【続編】『Never Mind』の赤ちゃん、性的搾取訴訟が裁判所に却下される
photo by DGC Records
 アメリカのロックバンド「ニルヴァーナ」のセカンドアルバム「Never Mind」のカバージャケットの写真に採用された、プールを裸で泳ぐ赤ちゃんが、昨年8月、バンドのメンバーや写真家、レコード会社など15人を相手取って地方裁判所に提訴したというニュースをお伝えしたかと思う。

 この赤ちゃんはスペンサー・エルデンさん(30歳)で、提訴の理由はこの写真が児童ポルノにあたるとし、性的搾取に利用されたというものだ。

 それぞれに15万ドルの損害賠償金を請求していたが、このほどカリフォルニア地方裁判所がその申し立てを退けたことが『Sky News』などで報じられた。

ニルヴァーナのアルバムの赤ちゃん、性的搾取として提訴 スペンサー・エルデンさん(30歳)は、生後4か月の時にニルヴァーナのセカンドアルバム「Never Mind」のジャケットに起用された。

 釣り針にかかった1ドル札に手を伸ばしながら裸でプールを裸で泳ぐ赤ちゃんの姿が印象的なこの写真は、当時大反響を呼んだ。

 アルバム発売から30年がたち、エルデンさんはその写真が連邦児童ポルノ法に違反する性的搾取であると裁判所に訴えを起こした。

[動画を見る]

 エルデンさんは、生存するニルヴァーナのメンバー、およびボーカルの故カート・コバーンさんの遺産管理団体、デザイナーのロバート・フィッシャーさん、レコード会社、そしてアルバムジャケットの写真を撮影した写真家のカーク・ウェドルさんら合計15人を相手に、1人当たり15万ドル(約1650万円)の損害賠償金と裁判費用を求める訴訟を提起。

 その悪名高いイメージが、彼に「極度の永続的な感情的苦痛」を与えたと同様に、「収入獲得能力」および「人生の楽しみ」の損失を引き起こしたと主張していた。エルデンさんの訴えを裁判所が却下 そして最近、その結末が報じられた。カリフォルニア地方裁判所はエルデンさんのニルヴァーナに対する訴えを却下したのだ。

 先月、エルデンさんの主張にはメリットがないとするニルヴァーナの弁護士は、次のように述べた。
Never Mindのジャケット写真が「児童ポルノ」であるというエルデン氏の主張は、表面的には深刻ではなく、それが正当だとするならば、レコードやCDのコピーを所有している人全てが「エルデン氏の理論に基づく児童ポルノ所持で、有罪になることでしょう。
 更に、弁護士は「最近までエルデン氏は、“自分がニルヴァーナの赤ちゃん”だ」という悪名を楽しんでいたようだ」と指摘した。
彼は、何度も自分があの時の赤ちゃんだと宣伝し、報酬を得て写真を再現していました。

また、当時のジャケット写真について肯定的なコメントを発したり、パロディ写真を自撮りしてソーシャルメディアでシェアしたり、トークショーにも出演したりした他、eBayで販売されているアルバムカバーのコピーにもサインをしたりしていました。

更に彼は、この特権をちらつかせて、女性とお近づきになろうと試みたこともあったようです。
[画像を見る] エルデンさん側は訴訟内容を修正し再提出する意向 実は、この主張に対する時効は2011年に失効しており、今回エルデンさんが訴訟を起こすには遅すぎたとニルヴァーナ側は主張している。

 しかし、弁護士の1人マーシュ・ロー氏は去年の声明でこのように述べている。
Never Mindが現在の形で販売され続けている限り、時効は適用されません。児童ポルノは永遠の犯罪です。

性的に露骨な子供のイメージの配布や利益は、長年の責任を生むだけでなく、生涯にわたるトラウマを生みます。これは、活発に取引されている児童ポルノの被害者であるすべてのクライアントに共通しています。

何年前にその画像が作成されたのか、ということが問題ではないのです。
 ただ事実としては、エルデンさん側はニルヴァーナ側の却下の申し立てに対し、去年12月30日までに対応する必要があったが、多忙と混乱のために期限を逃してしまった。

 その結果、地方裁判所がこの訴訟を却下した。

 しかし、内容について修正の余地がある事案として、エルデンさん側に修正する期間を提示している。

 その期限は1月13日となっており、再提出する必要があるとされたエルデンさんの弁護士ロバート・ルイス氏は、「期日までに協議をして行動に移す。我々には自信がある」と述べている。

written by Scarlet / edited by parumo

画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
編集部おすすめ