
人間が作り出し、地球の軌道上を回る人工衛星は、これまで約7600個が打ち上げられており、現在地球の周り回っている物は約4400個ほどあるといわれている。
人類史上初の人工衛星は1957年10月にソ連が打ち上げたスプートニク1号だ。
それは1965年5月に米国のMITリンカーン研究所が打ち上げた「リンカーン校正球1号(Lincoln Calibration Sphere 1)」だ。
電源も燃料も持たないアルミニウム製の空洞の球体だが、約58年もの長い間、レーダーの反射特性を測定するために使用されている。
現役最古の人工衛星「リンカーン校正球1号(Lincoln Calibration Sphere 1)」 この中空アルミニウム球でできた人工衛星は、1965年5月6日に地球軌道に打ち上げられて以来、約58年の間、壊れることなく、その役割を果たし続けている。
種類や状況によっても違うが、一般に人工衛星の寿命は2年から15年程度だと言われている。それなのになぜ、リンカーン校正球1号は今もなお現役でいられるのだろうか?
リンカーン校正球1号の目的は、レーダーを校正するために、電波を正確に反射することだ。
レーダーとは電波を照射して跳ね返ってきた反射波をもとに、物体の位置や方向を把握するシステムだ。
だが、このやり方で物体の居場所を正確に知るには、校正して精度を高めておく必要がある。そのために必要になるのが基準点だ。
どこに、どのようなものがあるのかはっきりわかっている物体を用意し、それに対して校正したいレーダーの電波を照射。跳ね返ってきた反射波が、その物体から予測されるものとピッタリ一致するように調整する。
リンカーン校正球1号は、その基準点として使用されているのだ。
[画像を見る]
リンカーン校正球1号燃料いらず、安定した軌道のため長く活躍できる 直径 1.12 m、厚みが3.2 mmの球は、「レーダー反射断面積」が常に一定になるように設計されている。
ただ正確に反射できればいいのだから、電気や燃料の類は必要ない。
また、高度約2700kmの円軌道に投入されたため、この軌道では大気の抵抗がほとんどないので、は長く安定して回り続けることができる。
それが打ち上げから58年が経過した今も、現役で活躍できる理由だ。
なおリンカーン校正球1号に続いて、2号、3号と打ち上げられたが、これらはうまくいかなかったが、1971年の4号は成功し、約75年の寿命が期待されている。
だが、1号の寿命は圧倒的で3万年と言われている。もしかしたら人類滅亡後も回り続けているかもしれない。
[画像を見る]
スペースデブリ(宇宙ゴミ)問題 リンカーン校正球1号は人類よりも長生きするかもしれないから、ゴミとなる心配はないだろうが、使用できなくなった人工衛星や、ロケットの残骸などが、地球上空の軌道に多く残されている。スペースデブリ(宇宙ゴミ)と呼ばれるものだ。
スペースデブリの数は、地上から追跡できる10cm以上のものは約2万個、1cm以上のものは約50万個、1mm以上のものは1億個以上あると言われている。その中で、運用中の人工衛星は約1,000個で、残りはほとんどがスペースデブリなのだ。
それらは地球の周りを高速で回っているので、ぶつかると大きな衝撃が起こる。
References:The Oldest Functioning Satellite | Amusing Planet / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
人類史上初の人工衛星は1957年10月にソ連が打ち上げたスプートニク1号だ。
では現在も機能している人工衛星で一番古いものは何かわかるかな?
それは1965年5月に米国のMITリンカーン研究所が打ち上げた「リンカーン校正球1号(Lincoln Calibration Sphere 1)」だ。
電源も燃料も持たないアルミニウム製の空洞の球体だが、約58年もの長い間、レーダーの反射特性を測定するために使用されている。
現役最古の人工衛星「リンカーン校正球1号(Lincoln Calibration Sphere 1)」 この中空アルミニウム球でできた人工衛星は、1965年5月6日に地球軌道に打ち上げられて以来、約58年の間、壊れることなく、その役割を果たし続けている。
種類や状況によっても違うが、一般に人工衛星の寿命は2年から15年程度だと言われている。それなのになぜ、リンカーン校正球1号は今もなお現役でいられるのだろうか?
リンカーン校正球1号の目的は、レーダーを校正するために、電波を正確に反射することだ。
レーダーとは電波を照射して跳ね返ってきた反射波をもとに、物体の位置や方向を把握するシステムだ。
だが、このやり方で物体の居場所を正確に知るには、校正して精度を高めておく必要がある。そのために必要になるのが基準点だ。
どこに、どのようなものがあるのかはっきりわかっている物体を用意し、それに対して校正したいレーダーの電波を照射。跳ね返ってきた反射波が、その物体から予測されるものとピッタリ一致するように調整する。
リンカーン校正球1号は、その基準点として使用されているのだ。
[画像を見る]
リンカーン校正球1号燃料いらず、安定した軌道のため長く活躍できる 直径 1.12 m、厚みが3.2 mmの球は、「レーダー反射断面積」が常に一定になるように設計されている。
つまりレーダーの電波を受けたとき、必ず同じような反射波を返してくれる。
ただ正確に反射できればいいのだから、電気や燃料の類は必要ない。
また、高度約2700kmの円軌道に投入されたため、この軌道では大気の抵抗がほとんどないので、は長く安定して回り続けることができる。
それが打ち上げから58年が経過した今も、現役で活躍できる理由だ。
なおリンカーン校正球1号に続いて、2号、3号と打ち上げられたが、これらはうまくいかなかったが、1971年の4号は成功し、約75年の寿命が期待されている。
だが、1号の寿命は圧倒的で3万年と言われている。もしかしたら人類滅亡後も回り続けているかもしれない。
[画像を見る]
スペースデブリ(宇宙ゴミ)問題 リンカーン校正球1号は人類よりも長生きするかもしれないから、ゴミとなる心配はないだろうが、使用できなくなった人工衛星や、ロケットの残骸などが、地球上空の軌道に多く残されている。スペースデブリ(宇宙ゴミ)と呼ばれるものだ。
スペースデブリの数は、地上から追跡できる10cm以上のものは約2万個、1cm以上のものは約50万個、1mm以上のものは1億個以上あると言われている。その中で、運用中の人工衛星は約1,000個で、残りはほとんどがスペースデブリなのだ。
それらは地球の周りを高速で回っているので、ぶつかると大きな衝撃が起こる。
スペースデブリが増えすぎると、人工衛星や宇宙船に危険を及ぼしたり、地上に落ちてきたりする可能性があるため、スペースデブリを減らしたり、回収する方法が検討されている。
References:The Oldest Functioning Satellite | Amusing Planet / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
編集部おすすめ