太平洋ゴミベルトの90%以上のゴミは6か国から排出された可能性が高いことが判明
 北太平洋の中央には海流などの影響により、海洋ゴミが大量に集まっている場所がある。「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる海域だ。


 オランダの研究グループが、「太平洋ゴミベルト」の調査を行ったところ、特定できたゴミの90%以上は、漁業が盛んな6か国から出たゴミであることが明らかになった。その中には日本も含まれている。

 『Scienctific Reports』(2022年9月1日付)で報告された今回の調査では、海を流れるゴミは、陸上よりも、漁業で発生する可能性が圧倒的に高いことも明らかになっている。

太平洋ゴミベルトのゴミはどこから集まって来たのか? 北太平洋の海水が循環する経路(亜熱帯循環)には、巨大なゴミの島ができている。ほとんどがプラスチックで占められる数万トンのゴミは、数百万平方キロメートルをおおっており、「「太平洋ゴミベルト」と呼ばれている。

 こうした海洋のプラスチックゴミ汚染は近年、深刻な環境問題として大きな話題になっている。だが、どこから来たゴミが、海を漂流することになったのかは、これまでよくわかっていなかった。

 そこで今回、オランダのゴミ回収プロジェクト「オーシャン・クリーンアップ」とワーヘニンゲン大学のグループは、太平洋ゴミベルトから6000個のサンプルを採取し、その発生源を調べてみることにした。

 具体的には、ゴミに印刷されている文字や、ロゴのような記号から、発生した国の特定が試みられた。

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ゴミの発生源は、文字や記号をもとに特定が試みられた/Credit: The Ocean Cleanup特定できたゴミの92%は6か国から排出されたものだった サンプルとして集められた6000個のゴミのうち、約3分の1のゴミは、どのような用途で使われていたのか、どこから運ばれてきたのかがわからない正体不明のゴミだった。

 用途が判明した3分の2のゴミのうち、26%は漁業に使う道具(漁具)だった。さらに漁業に関連するプラスチック製のブイや浮きは、ゴミの構成に占める割合なら3%だけだが、質量の点では21%と非常に大きいことがわかった。


 また、そのうちの232個のゴミが、どこの国のものかを特定することができた。日本が33.6%と最も多く、次いで中国32.3%、韓国9.9%、米国6.5%、台湾5.6%、カナダ4.7%と続いた。

 これら6か国で、”特定できた”太平洋ゴミベルト全体のゴミの92%を占めるという結果となった。

 国が特定できたゴミは232個のみなので、必ずしもこの順位に正当性があるわけではないが、上位6か国が漁業関係のゴミを排出しているのは確かだ。

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ひらがなが書かれたクレート、うなぎ捕獲用のつつ、網など、いずれも漁業に関連する/Credit: The Ocean Cleanup太平洋ゴミベルトは漁業関連のゴミが多いことも判明 また研究グループの試算によると、陸上でゴミが発生する可能性より、漁業に関連して発生する可能性が10倍も高いとのこと。

 ちなみに、6か国はいずれも活発に漁業をおこなっている国だ。

References:Industrialised fishing nations largely contribute to floating plastic pollution in the North Pacific subtropical gyre | Scientific Reports / More than 90% of identifiable trash in North Pacific Garbage Patch comes from just six countries / written by hiroching / edited by / parumo

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