
地球上には人間よりも遥かに長生きな動物がいる。2021年5月の研究では、人間の寿命の限界は120~150歳と推測されたが、動物界の中には、何百年はおろか、理論上は不死のものすら存在する。
陸上動物でも、2021年に189歳となったゾウガメの「ジョナサン」など、人間より長寿の動物は存在するが、今回のリストには入っていない。
長寿のチャンピオンは皆、水中に棲む動物なのだ。
このランキングは、海外の科学系メディア『Live Science』が作成したものだ。それでは10位から順番に見ていこう。第10位:ホッキョククジラ(200年以上) ホッキョククジラは、もっとも長生きの哺乳類だ。北極圏に棲むこのクジラの実際の寿命は不明だが、捕獲された個体から見つかった捕鯨用の石銛の先端からは、彼らがゆうに100年以上でも生きられることがわかった。
ひょっとしたら、その寿命は200年以上になるかもしれないという。
このクジラは、壊れたDNAの修復に関係している『ERCC1』という遺伝子に変異をもっていて、このおかげで、死の原因になるガンにならずに済んでいるのかもしれないという。
さらに、PCNAというべつの遺伝子にコピーを作ることができる部分がある。この遺伝子は、細胞の成長と修復に関係していて、コピーを作って更新することで老化が遅くなっていると思われる。
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image credit:Bering Land Bridge National Preserve / WIKI commons
第9位:アラメヌケ(200歳年以上) カサゴの仲間で長寿魚のひとつ。アラメヌケの最大寿命は205年と言われている。
朱色または茶色がかったこの魚は、カリフォルニアから日本かけての太平洋に生息していて、エビや小魚をエサにして、体長97センチほどにまで成長する。カナダでは絶滅危惧種に指定されている。
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第8位:ホンカワシンジュガイ(280年) ワシンジュガイ属のホンカワシンジュガイは水を濾過してエサを摂取する二枚貝。ヨーロッパ、北米の川や流れでおもに見られる。
最長老は280年も生きているという。この無脊椎動物は、代謝が極端に遅いため、長寿でいられるのだと言われている。
だが、絶滅が危惧されている種でもある。人間が絡むさまざまな要因のせいで、彼らにとって不可欠な川の環境が変化したり破壊されたりして、その数は減っている。
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image credit:Joel Berglund / WIKI commons
第7位:ニシオンデンザメ(272年説、512年説) ニシオンデンザメ北極や北大西洋の深海に生息する。7.3メートルまで成長し、魚やアザラシなどの海洋哺乳類を含む、さまざまな獲物をエサにしている。
彼らは、少なくとも272歳までは生き、最大392歳とも推定されるが、『Science』に掲載された論文によると、512歳になる可能性もあるという。この推測は確実とはいえないが、最低でも272歳とは、地球上でもっとも長寿の脊椎動物ということになる。
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Oldest Shark in the World - 512 Year Old Greenland Shark第6位:チューブワーム(300年以上) チューブワームは深海の熱水噴出孔や冷水湧出帯周辺に生息する無脊椎動物。
2017年『Science of Nature』誌に発表された研究によると、メキシコ湾の海底に生息するチューブワームの寿命は200年にもなり、中には300年以上生きるものもあるという。
天敵がほとんどいないなど、死の原因となる自然の脅威がなく、死亡率が低いこともあって、このような長寿に進化したと思われる。
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image credit:Charles Fisher / WIKI commons
第5位:アイスランドガイ(500年以上) 北大西洋の海に生息するアイスランドガイは、ほかの二枚貝よりも長生きだ。英国のウェールズ国立博物館によると、2006年にアイスランド沖で発見された貝は、507歳と推測された。
この古代の貝は、明王朝が中国を統治していた時代(1368年~1644年)の1499年に生まれたことから、"ミン"と名づけられた。
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image credit:WIKI commons
第4位:ツノサンゴ(4000年以上) サンゴは、カラフルな水中の岩や植物のように見えるが、実際はポリプ(刺胞動物のうち着生生活を行い、群体を構成する)と呼ばれる無脊椎動物の外骨格でできている。
このポリプは、絶えず増殖し、遺伝子的に自分と同じコピーを作って置き換えていくため、全体がどんどん大きくなっていく。
ニシオンデンザメやアイスランドガイのような単一の生物体ではなく、複数の同一生物で構成されているため、その寿命はチームワークの力で決まる。
サンゴの仲間は数百年以上生きることがあるが、その中でも、深海に生きるこのツノサンゴはもっとも長寿だ。ハワイ沖で見つかったものは、4265歳と推定されたという。
