
アメリカのアラスカ州で、今年9月に9歳少年が野生のカワウソに襲われ、怪我をするという出来事が発生した。
実は、過去数年にわたりカワウソのグループが犬を攻撃した事例が当局に報告されているが、人を襲った事例は珍しく、今回の1件が同じグループであるか否かは不明だという。
アラスカ州魚類鳥獣局は、少年を攻撃したカワウソグループを特定するよう努めており、発見次第、個々に狂犬病の検査をする意向であることを明かしている。
9歳少年がカワウソに攻撃され負傷 9月1日、アラスカ州アンカレッジ市内に住むティファニー・フェルナンデスさんは、午後7時頃に長男から「弟がカワウソに襲われて怪我をした」という連絡を受け、驚いた。
次男のエイデン(9歳)は、長男(13歳)と2人の友達と一緒にイースト・アンカレッジ地区に自転車で出かけていました。長男の話によると、アヒルが泳ぐ池に野生のカワウソが数匹いたという。
すると、長男が電話でカワウソが弟を襲ったと連絡してきたのです。最初は、冗談だと思いましたが、FaceTimeで次男の怪我の様子を見せられ、驚いて現場に向かいました。
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image credit:Andreas Schantl/Unsplash
興味が湧いた子供たちは、距離を取りながらスマホのカメラで撮影しようとした。しかし、4匹のうちの1匹が子供たちのいる方へ走ってきたため、子供たちは逃げ出したが、エイデン君は途中で転び、逃げ遅れた。
追いついたカワウソはエイデンに襲いかかり、太ももの後ろ2か所と前部分に噛みつきました。足にも噛まれた痕があり、すぐに息子を緊急治療室へ連れて行きました。病院で、エイデン君は傷の治療を施された他、狂犬病の予防注射を受けたという。
今、息子2人はトラウマを抱えています。襲われたエイデンはもちろんのこと、兄も弟を助けることができなかったことに大きなショックを受けたようです。(ティファニーさん)
普段から、野生生物には距離を置くようにと子供たちに言い聞かせているティファニーさんは、子供たちがカワウソと距離を取っていたことを主張。異常に攻撃的なカワウソについての1件を、後にご近所SNS「Nextdoor」でシェアし、注意喚起を促した。
過去には犬がカワウソに襲われた事例も 実は過去数年にわたり、数匹の犬が野生のカワウソグループに襲われるという出来事が起こっている。River otter attacks baffle authorities in Anchorage, Alaska https://t.co/ZOfYCyBIns
— Guardian news (@guardiannews) September 27, 2021
2019年には、異なる日に2匹の犬(ラブラドゥードルとハスキー犬のミックス)がそれぞれ攻撃を受けた。
湖で泳いでいたハスキーミックスを、カワウソのグループが襲いかかり水中に引きずり込もうとしたのだ。
それを見た飼い主は、カワウソから犬を引き離すために湖に飛び込み、犬を救った。
幸いにも、一連のカワウソ攻撃に巻き込まれた2匹の犬は無事だったが、それぞれ複数の縫い傷を負ったという。
こうした事態は非常に稀だと話すのは、アラスカ州魚類鳥獣局(ADFG)の地域野生生物学者デイヴ・バトルさんだ。Aggressive river otters attack people, dogs in Anchoragehttps://t.co/q9wcQaAsaE
— 7News Boston WHDH (@7News) September 27, 2021
確かに、同じエリアでカワウソが数匹の犬を襲った報告は受けています。今回、少年が負傷したということですが、こうした出来事は非常に稀です。
通常カワウソは好奇心旺盛ですが、ほとんどの場合犬や人に対して、これほど強い反応を示すことはありません。
犬が襲われた事例については、複数のカワウソが攻撃に参加したと聞いています。グループは、母と子供の集団もしくは成長したオスの集団だと考えられますが、複数で攻撃するということは成熟したカワウソのグループである可能性が高く、犬に対して防御心が働いたのではと推測します。
エイデン君を襲ったカワウソのグループが、犬を襲ったグループと同一であるか否かということは今のところ不明ですが、同じグループの可能性はあります。
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pixabay
当局は攻撃的なカワウソのグループを捜索中 現在、ADFGでは最新の一連の攻撃の原因となっているカワウソグループを特定しようと捜索しているが、水路を広範囲に移動する能力があるカワウソを追跡するのはなかなか容易ではない。
しかし、もし発見できれば、1匹ずつ狂犬病の検査をする意向であることをADFGは明かしている。
ちなみに、海洋環境研究協会による2011年の分析によると、1875年以来アメリカ全土で、野生のカワウソが人を攻撃したという報告は39件あるという。
このうち、15件はフロリダ州のみで発生し、24件はカワウソが狂犬病を持っていたことが明らかになっている。
通常、カワウソに攻撃されても軽傷を負う程度だが、そのうちの1件はフロリダ州の77歳女性被害者が200針近くを縫う大怪我を負わされ、「非常に珍しいケース」として報告されている。
written by Scarlet / edited by parumo
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