敏感なのは、「ジメチルトリスルフィド(DMTS)」という化合物だ。この成分はシステインリアーゼ酵素の働きで作られるものだが、肉が腐ったときに放つ硫黄のような腐敗臭の素でもある。


 つまり、こうした子供は、カリフラワーやブロッコリーを食べているときに、肉の腐敗臭を感じているということだ。なお、ブロッコリーよりカリフラワーの方がより臭く感じるという。

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口内細菌は親子で似ている また興味深いことに、腐敗臭のレベルは親子で似通っていたという。その原因は、口内細菌の構成が親子で似ており、そのためにシステインリアーゼ酵素の分泌量も似ているからではないかと推測されている。

 ただし唾液を詳しく分析したわけではいので、親子間でどの程度似ており、具体的にどの細菌が悪臭の原因であるかといったことは特定できていないそうだ。野菜嫌いは克服できる! なお、野菜を不味くする酵素がたくさん分泌されているからといって、それを克服できないわけではない。

 人間の味覚は変化するもので、嫌いな食べ物でも繰り返し口にするうちに、段々と美味しく感じられるようになるからだ。

 実際、今回の研究結果は、子供の好き嫌いにしか当てはまらない。親の場合、問題の酵素がたくさん分泌されているからといって、ブロッコリーが嫌いということはなかったそうだ。

 もしかしたら成長の過程で食べられるようになったのかもしれない。

 事実私も子供の頃はブロッコリーもカリフラワーも食べられなかったが、今は料理に入っていれば食べられる程度にはなった。カリフラワーはちょっと避けたい気分だけども。
好きか嫌いかと問われれば、「体にいいから食べる」と答えるけども。

References:Mouth bacteria may explain why some kids hate broccoli | Live Science / written by hiroching / edited by parumo

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