猛禽パイセンに新たな仲間が加わった!アフリカの島でフクロウの新種が発見される
 アフリカ西海岸沖に浮かぶ島の森林で、フクロウの新種が発見されたそうだ。

 「プリンシペ・コノハズク(Otus bikegila)」と名付けられた新種は、50種以上がいるフクロウ最大のグループ「コノハズク属(Scops owl)」の仲間だ。


 ガボンから220キロ沖に浮かぶプリンシペ島(サントメ・プリンシペ民主共和国)の標高の低い原生林に生息したという。

プリンシペ島だけに生息する新種のフクロウを発見 コノハズク属の仲間は、全体的に褐色で、木に隠れやすいカモフラージュになっているのが特徴だ。体の下や顔が明るいものや、灰色や赤みがかかっているなど多様な形態を持つ種もいる。

 体は小さく、オス・メスともにコンパクトな体型だが、メスの方が大きい。

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アフリカ西海岸沖のプリンシペ島で発見された「プリンシペ・コノハズク(Otus bikegila)」/Image credit: Philippe Verbelen

 発見者の1人であるマルティム・メロ博士らは、「新種の鳥類の発見は、いつも喜ばしいことで、生物多様性について一般の人々に伝えるチャンスです」と語る。
人間によって絶滅が進むこの時代では、じきにいなくなる可能性があるものを記録するために、世界的な取り組みが行われるべきです
鳥類は、おそらく一番よく研究されている動物グループです。そのため21世紀における鳥類の新種の発見は、生物多様性の記述を目指すフィールド調査の現実と、そのような好奇心による試みを成功させるには、その地域の生態学についての知識、熱心なアマチュア研究者の参加、それから根気強さと結びつく必要があることを教えてくれます


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全体が赤茶色の成鳥(左)と、カモフラージュ効果を高めるよう羽角を立てた灰褐色の成鳥 /I mage credit: Marco N. Correia夜になると虫とデュエット 系統分析の結果によると、プリンシペコノハズクは、ギニア湾の島々に最初に移住した鳥の子孫であり、アフリカ本土に生息する「アフリカコノハズク(Otus senegalensis)」、島の固有種である「サントメコノハズク(Otus hartlaubi)」や「ペンバコノハズク(Otus pembaensis)」などの姉妹グループであろうという。

 だが自然の中でプリンシペコノハズクを見分ける手がかりは、特徴的な鳴き声だ。

 「トゥー」という短い音を1秒間に1音の速さで繰り返すもので、不思議なことに遠縁であるはずの「ハイイロコノハズク(Otus ireneae)」によく似ている。

遠縁のハイイロコノハズク(Otus ireneae

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 また面白いことに、その声は昆虫の鳴き声を連想させたりもする。メロ博士によると、夜になるとよく虫とデュエットをしているそうだ。

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新種のプリンシペ・コノハズク / image credit:A new species of scops-owl / WIKI commonsA new species of scops-owl (Aves, Strigiformes, Strigidae, Otus) from Principe Island (Gulf of Guinea, Africa) and novel insights into the systematic affinities within Otus生息範囲が狭いことからすぐに絶滅危惧種に指定 現在、プリンシペコノハズクは、プリンシペ島南部の狭い範囲にしか生息していない。
ただし密度は比較的高く、1000~1500羽ほどが生息すると推定されている。

 生息域がここにしかなく、しかも狭いことなど諸々を踏まえ、研究チームはプリンシペコノハズクを「絶滅寸前」に分類するよう提案している。

 幸いにも、その生息域はプリンシペ・オボ自然公園内なので、その分保護はしやすいだろうとのこと。

「プリンシペ・コノハズクを保護するには、定期的なモニタリングと、繁殖や島に持ち込まれた哺乳類によって巣が狙われる危険性などに焦点を当てたさらなる研究が必要」と研究チームは訴える。

 「この種と、この種が生きるプリンシペ島固有の豊かな原生林を確実に保護するには、自然公園保全に向けた広範な支援が不可欠です」

 この研究は、『ZooKeys』(2022年10月30日付)と『Bird Conservation International』(2022年10月31日付)に掲載された。

References:New Species of Scops-Owl Discovered in Africa | Sci.News / written by hiroching / edited by / parumo

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