古代エジプトの神殿地下から巨大トンネルを発見。失われたクレオパトラの墓の謎に迫れるか?
 古代エジプトの神殿遺跡の地下から、巨大なトンネルが発見された。このトンネルが、長く失われていたクレオパトラの墓の謎の解明につながるのではと期待する指摘する考古学者もいる。


 クレオパトラは、言わずと知れたエジプト史上もっとも有名な女王で、2000年以上前のエジプトを治めた最後のファラオだ。

奇跡の構造をした地下トンネルを発見 今回発見された地下トンネルは、紀元前4世紀に建設されたアレキサンドリア近くの「タップ・オシリス・マグナ神殿」の下に約1,305メートル続いていた。高さは約2メートルだ。

 一部の専門家は、クレオパトラとローマの政務官で彼女の恋人だったマルクス・アントニウスが最後に休息した場所ではないかと推測している。

 地下のこの通路は、冥界の神「オシリス」の神殿の地下およそ20メートルほどのところで発見され、先週のエジプト観光考古省の発表によると、幾何学的に"奇跡"といっていい造りになっているという。

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 ドミニカとエジプトの共同発掘チームの責任者、キャスリーン・マルティネスは、15年以上にわたって、タップ・オシリス・マグナでクレオパトラの墓を探し続けていて、今回のトンネルの発見に至った。

 すでに、秘密の部屋や魅惑的な遺物も見つかっていて、その中には、クレオパトラの名前や肖像が刻まれたコインなども含まれているという。

 2021年、研究チームは、2000年前、紀元前51年から30年まで続いたクレオパトラの統治時代に埋葬されたミイラを何体か発掘している。

 そのうちのひとりは、オシリスと話すために死者に与えられたとされていた黄金の舌をもつ者だという。

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古代都市の水道施設 タップ・オシリス・マグナの発掘は、古代からこの地を揺るがした度重なる地震によって、困難になっている。

 神殿の大部分はかなり損傷していて、地中海からしみ出した海水で浸水してしまっている。今回新たに見つかったトンネルの一部も、水中にあるという。


 それでも発掘チームは、トンネルの寸法を把握し、かつては、この古代都市に住んでいた数千人の人々に水を供給した水道施設が機能していたことを突き止めた。

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 このタップ・オシリス・マグナ神殿は、ここよりも何世紀も前に建設されたギリシャ、サモス島にある「エウパリノス」のトンネルに構造がとてもよく似ていると、マルティネスはいう。クレオパトラの墓の謎に迫れるか? このトンネルが、クレオパトラの謎めいた墓の発見につながるかどうかはわからない。

 タップ・オシリス・マグナ神殿が、伝説の女王の住まいだったかどうかについては、専門家の間でさまざまな議論がある。

 しかし、クレオパトラとアントニウスの遺骨が、タップ・オシリス・マグナ、もしくはその他の場所で発見された場合、1922年のツタンカーメン王の墓の発見と同じくらいの大騒ぎになるだろう。

 クレオパトラの生涯は、ローマの独裁者ユリウス・カエサルとのロマンスなど、歴史の流れを変えるような恋愛事件とお家騒動に巻き込まれた、文字通り波乱万丈の人生で、これほど強い関心と憶測を集める支配者はほかにはほとんどいない。

 クレオパトラは、ヘレニズム時代を締めくくった重要な統治を行ったことに加えて、数え切れないほどの芸術作品、映画、シェークスピア劇の主題として、長い死後の生活を謳歌してきた。

 彼女の墓を見つけることは、彼女の謎めいた所在をついに明らかにし、その人生についての新たな秘密を解き明かすことになるだろうが、彼女の真の姿は永遠に手の届かない彼方に隠されていることも確かだろう。

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References:Archaeologists Discover Vast ‘Miracle’ Tunnel Under Egyptian Temple Ruin / written by konohazuku / edited by / parumo

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