ナスカの地上絵、新たに168点を発見。漫画タッチの人間や猫、鳥の絵
 ペルーのナスカ川とインヘニオ川に囲まれた砂漠には、砂利の色分けによって描かれた「ナスカの地上絵」が存在する。

 それは、2500~1500年前にこの地に住んでいた先住民族が乾燥した土地に描いたとされる不可思議な図形だ。
あまりにも巨大なため、上空からでないと絵の全体像を把握することが難しく、まだすべての絵が見つかっていない。

 一体なぜ、このようなものを描いたのか、考古学者にとっては長年の謎だが、そんな中、山形大学のアンデス考古学者、坂井正人教授らによって、新たに168点の「ナスカの地上絵」が発見されたそうだ。

新たに発見された168点のナスカの地上絵 ナスカ台地とナスカ市街地周辺で新たに見つかった地上絵は、人間・鳥・シャチ・ネコ科動物・ヘビ・ラクダ科動物などで、紀元前100~紀元300年頃に描かれたと考えられている。

 まるで現代の漫画のような、子供の落書きのような、味わい深い絵だ。

[画像を見る]

新たに発見された猫の地上絵 / image credit:Yamagata University

 新たに発見された168点もの地上絵は、航空レーザー測量とドローンによる現地調査などによって発見された。

 ナスカの地上絵は地面に落ちている黒い石をどかして、その下の白い砂を露出させることで描かれる。だが、地上絵には2種類あり、線で描かれたタイプと面で描かれたタイプがある。

 今回発見された168点のうち、ほとんど(163点)が後者のタイプで、大きさも10メートル以下の小さなものだ。

 また36点の地上絵は、ナスカ市街地に近い「アハ地区」で発見された。

[画像を見る]

新たに発見されたヘビの地上絵 / image credit:Yamagata University

 ここでは以前にも41点の地上絵が発見されて遺跡公園が設立されていたが、今回の発見によって、この地区に77点もの地上絵が集中していることが明らかになった。

 新たに判明した地上の中で、とりわけ印象的なのは、不思議な髪型をした髭面の男性らしき人物の絵だろう。

[画像を見る]

新たに発見された髭面の男性らしき人物の絵 / image credit:Yamagata University

 だがほかにもシャチから鳥まで、さまざまな動物が描かれており、数千年前のこの地域に存在した生態系を反映している。


[画像を見る]

新たに発見された鳥の地上絵 / image credit:Yamagata University地上絵のパターンを解明、今後続々と発見される可能性 坂井教授らの研究チームは、ペルー文化省から正式に許可をとって地上絵の調査を進める、現在世界で唯一のチームだ。

 2004~2018年にかけて190点の地上絵を発見するなど、大きな成果を挙げている。だが今回の168点は、わずか9ヶ月の調査で発見された。

 これほどのハイペースで地上絵を発見できるようになったのは、地上絵がありそうな場所にパターンらしきものを見つけ出したからなのだと、坂井教授は語っている。

 そんな研究チームは今後AIの力も駆使して、さらに地上絵の研究を進めていく予定であるそうだ。

[動画を見る]

References:山形大学 / 168 New Geoglyphs Discovered on the Nasca Pampa and Surrounding Areas - News & Events - News - YAMAGATA UNIVERSITY / written by hiroching / edited by / parumo

画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。
編集部おすすめ