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image credit: NOAA's Hawaii Undersea Research Laboratory (HURL)
第3位:ガラス海綿類(1万年以上) サンゴのように生物のコロニーでできていて、数千年も生きることがある。
多くは深海で生息し、その骨格がガラスに似ていることからその名がついた。
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photo by iStock
『Chmemical Geology』誌に掲載された2012年の研究によると、ガラス海綿の一種である”Monorhaphis chuni”は、1万1000年前のものだと推定されたという。ほかのガラス海綿にも、もっと長寿のものがいるかもしれない。第2位: ベニクラゲ(理論上は不老不死) ヒドロ虫綱に属するベニクラゲは、理論上は不老不死だと言われている。幼生で生まれ、海底に定着してポリプになり、やがて自由に泳ぐことができるメデューサという成体になっていく。
成体は、体にダメージを受けたり、エサがなかったりすると、ポリプに逆戻りする「若返り」ができる特殊な能力がある。のちに、環境が安定すると再び成体に戻る。
地中海に棲むこのベニクラゲは、こうしたライフサイクルを何度も繰り返すことができ、適切な環境のもとでは、老衰で死ぬことはないと言われている。
だが、彼らは4.5ミリ以下ととても体が小さく、魚などほかの生物のエサになったり、ほかの要因で死んでしまうことが多い。だから、実際には不死を達成できるものはほとんどいない。
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Turritopsis nutricula season has arrived.第1位:ヒドラ(理論上は不老不死) クラゲに似た小さな軟体無脊椎動物の一種、ヒドラは、ベニクラゲと同様、不老不死だと言われていて、老化による衰退が見られない。
こうした無脊椎動物はほとんど幹細胞でできていて、自分のクローンや複製を作って再生し続けることができる。
捕食者や病気などのせいで、自然の状態では死んでしまうことが多いが、そうした外的脅威がなければ、不死身でいられるのかもしれない。
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References:The longest living animals on Earth | Live Science / written by konohazuku / edited by parumo
追記:(2022/01/01)本文を一部訂正して再送します。
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
陸上動物でも、2021年に189歳となったゾウガメの「ジョナサン」など、人間より長寿の動物は存在するが、今回のリストには入っていない。
長寿のチャンピオンは皆、水中に棲む動物なのだ。
このランキングは、海外の科学系メディア『Live Science』が作成したものだ。それでは10位から順番に見ていこう。第10位:ホッキョククジラ(200年以上) ホッキョククジラは、もっとも長生きの哺乳類だ。北極圏に棲むこのクジラの実際の寿命は不明だが、捕獲された個体から見つかった捕鯨用の石銛の先端からは、彼らがゆうに100年以上でも生きられることがわかった。
ひょっとしたら、その寿命は200年以上になるかもしれないという。
このクジラは、壊れたDNAの修復に関係している『ERCC1』という遺伝子に変異をもっていて、このおかげで、死の原因になるガンにならずに済んでいるのかもしれないという。
さらに、PCNAというべつの遺伝子にコピーを作ることができる部分がある。この遺伝子は、細胞の成長と修復に関係していて、コピーを作って更新することで老化が遅くなっていると思われる。
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image credit:Bering Land Bridge National Preserve / WIKI commons
第9位:アラメヌケ(200歳年以上) カサゴの仲間で長寿魚のひとつ。アラメヌケの最大寿命は205年と言われている。
朱色または茶色がかったこの魚は、カリフォルニアから日本かけての太平洋に生息していて、エビや小魚をエサにして、体長97センチほどにまで成長する。カナダでは絶滅危惧種に指定されている。
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第8位:ホンカワシンジュガイ(280年) ワシンジュガイ属のホンカワシンジュガイは水を濾過してエサを摂取する二枚貝。ヨーロッパ、北米の川や流れでおもに見られる。
最長老は280年も生きているという。この無脊椎動物は、代謝が極端に遅いため、長寿でいられるのだと言われている。
だが、絶滅が危惧されている種でもある。人間が絡むさまざまな要因のせいで、彼らにとって不可欠な川の環境が変化したり破壊されたりして、その数は減っている。
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image credit:Joel Berglund / WIKI commons
