野菜だけ、肉だけの生活を続けるとどうなるのか?一卵性双生児による実験
 肉と野菜、どちらの方が体に良いのか?普通に考えれば、それぞれをバランスよく食べるのが理想なのだろうが、極端に肉を食べなかったり、野菜を食べない人も存在する。

 では実際のところどうなのだろう?一卵性双生児のターナー兄弟がそれぞれ肉オンリー、野菜オンリーの生活を12週間送ってみた。


 その結果、どちらのほうがより健康的である、と明確な答えがでるほど単純なものではなかった。一長一短があるようなのだ。

一卵性双子を対象に「肉だけ」「野菜だけ」の12週間生活 この実験は、イギリス・キングス・カレッジ・ロンドンの疫学者ティム・スペクター教授の研究チームが行ったものだ。

 一卵性双生児のヒューゴとロスは、遺伝的にはまったく同じで、お互いがお互いのクローンのような存在だ。そんな彼らが、それぞれ肉か野菜のいずれかしか食べなかったらどうなるのか?

 これを知るために、ヒューゴは厳格な「ヴィーガン食」(動物性の食材が一切含まれない野菜・果物の食事)のみを、ロスは「肉と乳製品」のみを12週間食べ続けた。

 ただし摂取カロリーは2人とも同じで、実験期間中どちらもまったく同じメニューの運動をこなしていた。

 両者とも実験を始まる前は肉と野菜の両方を食べる生活を送っていたそうだが、果たしてどんな変化があったのだろう?

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Is a vegan diet healthier than eating meat and dairy? - BBC REEL肉食は血糖値と活力が不安定 その結果、野菜・果物だけを食べたヒューゴは「コレステロール値が大幅に低下」し、「2型糖尿病への耐性も急上昇」したという。

 最初はどうにもお肉が食べたくて大変だったというヒューゴだが、しばらくするとヴィーガン食にも慣れて、よりエネルギッシュになったと動画の中で語る。

 それだけではない。ヒューゴは「血糖値や活力が安定」していたのに対して、肉と乳製品だけを食べたロスは「活力のギャップ」が激しかった。野菜食は腸内細菌叢の多様性が低下 その一方で、ヒューゴには興味深い変化もあらわれている。それは腸内細菌叢のバラエティが低下したことだ。
これはヒューゴが病気にかかりやすくなった可能性があるということだ。

 今回の実験で、肉と乳製品だけを食べたロスの腸内細菌叢にそれほど変化がなかったのは、乳製品や肉の脂肪などによって細菌が補給されていたからであるようだ。

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image credit:Instagram/The Turner Twins

バランスよく食べることが大切 遺伝的には同じはずの一卵性双生児であってすらも、このような違いが見受けられたのだ。

 こうしたことを考えると、肉と野菜のどちらかがより健康ということではなく、ひとまずはバランスのとれた食事を食べることが大切と言えそうだ。

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腸内細菌と食べ物の関係 なお、スペクター教授らが19年に行った別の一卵性双生児を対象にした2019年の研究では、腸内細菌について面白い事実が判明している。

 それは、腸内細菌の種類や量の豊富さによって、食べ物に対する体の反応が違ってくるということだ。

 同じものを食べているのに、ある人は体重が増え、血糖値が上昇したのに対して、別の人は血中脂肪が減らずに心臓病のリスクが高まったりした。

 お腹の中の細菌は、さまざまな化学物質を分泌することで、免疫系を助けたり、脳が過剰な空腹感やストレスを感じないよう調整したりしている。

 ご想像の通り、それは食べ物の消化にも関係する。

 腸内細菌の種類は人それぞれだ。スペクター教授によると、一卵性双生児ですら25~30%しか共通していないのだという。

 消化には遺伝子も関係しているが、腸内細菌にも大切な役割がある。
一卵性双生児が同じ食品を食べても、体は違う反応を示すのだそうだ。

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 腸内細菌を豊富にするにはどうすればよいか?

 スペクター教授によると、微生物が豊富なプロバイオティクス食品(ヨーグルト、味噌、納豆、ぬか漬け、キムチなど)や、ポリフェノールが豊富に含まれる食品(ベリー、ナッツ、赤ワイン、コーヒー、緑茶、チョコレートなど)、1週間に30種類の野菜や果物を食べるといいそうだ。

 味噌、納豆、緑茶などは我々日本人なら毎日手軽に摂取できそうだね。というかいろんな食品をバランスよく食べる、これに尽きるようだね。

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