美容室でカットした髪の毛をリサイクル。ベルギーの水路を浄化するプロジェクト
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 長く伸ばした髪を寄付して、病気で髪を失った人のためにかつらを作るという話はよく聞くが、美容院で切り落とされた髪には他にも有効活用できる。

 人間の髪の毛には水の油や汚れを吸収する効果があるのだ。


 現在ベルギーでは、物や資源の価値を保全・維持し、廃棄物の発生を最小限に抑える循環経済(サーキュラーエコノミー)を推進している。

 廃棄物回収計画の一環として、美容院が顧客の髪の切り落としを集めて寄付し、同国の水路の汚染改善に役立てるという「ヘアリサイクルプロジェクト(The Hair Recycle Project)」を実施中だ。

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Human Hair Mats Clean Oil Spills. Why Don't Big Companies Use Them? | World Wide Waste人の毛髪を集めて水路の汚染を改善 ベルギーの非営利団体『Dung Dung』は、ベルギー中の美容室でカットされた人の毛髪を集め、それを使用して同国の水路の汚染を取り除く、「ヘアリサイクルプロジェクト(The Hair Recycle Project)」を実施している。

 国内の美容師から集められた顧客の切った髪を、機械で正方形にして毛髪マットを作り、水路に入れることで水の汚れを取り除くことができるのだ。[画像を見る]  毛髪マットを排水溝に置くと、不要な粒子を含んだ汚染水が川に流れ込む前に汚れを吸収させることができる他、洪水による汚染問題への対処や油流出の浄化、炭化水素の吸収にも使用できる。

 髪1kgで、なんと7 ~ 8 リットルの油と炭化水素を吸収できるという。

 また、これらの髪は生物由来素材を組み合わせて作ったエコ袋にもなる。

 髪の毛には窒素が豊富に含まれているため、堆肥化して土や肥料になるにはもってこいの特殊なタイプのビニール袋だ。

 プロジェクトの共同創設者パトリック ヤンセンさんは、このように話している。
私たちの製品は、地球の反対側から輸入されたものではなく、地元で製造されているため、二酸化炭素排出量を増加させるのを防ぎ、より倫理的です。
[画像を見る] 髪を無駄にせずリサイクルして活用 ブリュッセルで美容院のマネジャーを務めるイザベルさんは、カットした顧客の髪を集めるために、少額の料金を払ってプロジェクトに参加している1人だ。
個人的意見ですが、人の毛髪はたくさんのことに役立てられるのに、ゴミ箱に捨てられるのはもったいないことだと思います。
[画像を見る]  The Hair Recycle Projectはウェブサイト上で、「1 本で自重の最大 1,000 万倍を支えることができる髪は、脂肪や炭化水素を吸収し、ケラチン繊維により水溶性で弾力性に優れている」と、髪の強力な特性を称賛している。[画像を見る]  現在、さまざまな企業が髪をリサイクルして使用している。

 ロンドンを拠点とするバイオ製造会社のBIOHM(バイオーム)は、人間の毛髪廃棄物を使用して、木材ベースのシート素材や 3D オブジェクトの代替品を製造しているという。[画像を見る]  また、今年のロンドンデザインウィークでは、Studio Sanne Visserが人間の髪の毛のロープを組み込んだペット用リードや家庭用品を発表したということだ。[画像を見る] References:Circular economy: Human hair recycled to clean waterways in Belgium / written by Scarlet / edited by parumo

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