
動物たちの権利を守るため、フランスではより強化された動物福祉法が可決された。これにより、サーカスや水族館などで動物を使ったショーが違法となり、ペットショップで犬や猫を展示販売することも違法となる。
2020年から議論されていたこの法律は、フランス議会上院で、ほぼ満場一致(反対票1票)で可決され、2024年以降段階的に施行されることになる。
他にも、飼育放棄や動物虐待に関する罰則も強化された。
サーカスや水族館などのショーで動物の利用禁止 11月18日、フランス議会上院はサーカスや水族館などで行われている動物のショーを禁じる法案を可決した。
2024年に、サーカスにおけるトラやライオン、クマな、象などの野生動物利用が禁じられ、2026年にはイルカやシャシのショーも禁止され、2028年には動物の所有自体が違法となる。
すでに多数の自治体で、動物を使用したサーカス巡業を禁じており、今後はテレビ番組やナイトクラブ、プライベートパーティーでの動物の使用が違法となる。
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ペットショップなどでの犬や猫の展示販売を禁止 また、2024年より、ペットショップでの犬や猫の展示販売も禁止される。飼いたい場合は保護施設から引き取るか、優良認定されたブリーダーから直接購入する。
オンラインにおける生体販売も規制強化され、優良認定されたブリーダーとペットショップでのみネット販売が許可される。
また、ペットを引き取ってから7日間はお試し期間として解約を可能としたうえで、飼い主になる条件として、飼育に関する知識があることを証明する書類への署名が義務付けられる。
これは、衝動的にペットを迎え入れたたものの、すぐに捨ててしまう飼い主が多いことが原因している。フランスの動物保護団体によると、約2200万匹の犬と猫が飼われているが、毎年10万匹が捨てられているという。
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動物虐待、飼育放棄の罰則も強化 また、動物を虐待した場合の最高刑も引き上げられる。
ペットを捨てたりするなどの飼育放棄の場合は、最高で2年間の禁固刑と3万ユーロ(約390万円)の罰金が科される。
また、未成年者による動物虐待の罰則も強化されるが、犯罪内容により、裁判官の判断で「動物虐待に関する講習」を受講することで実刑の代わりとなる。
さらに学校教育に「ペットに関する正しい知識と飼い方」に関する授業が設けられる。
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内容が不十分だとする声も フランスには120人ほどのサーカス所有者がいるが、「彼らが所有する動物が見捨てられる可能性がある」と反発の声も上がっている。
サーカス動物調教者組合の責任者ウィリアム・カーウィッチさんは、「私たちのサーカスには、虐待された動物はいません。これは、恣意的な法律です」と、メディアの取材で述べている。
一方、一部の環境保護団体は法の内容が不十分だと批判があがっている。
というのも、今回の法案には農村部で伝統行事となっている狩猟や闘牛が、長年の文化的慣習として農村地域の支持者により断固として擁護されており、禁止には至らなかったからだ。
環境保護団体は、大規模な畜産農場の環境改善も要求していたが、かねてから議論されていたガチョウやアヒルへの強制給餌で肝臓を肥大させるフォアグラ農場については、今回は含まれていない。
しかし、ミンク養殖農場においては直ちに終了となった。
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世論調査ではフランス人の大多数が支持 世論調査では、フランス人の大多数が法案を支持。
これらの変更によって、フランスは娯楽のための動物の使用を禁止または大幅に制限した20を超えるヨーロッパ諸国と歩調を合わせた形となった。
ちなみに、ドイツでは2019年に動物たちのショーが禁じられており、イギリスでも同年、野生動物を使ったサーカス公演を禁止する法案が可決されている。
References:France bans wild animals in circuses / What you need to know about France’s new animal rights law / written by Scarlet / edited by parumo
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2020年から議論されていたこの法律は、フランス議会上院で、ほぼ満場一致(反対票1票)で可決され、2024年以降段階的に施行されることになる。
他にも、飼育放棄や動物虐待に関する罰則も強化された。
サーカスや水族館などのショーで動物の利用禁止 11月18日、フランス議会上院はサーカスや水族館などで行われている動物のショーを禁じる法案を可決した。
2024年に、サーカスにおけるトラやライオン、クマな、象などの野生動物利用が禁じられ、2026年にはイルカやシャシのショーも禁止され、2028年には動物の所有自体が違法となる。
すでに多数の自治体で、動物を使用したサーカス巡業を禁じており、今後はテレビ番組やナイトクラブ、プライベートパーティーでの動物の使用が違法となる。
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ペットショップなどでの犬や猫の展示販売を禁止 また、2024年より、ペットショップでの犬や猫の展示販売も禁止される。飼いたい場合は保護施設から引き取るか、優良認定されたブリーダーから直接購入する。
オンラインにおける生体販売も規制強化され、優良認定されたブリーダーとペットショップでのみネット販売が許可される。
また、ペットを引き取ってから7日間はお試し期間として解約を可能としたうえで、飼い主になる条件として、飼育に関する知識があることを証明する書類への署名が義務付けられる。
これは、衝動的にペットを迎え入れたたものの、すぐに捨ててしまう飼い主が多いことが原因している。フランスの動物保護団体によると、約2200万匹の犬と猫が飼われているが、毎年10万匹が捨てられているという。
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動物虐待、飼育放棄の罰則も強化 また、動物を虐待した場合の最高刑も引き上げられる。
5年以下の禁固刑と75000ユーロ(約964万円)の罰金が科せられる。
ペットを捨てたりするなどの飼育放棄の場合は、最高で2年間の禁固刑と3万ユーロ(約390万円)の罰金が科される。
また、未成年者による動物虐待の罰則も強化されるが、犯罪内容により、裁判官の判断で「動物虐待に関する講習」を受講することで実刑の代わりとなる。
さらに学校教育に「ペットに関する正しい知識と飼い方」に関する授業が設けられる。
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内容が不十分だとする声も フランスには120人ほどのサーカス所有者がいるが、「彼らが所有する動物が見捨てられる可能性がある」と反発の声も上がっている。
サーカス動物調教者組合の責任者ウィリアム・カーウィッチさんは、「私たちのサーカスには、虐待された動物はいません。これは、恣意的な法律です」と、メディアの取材で述べている。
一方、一部の環境保護団体は法の内容が不十分だと批判があがっている。
というのも、今回の法案には農村部で伝統行事となっている狩猟や闘牛が、長年の文化的慣習として農村地域の支持者により断固として擁護されており、禁止には至らなかったからだ。
環境保護団体は、大規模な畜産農場の環境改善も要求していたが、かねてから議論されていたガチョウやアヒルへの強制給餌で肝臓を肥大させるフォアグラ農場については、今回は含まれていない。
しかし、ミンク養殖農場においては直ちに終了となった。
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世論調査ではフランス人の大多数が支持 世論調査では、フランス人の大多数が法案を支持。
またかねてより、動物の福祉を保護する大規模な署名運動も行われており、それが実を結んだ形となった。今後も、段階的な措置が取られていくことが期待されている。
これらの変更によって、フランスは娯楽のための動物の使用を禁止または大幅に制限した20を超えるヨーロッパ諸国と歩調を合わせた形となった。
ちなみに、ドイツでは2019年に動物たちのショーが禁じられており、イギリスでも同年、野生動物を使ったサーカス公演を禁止する法案が可決されている。
References:France bans wild animals in circuses / What you need to know about France’s new animal rights law / written by Scarlet / edited by parumo
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