
森に行けば、鳥のさえずりや木々のざわめきが聞こえてくるように、水の中もさまざまな音であふれている。水中で耳をすましてみれば、魚のおしゃべりが聞こえてくるかもしれない。
魚のコミュニケーションは色・ボディランゲージ・電気といった手段で行われていると考えられてきたが、じつは彼らも音声によって意思を伝えていることが判明しつつある。
新たな研究によれば、魚類175科のうち3分の2が音によるコミュニケーションを交わしており、そうした能力は1億5500万年前に進化したと考えられるという。
そしてそれは陸上の動物たちが音声によるコミュニケーションを発達させた時期と一致するのだ。
多くの魚が音でコミュニケーションをとっていた 『Ichthyology & Herpetology』(2022年1月20日付)に掲載された研究では、魚の解剖学的な特徴や音声の録音記録などから、「条鰭類(じょうきるい)」(現生の魚類の大部分にあたる2万6,891種)は声帯がなくても音を出せることを明らかにしている。
今回の研究では175科の魚が調査されたが、その3分の2が音声を介してコミュニケーションできることがわかったという。
これまでは5分の1程度と推測されていたので、魚は想像よりずっとおしゃべりだったということになる。
アメリカ、コーネル大学の進化神経科学者アンドリュー・バス氏は語る。
[画像を見る]
photo by iStock
魚はどうやって声を出すのか? 魚の声はバラエティ豊かだ。まるで低音管楽器のように低く深い美声の持ち主もいるし、ブッブッとノイズのような声を出す仲間もいる。
魚は歯を擦り合わせたり、水の中で体を動かしたりして音を出すこともある。だがもっとも一般的な音の出し方は、「浮袋の筋肉」を利用したものだ。
今回の研究の主執筆者アーロン・ライス氏によると、たとえば「ガマアンコウ」の浮袋筋が収縮するスピードは、脊椎動物の骨格筋では最速なのだという。これは音声を出すうえで非常に高性能な機能である。
イサリビガマアンコウの音声動画
[動画を見る]
Talking Fish: the midshipman魚の声は1億5500万年前に進化した 魚類の歴史上、音声によるコミュニケーションは個別に33回進化しただろうことも明らかになっている。
どうも最初に魚がおしゃべりを始めた時期は1億5500万年前のことであるようだ。奇しくも、これは陸上の動物がしゃべり始めた時期と一致する。
研究によると、この結果は魚の発声能力が大昔からあったという仮説を裏付けている。そしてこのことから、「こうした特徴の進化をうながした強い選択圧が脊椎動物にかかっていた」ことがうかがえるのだという。
ロングスパインスコーレルフィッシュの音声
[動画を見る]
Talking fish: the longspine squirrel fish魚はどんな会話をしているのか? ガマアンコウやナマズのような、特におしゃべり好きな魚もいる。そうした魚たちはどんな会話を交わしているのだろうか? おそらくは食べ物や危険・縄張り・交尾の相手といったことだろう。
面白いことに、魚の声でおしゃべり好きな魚たちを引きつけて、サンゴ礁を再生しようと試みる研究者もいるという。
魚には声があり、私たちと同じくらい大昔からおしゃべりしてきた。今度海や川に行ったら耳をすませてみよう。
References:Look who’s talking now: the fishes | Cornell Chronicle / written by hiroching / edited by parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
魚のコミュニケーションは色・ボディランゲージ・電気といった手段で行われていると考えられてきたが、じつは彼らも音声によって意思を伝えていることが判明しつつある。
新たな研究によれば、魚類175科のうち3分の2が音によるコミュニケーションを交わしており、そうした能力は1億5500万年前に進化したと考えられるという。
そしてそれは陸上の動物たちが音声によるコミュニケーションを発達させた時期と一致するのだ。
多くの魚が音でコミュニケーションをとっていた 『Ichthyology & Herpetology』(2022年1月20日付)に掲載された研究では、魚の解剖学的な特徴や音声の録音記録などから、「条鰭類(じょうきるい)」(現生の魚類の大部分にあたる2万6,891種)は声帯がなくても音を出せることを明らかにしている。
今回の研究では175科の魚が調査されたが、その3分の2が音声を介してコミュニケーションできることがわかったという。
これまでは5分の1程度と推測されていたので、魚は想像よりずっとおしゃべりだったということになる。
アメリカ、コーネル大学の進化神経科学者アンドリュー・バス氏は語る。
魚は簡単には見えないし、その声に耳を傾けることも難しいです。だから水中の音響コミュニケーションの研究は、主にクジラやイルカに限られ、魚は見落とされてきました
[画像を見る]
photo by iStock
魚はどうやって声を出すのか? 魚の声はバラエティ豊かだ。まるで低音管楽器のように低く深い美声の持ち主もいるし、ブッブッとノイズのような声を出す仲間もいる。
魚は歯を擦り合わせたり、水の中で体を動かしたりして音を出すこともある。だがもっとも一般的な音の出し方は、「浮袋の筋肉」を利用したものだ。
今回の研究の主執筆者アーロン・ライス氏によると、たとえば「ガマアンコウ」の浮袋筋が収縮するスピードは、脊椎動物の骨格筋では最速なのだという。これは音声を出すうえで非常に高性能な機能である。
イサリビガマアンコウの音声動画
[動画を見る]
Talking Fish: the midshipman魚の声は1億5500万年前に進化した 魚類の歴史上、音声によるコミュニケーションは個別に33回進化しただろうことも明らかになっている。
どうも最初に魚がおしゃべりを始めた時期は1億5500万年前のことであるようだ。奇しくも、これは陸上の動物がしゃべり始めた時期と一致する。
研究によると、この結果は魚の発声能力が大昔からあったという仮説を裏付けている。そしてこのことから、「こうした特徴の進化をうながした強い選択圧が脊椎動物にかかっていた」ことがうかがえるのだという。
ロングスパインスコーレルフィッシュの音声
[動画を見る]
Talking fish: the longspine squirrel fish魚はどんな会話をしているのか? ガマアンコウやナマズのような、特におしゃべり好きな魚もいる。そうした魚たちはどんな会話を交わしているのだろうか? おそらくは食べ物や危険・縄張り・交尾の相手といったことだろう。
面白いことに、魚の声でおしゃべり好きな魚たちを引きつけて、サンゴ礁を再生しようと試みる研究者もいるという。
魚には声があり、私たちと同じくらい大昔からおしゃべりしてきた。今度海や川に行ったら耳をすませてみよう。
もしかしたら魚たちがあなたについて噂する声が聞こえてくるかもしれない。
References:Look who’s talking now: the fishes | Cornell Chronicle / written by hiroching / edited by parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
編集部おすすめ