指長っ!アイアイの鼻ほじりが想像を絶する奥深さだった件
 昭和の子供たちなら歌ったことのある同業「アイアイ、アイアイ、おさるさんだよ~♪」で知られるアイアイは、普通のおさるさんとは異なる奇妙な特徴をもっている。

 生息地のマダガスカルでは「悪魔の使い」と見なされている不遇の生き物なのだが、その理由は異様に細長い中指にある。


 現地では「中指で指された者は死ぬ」と信じられており、不吉の象徴として駆除されていたそうだ。他にも生息地の破壊や食用の狩猟の為、生息数は減少し絶滅危惧種に指定されている。

 まあたしかにその中指は想像以上に長いのだが、小さな穴に入り込んだ虫を掘り出すのにはとても便利だ。

 また、鼻をほじるのにも使用されているそうで、その指は喉の奥まで届いていることが新たな研究で明らかとなった。

腕の4割もの長さがある細長い指を持つアイアイ アイアイ(学名 Daubentonia madagascariensis)はキツネザルに近いアイアイ科の霊長類で、中指が異常に長く発達していることから、ユビザルとも呼ばれる。

 夜行性の霊長類として世界最大クラスのアイアイは、生息地では悪魔の使いとして忌み嫌われ、そのせいで殺されることもある。

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 そんなにも嫌われる原因の1つは、その細長く曲がった指だ。アイアイは死の前兆として知られており、これに指さされた人は死ぬと言われているのだ。

 ことの真偽はともかく、アイアイはこの指でそんな恐ろしいことばかりしているわけではない。この指で餌となる虫を穴から掘りだし、フォークがわりにしてご飯を食べる。アイアイが鼻をほじっている様子を撮影 そしてまた、鼻をほじったりもする。

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Aye-aye recorded picking its nose for the first time | Natural History Museum

 細長い指は、鼻の奥深くにたまったハナクソを掻き出すには最適だ。
アイアイの指は、手の長さの約65パーセント、前肢の40パーセントを占めるほど長い。

 CTのスキャン画像をみれば、鼻をほじるアイアイの指は、そんなに突っ込んで大丈夫なのか心配になるくらい奥まで達していることがわかる。

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アイアイの鼻ほじりのCT画像。そんなに指を突っ込んで大丈夫なのかと少し心配になる / Fabre et al, 2022. Journal of Zoology. Images courtesy of the Natural History Museum人間や猿はなぜ鼻をほじるのか? 人間はもちろん、指が器用に使える霊長類は鼻ほじりをする。それはいったいなぜなのか?という根本的な疑問がわいてくる。

 ベルン自然史博物館のアンヌ・クレール・ファーブル氏は、「私たちが鼻をほじる理由を示す証拠はほとんどありません」と述べている。
心理学の分野ではいくつか本格的な研究がありますが、生物学についてはほとんどありません。

ある研究では、鼻をほじるとブドウ球菌などの細菌が広がることがわかっています。また、自分のハナクソを食べる人は虫歯が少ないという研究もあります
 鼻というフィルターで捕獲された細菌をほんの少し口に移植することで、何らかのメリットがある可能性はあるかもしれない。

 だが、こんな研究に進んで参加してくれる人間はあまりいないだろう。

 ちなみに今回の研究によると、チンパンジーやオランウータンなど、少なくとも12種の霊長類が鼻ほじりをするのだという。

 免疫系や口の健康にとってお得なことでもあるのだろうか? あるいは、ちょっと塩のきいたハナクソの味わいが好きなだけという可能性もある。


 今後の研究に期待したいところだ。

 この研究は『Journal of Zoology』(2022年10月26日付)に掲載された。

References:Aye-aye recorded picking nose and eating snot for the first time | Natural History Museum / written by hiroching / edited by / parumo

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