
世界の3分の1の人々は乾燥地帯で暮らしており、深刻な水不足に悩まされている。そこで新たに開発されたのが、大気中から低コストで、水分取り出して飲料水にすることができるゼリー状のフィルムだ。
いわば「スターウォーズ」に出て来る砂漠の惑星「タトゥイーン」の水分凝結機 のようなものだ。
『Nature Communications』(2022年5月19日付)に掲載された研究論文によると、このフィルムは、こんにゃくや植物繊維の主成分が原材料で、1キログラムあたりわずか2ドル(250円)ほど。
フィルム1キロで、湿度15%のもっとも乾燥した地域でも1時間あたり6リットル、湿度30%なら13リットルも飲み水を取り出せるという。
空気中から低コストで飲料水を取り出す技術 一般に湿度といったら「相対湿度」のことを指している。空気が水分を含んでいることはご承知の通り。その空気が含むことができる最大の水分量(飽和水蒸気量)に対して、現在含んでいる水分の量の割合、これが相対湿度だ。
だから(相対)湿度100%は、空気が完全に水蒸気で飽和して、それ以上水分を保持できない状態のことだ。そして私たちが快適に過ごせるのは湿度30~50%の時で、30%以下なら乾燥地域ということになる。
これまで砂漠の空気から水を抽出する試みは、エネルギーがかかりすぎ、あまり効率的なものではなかった。だが今回のゼリー状のフィルムは、そうした乾燥地域であっても低コストで水を取り出せるという。
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乾燥地域の人々のために水を集めてくれるゼリー・フィルム/Credit: the University of Texas at
「この新しい取り組みは、地球上でもっとも暑く乾燥した地域で暮らす人々に水を届ける実用的な解決法です」と、テキサス大学オースティン校のユ・グイファ教授は話す。
これまで飲み水を利用できなかった何百万もの人々が、家庭で簡単に水を利用できるようなるそうだ。
これを混ぜるだけで、親水性(水を引き寄せる)のある表面積の大きな多孔質膜を形成し、空気中から水蒸気を集めてくれる。
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型に流し込めば、さまざまな大きさや形に成形することができる/Credit: the University of Texas at Austin/Cockrell School of Engineering水を集めるのも取り出すのも簡単、しかも低コスト 混ぜたものを型に流し込めば2分でゲル状に固まるので、これをフリーズドライして型から取り出せば、すぐに水を吸収するようになる。
ヒドロキシプロピルセルロースは温度に反応するので、加熱すると今度は水を弾くようになる。吸収した水を取り出す時は、この性質を利用すればいい。
60度で10分も加熱すれば、集めた水を全部吐き出してくれる。おかげで少ないエネルギーで水を回収することができる。
製造にかかる費用は、1キログラムあたりわずか2ドル(250円)。フィルム1キログラムで取り出せる水の量は、湿度15%の場所で1時間あたり6リットル、湿度30%なら13リットルも飲み水を取り出せる。
柔軟性があり、型を使えばいろいろな形やサイズに成形できるし、作るときも材料を型の中で混ぜてやるだけでいい。材料さえあれば、誰でも自宅で簡単に作ることができるという。
References:Low-cost gel film pulls clean drinking water from desert air / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
いわば「スターウォーズ」に出て来る砂漠の惑星「タトゥイーン」の水分凝結機 のようなものだ。
『Nature Communications』(2022年5月19日付)に掲載された研究論文によると、このフィルムは、こんにゃくや植物繊維の主成分が原材料で、1キログラムあたりわずか2ドル(250円)ほど。
フィルム1キロで、湿度15%のもっとも乾燥した地域でも1時間あたり6リットル、湿度30%なら13リットルも飲み水を取り出せるという。
空気中から低コストで飲料水を取り出す技術 一般に湿度といったら「相対湿度」のことを指している。空気が水分を含んでいることはご承知の通り。その空気が含むことができる最大の水分量(飽和水蒸気量)に対して、現在含んでいる水分の量の割合、これが相対湿度だ。
だから(相対)湿度100%は、空気が完全に水蒸気で飽和して、それ以上水分を保持できない状態のことだ。そして私たちが快適に過ごせるのは湿度30~50%の時で、30%以下なら乾燥地域ということになる。
これまで砂漠の空気から水を抽出する試みは、エネルギーがかかりすぎ、あまり効率的なものではなかった。だが今回のゼリー状のフィルムは、そうした乾燥地域であっても低コストで水を取り出せるという。
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乾燥地域の人々のために水を集めてくれるゼリー・フィルム/Credit: the University of Texas at
「この新しい取り組みは、地球上でもっとも暑く乾燥した地域で暮らす人々に水を届ける実用的な解決法です」と、テキサス大学オースティン校のユ・グイファ教授は話す。
これまで飲み水を利用できなかった何百万もの人々が、家庭で簡単に水を利用できるようなるそうだ。
主成分は、こんにゃくと植物繊維 こんにゃくゼリー・フィルムの材料は、こんにゃくの主成分「グルコマンナン」、「塩化リチウム」と、セルロース(植物繊維の主成分)から作られる「ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)」だ。
これを混ぜるだけで、親水性(水を引き寄せる)のある表面積の大きな多孔質膜を形成し、空気中から水蒸気を集めてくれる。
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型に流し込めば、さまざまな大きさや形に成形することができる/Credit: the University of Texas at Austin/Cockrell School of Engineering水を集めるのも取り出すのも簡単、しかも低コスト 混ぜたものを型に流し込めば2分でゲル状に固まるので、これをフリーズドライして型から取り出せば、すぐに水を吸収するようになる。
ヒドロキシプロピルセルロースは温度に反応するので、加熱すると今度は水を弾くようになる。吸収した水を取り出す時は、この性質を利用すればいい。
60度で10分も加熱すれば、集めた水を全部吐き出してくれる。おかげで少ないエネルギーで水を回収することができる。
製造にかかる費用は、1キログラムあたりわずか2ドル(250円)。フィルム1キログラムで取り出せる水の量は、湿度15%の場所で1時間あたり6リットル、湿度30%なら13リットルも飲み水を取り出せる。
柔軟性があり、型を使えばいろいろな形やサイズに成形できるし、作るときも材料を型の中で混ぜてやるだけでいい。材料さえあれば、誰でも自宅で簡単に作ることができるという。
References:Low-cost gel film pulls clean drinking water from desert air / written by hiroching / edited by / parumo
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