台湾軍によるアイアンマン化計画。兵士の身体能力を高めるパワードスーツを発表
photo by iStock
 台湾国防部が、兵士の耐久性や機動性を強化する外骨格パワードスーツの第一世代を発表した。このパワードスーツは「陸軍アイアンマン・システム」と言う。


 兵士の身体能力を高め重たいものを運ぶ兵士の疲労を軽減させることができると、『台湾英文新聞』などが報じている。

台湾陸軍のパワードスーツ「アイアンマン・システム」 開発するのは台湾有数の兵器メーカー「国家中山科学研究院」で、4年間で1億6000万台湾ドル(約6億5000万円)が投じられる。

 開発責任者である任國光氏は記者会見で、「重いものを運ぶ兵士の疲労を軽減するために、2020年から軍用パワードスーツの開発に着手」したと説明。

 これを着用することで、兵士の体力と持久力が強化される。

 また、重量物を運ぶさいの膝への負担が軽減され、兵士のパフォーマンスを向上させることができるという。

[画像を見る]

credit:MND photo
災害救助でも活躍 アイアンマン・システム自体は10キロ未満。最大トルク40Nmのアシストを受けることで、着用者は時速6キロで移動(速歩き程度)できる。

 リチウムイオン電池で駆動され、一度充電すれば6時間以上継続して活動可能だ。

 こうした性能のおかげで、戦場だけでなく、災害救助などでの活躍も期待される。

 「野外での活動や弾薬・重火器の運搬に利用でき、戦時中あるいは災害救助の現場における兵士の機動力と効率が向上します」と任氏は語る。

[画像を見る]

credit:MND photo
第二世代の開発も進行中 今回発表されたものは第一世代だが、来年には第二世代の開発が開始される。

 こちらは、トルクが50Nmに強化され、さらに腰へのサポートも加わり、40~100キロの重量物を運べるようになるとのことだ。


 兵士の身体能力を強化するパワードスーツの開発は世界各国で進められており、台湾も「アイアンマン・システム」の開発でそこに加わった形となる。

 その背景には台湾と中国本土の間の緊張の高まりがあるのかもしれない。

 台湾の厳徳発国防部長(国防相)は10月7日、中国の侵入に対処するための空軍の緊急発進(スクランブル)について、今年に入ってから既に約9億ドルを費やしていることを明らかにしている

 中国本土でも、今年初め、中国人民解放軍が兵士用のパワードスーツを開発したとの発表を行っており、更なる緊張の高まりを見せている。

画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
編集部おすすめ