
まさにSF的光景だが、世界初となる、妊娠も出産もいらない、人工子宮サービス施設「EctoLife」のコンセプト映像が公開された。
もしも現実のものとなれば、親の希望どおりの赤ちゃんを、毎年3万人生産(出産)できるようになる。
このような施設が必要な理由ははっきりしている。80億人を突破した世界人口だが、いずれピークに達して将来的に減少へ向かうと予測されているからだ。
日本、スペイン、タイ、韓国、ポルトガルなど、世界の少子化の波は想像を上回るペースで進行している。
ならばテクノロジーの力で、今後数十年の世界経済を支える若者を増やそうと考える人たちがいるも自然の流れだろう。
[動画を見る]
EctoLife: The World’s First Artificial Womb Facility妊娠も出産もいらない人工子宮施設 2017年、子宮の環境を再現したバイオバッグによって、羊の赤ちゃんを育てることに成功した。EctoLifeは、これを羊の代わりに人間で行おうというものだ。
動画で説明されているように、EctoLifeのような施設があれば、妊娠はおろか、受胎すらしないまま人は子供を授かれるようになる。
過去数十年で出生率が大幅に低下していることはよく知られているが、つい最近でも男性の精子が激減(過去46年でほぼ51%減)しているとの驚きの事実が報告されている。
だがEctoLifeのような施設ならば、体外受精で受精卵を作り、それを人工子宮に移植することで妊娠の成功率を高めることができる。
胎児の成長は常にモニタリングされ、必要に応じて処置されるので、死産のリスクも少ない。胎児はカプセルのような人工子宮内で育つので、母体への負担はない。
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人工子宮カプセルを自宅にセットして対面を果たすことも可能 いざ出産のときも、痛みなどないし、血を流す必要もない。
妊娠期間中の幸せを味わいたいというのなら、バーチャルリアリティや触覚フィードバックなどで、赤ちゃんの様子を観察したり、赤ちゃんがいる人工子宮の中を擬似的に体験したり、マイクを通じて語りかけたりすることもできる。
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また、人工子宮カプセルを自宅にセットすることも可能だという。
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あくまでコンセプト動画 念のため言っておくと、EctoLifeが近い将来実現するというわけではない。
EctoLife計画を進める企業や研究組織はまだ存在しない。
イエメンの映像作家で科学コミュニケーターであるシェム・アルガイリ氏が制作した、あくまでコンセプト動画だ。
彼の過去作品には、「永遠に空を飛び続ける原子力ホテル」のコンセプト動画があるが、EctoLifeも話だけなら一笑に付されそうなアイデアだ。
だが動画を見れば、人工子宮サービス施設がもうじき本当に実現するかのように思えてくるだろう。
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少子化時代に対する問題提起 一方、こうした技術は常に倫理的な問題も含めて、物議を醸す類のものであることにも気づくはずだ。
さまざまなオプションがあるとはいえ、基本的に親は胎児を施設に預けっぱなしでいい。10ヶ月の妊娠期間中にあるはずの、まだ見ぬ我が子との(あるいは夫婦間の)交流は省略される。
また動画では、遺伝子工学の力で、子供の容姿や知能は親の希望どおりに調整できるとも説明されている。
こうしたオプションは、いつか「デザイナーベビー(スーパーベビー)」をめぐる競争に発展する可能性さえあることだろう。
妊娠できない人、流産経験のある人、遺伝的疾患のある人など、こうした技術から恩恵を受けられる人がいるのは確かだ。
だが出生率が下がり続ける世界では、人工子宮が子作りの主流になったとしてもおかしくはない。
このコンセプト動画は、いい面も悪い面も、さまざまな議論のきっかけになることだろう。
References:Womb with a view: EctoLife baby farm eliminates pregnancy and labor / Artificial womb: Video shows what pregnancy may be like in the future / written by hiroching / edited by / parumo
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もしも現実のものとなれば、親の希望どおりの赤ちゃんを、毎年3万人生産(出産)できるようになる。
このような施設が必要な理由ははっきりしている。80億人を突破した世界人口だが、いずれピークに達して将来的に減少へ向かうと予測されているからだ。
日本、スペイン、タイ、韓国、ポルトガルなど、世界の少子化の波は想像を上回るペースで進行している。
ならばテクノロジーの力で、今後数十年の世界経済を支える若者を増やそうと考える人たちがいるも自然の流れだろう。
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EctoLife: The World’s First Artificial Womb Facility妊娠も出産もいらない人工子宮施設 2017年、子宮の環境を再現したバイオバッグによって、羊の赤ちゃんを育てることに成功した。EctoLifeは、これを羊の代わりに人間で行おうというものだ。
動画で説明されているように、EctoLifeのような施設があれば、妊娠はおろか、受胎すらしないまま人は子供を授かれるようになる。
過去数十年で出生率が大幅に低下していることはよく知られているが、つい最近でも男性の精子が激減(過去46年でほぼ51%減)しているとの驚きの事実が報告されている。
だがEctoLifeのような施設ならば、体外受精で受精卵を作り、それを人工子宮に移植することで妊娠の成功率を高めることができる。
胎児の成長は常にモニタリングされ、必要に応じて処置されるので、死産のリスクも少ない。胎児はカプセルのような人工子宮内で育つので、母体への負担はない。
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人工子宮カプセルを自宅にセットして対面を果たすことも可能 いざ出産のときも、痛みなどないし、血を流す必要もない。
ボタン1つで、人工子宮カプセルのフタが開き、我が子と感動的な対面を果たすことができる。
妊娠期間中の幸せを味わいたいというのなら、バーチャルリアリティや触覚フィードバックなどで、赤ちゃんの様子を観察したり、赤ちゃんがいる人工子宮の中を擬似的に体験したり、マイクを通じて語りかけたりすることもできる。
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また、人工子宮カプセルを自宅にセットすることも可能だという。
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あくまでコンセプト動画 念のため言っておくと、EctoLifeが近い将来実現するというわけではない。
EctoLife計画を進める企業や研究組織はまだ存在しない。
イエメンの映像作家で科学コミュニケーターであるシェム・アルガイリ氏が制作した、あくまでコンセプト動画だ。
彼の過去作品には、「永遠に空を飛び続ける原子力ホテル」のコンセプト動画があるが、EctoLifeも話だけなら一笑に付されそうなアイデアだ。
だが動画を見れば、人工子宮サービス施設がもうじき本当に実現するかのように思えてくるだろう。
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少子化時代に対する問題提起 一方、こうした技術は常に倫理的な問題も含めて、物議を醸す類のものであることにも気づくはずだ。
さまざまなオプションがあるとはいえ、基本的に親は胎児を施設に預けっぱなしでいい。10ヶ月の妊娠期間中にあるはずの、まだ見ぬ我が子との(あるいは夫婦間の)交流は省略される。
また動画では、遺伝子工学の力で、子供の容姿や知能は親の希望どおりに調整できるとも説明されている。
こうしたオプションは、いつか「デザイナーベビー(スーパーベビー)」をめぐる競争に発展する可能性さえあることだろう。
妊娠できない人、流産経験のある人、遺伝的疾患のある人など、こうした技術から恩恵を受けられる人がいるのは確かだ。
だが出生率が下がり続ける世界では、人工子宮が子作りの主流になったとしてもおかしくはない。
このコンセプト動画は、いい面も悪い面も、さまざまな議論のきっかけになることだろう。
References:Womb with a view: EctoLife baby farm eliminates pregnancy and labor / Artificial womb: Video shows what pregnancy may be like in the future / written by hiroching / edited by / parumo
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