
そこで開発されたのは、防弾チョッキならぬ防サメウエットスーツ、「シャークストップ(Shark Stop)」だ。
軽量なのに、鋼の8~15倍の強度をもつ超高分子量ポリエチレンを組み込んだ素材がサメの脅威から、あなたの体を守ってくれるという。
4年の月日を経て開発された新素材を採用 4年の基礎研究を経て開発されたというシャークストップは、宇宙時代の「超高分子量ポリエチレン・ナノファイバー(UHMWPE)」でできている。
UHMWPEは、重量あたりの強度が防弾チョッキに使われるケブラーの50%高く、鋼鉄の8~15倍強靭だ。耐衝撃性・耐切創性・耐摩耗性があり、それでいて密度が低いために軽量で、着用しても疲れにくい。
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その性能には、きちんとした科学的な裏付けがある。フリンダース大学の研究者によって性能試験が行われて、その結果が査読付きの学術誌で発表されているからだ。
それによると、UHMWPEは市販のあらゆる繊維の性能を凌駕していることが実証されたという。
試験の様子は動画でも公開されている。実際にサメにガジガジと噛ませてみても、その強力な咬合力に耐え、たとえ最悪の襲撃であってさえも、ちくっと痛みを感じる程度の穴が開くだけだ。
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サメの歯から動脈を守る シャークストップにはこのスーパー繊維、UHMWPEが戦略的に配置されている。
サメに襲われたとき、もっとも命取りになるのは大腿動脈に傷がついたケースだという。
せっかくの防御力であっても、鎧のような着心地では何もかも台無しだ。だからシャークストップは体の動きを邪魔しないよう、非常に柔軟な作りになっている。
シャークストップの着用者がビーチで屈伸したり、華麗なサーフィンを披露したりしているデモからは、動きにくさなど微塵も感じないだろう。
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キックスターターで目標予算達成で販売決定 防サメウエットスーツ、シャークストップは現在、クラウドファンディング「Kickstarter」で支援を募集しており、すでに目標金額に達成したため、販売が決定している。
欲しい人は、795豪ドル(約65000円)からの支援で入手できる。ダイビング用とサーフィン用があり、厚さも2~7mmから選ぶことができる。海で命を守る値段だと思えば、決して高くはないだろう。
個人的な興味としては、陸の覇者、クマに襲われた場合も大丈夫なのかどうかだが、それを自分で実験するにはあまりにもリスクが高すぎるのでやめておくことにしよう、そうしよう。
Shark Stop Wetsuits by Shark Stop — Kickstarter
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written by hiroching / edited by parumo
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