第7位:ニシオンデンザメ(272年説、512年説) ニシオンデンザメ北極や北大西洋の深海に生息する。7.3メートルまで成長し、魚やアザラシなどの海洋哺乳類を含む、さまざまな獲物をエサにしている。
彼らは、少なくとも272歳までは生き、最大392歳とも推定されるが、『Science』に掲載された論文によると、512歳になる可能性もあるという。この推測は確実とはいえないが、最低でも272歳とは、地球上でもっとも長寿の脊椎動物ということになる。
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Oldest Shark in the World - 512 Year Old Greenland Shark第6位:チューブワーム(300年以上) チューブワームは深海の熱水噴出孔や冷水湧出帯周辺に生息する無脊椎動物。
2017年『Science of Nature』誌に発表された研究によると、メキシコ湾の海底に生息するチューブワームの寿命は200年にもなり、中には300年以上生きるものもあるという。
天敵がほとんどいないなど、死の原因となる自然の脅威がなく、死亡率が低いこともあって、このような長寿に進化したと思われる。
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image credit:Charles Fisher / WIKI commons
第5位:アイスランドガイ(500年以上) 北大西洋の海に生息するアイスランドガイは、ほかの二枚貝よりも長生きだ。英国のウェールズ国立博物館によると、2006年にアイスランド沖で発見された貝は、507歳と推測された。
この古代の貝は、明王朝が中国を統治していた時代(1368年~1644年)の1499年に生まれたことから、"ミン"と名づけられた。
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第4位:ツノサンゴ(4000年以上) サンゴは、カラフルな水中の岩や植物のように見えるが、実際はポリプ(刺胞動物のうち着生生活を行い、群体を構成する)と呼ばれる無脊椎動物の外骨格でできている。
このポリプは、絶えず増殖し、遺伝子的に自分と同じコピーを作って置き換えていくため、全体がどんどん大きくなっていく。
ニシオンデンザメやアイスランドガイのような単一の生物体ではなく、複数の同一生物で構成されているため、その寿命はチームワークの力で決まる。
サンゴの仲間は数百年以上生きることがあるが、その中でも、深海に生きるこのツノサンゴはもっとも長寿だ。ハワイ沖で見つかったものは、4265歳と推定されたという。
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image credit: NOAA's Hawaii Undersea Research Laboratory (HURL)
第3位:ガラス海綿類(1万年以上) サンゴのように生物のコロニーでできていて、数千年も生きることがある。
ガラス海綿類(六放海綿綱)は地球上の海綿類でももっとも長生きだ。
多くは深海で生息し、その骨格がガラスに似ていることからその名がついた。
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『Chmemical Geology』誌に掲載された2012年の研究によると、ガラス海綿の一種である”Monorhaphis chuni”は、1万1000年前のものだと推定されたという。ほかのガラス海綿にも、もっと長寿のものがいるかもしれない。第2位: ベニクラゲ(理論上は不老不死) ヒドロ虫綱に属するベニクラゲは、理論上は不老不死だと言われている。幼生で生まれ、海底に定着してポリプになり、やがて自由に泳ぐことができるメデューサという成体になっていく。
成体は、体にダメージを受けたり、エサがなかったりすると、ポリプに逆戻りする「若返り」ができる特殊な能力がある。のちに、環境が安定すると再び成体に戻る。
地中海に棲むこのベニクラゲは、こうしたライフサイクルを何度も繰り返すことができ、適切な環境のもとでは、老衰で死ぬことはないと言われている。
だが、彼らは4.5ミリ以下ととても体が小さく、魚などほかの生物のエサになったり、ほかの要因で死んでしまうことが多い。だから、実際には不死を達成できるものはほとんどいない。
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Turritopsis nutricula season has arrived.第1位:ヒドラ(理論上は不老不死) クラゲに似た小さな軟体無脊椎動物の一種、ヒドラは、ベニクラゲと同様、不老不死だと言われていて、老化による衰退が見られない。
こうした無脊椎動物はほとんど幹細胞でできていて、自分のクローンや複製を作って再生し続けることができる。
捕食者や病気などのせいで、自然の状態では死んでしまうことが多いが、そうした外的脅威がなければ、不死身でいられるのかもしれない。
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References:The longest living animals on Earth | Live Science / written by konohazuku / edited by parumo
追記:(2022/01/01)本文を一部訂正して再送します。
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