日本とイギリスの意外な共通点。ほぼ同時期に作られたストーンサークル
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 先史時代の日本(縄文時代)とイギリスには、「ストーンサークル(環状列石)」を作るという不思議な共通点があるという。

 天文に関連するストーンサークルや、死者の遺骨を納めるストーンサークルなど、数千年前のイギリス人と日本人は不思議なほどに似たものを作っているのだ。


 もちろん当時の人たちがお互いに交流したことはない。それでもこの2つの文化は、ただ島国で暮らしていたという以上に、イデオロギーが似ているのだそうだ。

ほぼ同時期、イギリスと日本に作られたストーンサークル イギリスのストーンサークルといえば、ロンドンから200キロ西にある「ストーンヘンジ」が有名だろう。

 考古学的な調査によれば、ストーンヘンジが建設されたのは紀元前2500年から前2000年頃であることが判明している。

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イギリスノストーンヘンジ photo by Unsplash
 ストーンヘンジが作られたとされる約5000年前、日本は縄文時代だったが、実は私たちの国にも同時期に作られたストーンサークルが存在する。

 例えば、秋田県にある「大湯環状列石」や「伊勢堂岱遺跡」だ。

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秋田県鹿角市の大湯環状列石。日本国内に所在する最大級のストーンサークル / image credit:掬茶 / WIKI commons

 これらの遺跡のサークルは、ストーンヘンジのような巨大な一枚岩ではなく、滑らかな川石を何千個も使って作られたものだ。

 だが、ストーンヘンジと同じく、夏至になれば太陽と一直線に並び、埋葬の儀式に使われたとも考えられている。

 また材料を集め、サークルを完成させるには、地域社会の膨大な労力が必要だっただろう点も同じだ。

 イングリッシュ・ヘリテッジ(英政府が設立した歴史的建物の保存を目的とする組織)の歴史学者スーザン・グリーニー氏は、「先史時代、日本とイギリスの接触がなかったことは明らかですが、驚くほどの類似点があります」と解説する。

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伊勢堂岱遺跡と白神山地 / image credit:Wc018 / WIKI commons想像以上に似たイデオロギーを持っていた両国 当時の日本人とイギリス人はお互いの存在すら知らなかっただろう。


 それでも、イングリッシュ・ヘリテッジのマーティン・オールフリー氏によれば、両者は「想像以上にイデオロギーが近かった」かもしれないのだそうだ。

 この類似性は、地形にも関係している可能性がある。

 日本とイギリスは同じくらいの緯度に位置し、気候や利用できる天然資源も似ている。

 ただし、ストーンヘンジの近くに住んでいた新石器時代の人々が農耕を営んでいたのに対し、日本のストーンサークルを作った縄文人は狩猟採集民だった。

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伊勢堂岱遺跡出土の板状土偶 / image credit:Ko010 / WIKI commons

 現在、英ソールズベリーにあるストーンヘンジ・ビジターセンターで開催中の『Circles of Stone: Stonehenge and Prehistoric Japan』では、こうした日本とイギリスの意外な共通点をテーマにした貴重な品々が展示されている。

 新潟県長岡市の馬高遺跡で発掘された「火焔土器(かえんがたどき)」なども展示されているそうだ。

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馬高遺跡出土の深鉢形土器、火焔土器 / image credit:public domain/wikimedia
References:What Do Stonehenge and Japanese Stone Circles Have in Common? | Smart News| Smithsonian Magazine / written by hiroching / edited by / parumo

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