
仮想現実(VR)にダイブしてのプレイは、これまでのゲームにはない圧倒的な没入感を味わえる素晴らしい体験だ。だが1つ大きな問題がある。
まさに私がそうなのだけどVRゲームはもちろん、3Dのテレビゲームですらほんの数十分プレイしただけでも気持ち悪くなってしまう。これは「VR酔い」もしくは「サイバー酔い」と呼ばれるものだ。
だが、それも人それぞれで、すぐに酔ってしまう人もいれば、長時間のプレイでもへっちゃらな人もいる。なぜなのか?
『Virtural Reality』(2023年4月1日付)に掲載された研究では、VR酔いしやすい人とそうでない人がいる要因を探っている。
それによると、VR酔いのしやすさは、仮想世界と現実世界のズレに私たちの感覚がどう対応するかに関係しているという。その実験では、VR酔いしやすい人は垂直方向の知覚があまり変化しないことが判明している。
体の平衡感覚と視覚情報に生じるズレ 私たちは、重力の感覚や目から入ってくる情報を元に、どちらが縦(垂直)なのか無意識に感じている。これが「自覚的視性垂直位」だ。
だが、あくまで主観的なものなので、実際の垂直方向とは違うこともある。
あなたが感じている垂直方向を確認するには、たとえば、底に真っ直ぐ線が引かれたバケツを顔にかぶる(周囲の情報を遮断するため)というやり方がある。そして、その線が垂直になるようバケツを回転させる。
その結果があなたが感じている垂直方向、つまり自覚的視性垂直位だ。そして、それは実際の垂直方向とは多少のズレがあるかもしれない。
VR酔いの原因は、体の平衡感覚と視覚情報に生じるズレだ。
[画像を見る]
VR酔いは乗り物酔いに似ている そもそもVR酔いは車酔いや船酔いなど、乗り物酔いに似ている。
VRでも車でも、実際は体が動いていないのに、目からの情報は動いていると伝えてくる。そうした視覚情報と体の平衡感覚とのズレのせいで、気持ち悪くなってくるのだ。
そこで今回、ウォータールー大学の研究チームは、VRゲームで体の平衡感覚(自覚的視性垂直位)がどのような影響を受けるのか調べ、VR酔いの原因に迫ってみた。
実験では、参加者31名にVRゲームをプレイしてもらい、その前後の自覚的視性垂直位や内耳前庭系(体のバランスを維持する器官)のシグナルなどを測定した。
その結果明らかになったのが、VR酔いしにくい人ほど、プレイ後の自覚的視性垂直位が大きく変化していたことだ。逆に言えば、自覚的視性垂直位があまり変わらない人は、VRで酷く酔う傾向にあったのだ。
こうした結果に、男女の性差やゲーム経験の有無などによる違いは認められなかったという。VR酔いしない快適なゲームを開発するために こうした結果は、VRゲームに酔いやすい人とそうでない人がいる理由を理解する上で大切なヒントとなる。
研究チームのマイケル・バーネット=コーワン氏は、今回の発見について「現実と仮想現実とで生じる矛盾に対して、感覚がどう適応するか、VR酔いの酷さはこれに左右されることを示しています」と説明する。
この発見を応用すれば、より酔いにくいVR体験を開発することもできるかもしれない。
ウィリアム・チャン氏によれば、「感覚処理の個人差を考慮して、人それぞれに調整されたVR酔い防止法やVR体験を開発すれば、VR酔いを軽くできるかもしれません」とのことだ。
VRの世界を楽しみたいのに酔いがひどくてそれどころじゃなくなってしまうので、早いところ何とかしてほしいものだ。テレビゲームの時はあらかじめ酔い止め飲んでやったもんだよ。
References:Cracking the Code of VR Sickness: Why Some Experience Motion Sickness While Gaming and Others Don't - Neuroscience News / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
乗り物酔い同様の気持ち悪さとなってしまうのだ。
まさに私がそうなのだけどVRゲームはもちろん、3Dのテレビゲームですらほんの数十分プレイしただけでも気持ち悪くなってしまう。これは「VR酔い」もしくは「サイバー酔い」と呼ばれるものだ。
だが、それも人それぞれで、すぐに酔ってしまう人もいれば、長時間のプレイでもへっちゃらな人もいる。なぜなのか?
『Virtural Reality』(2023年4月1日付)に掲載された研究では、VR酔いしやすい人とそうでない人がいる要因を探っている。
それによると、VR酔いのしやすさは、仮想世界と現実世界のズレに私たちの感覚がどう対応するかに関係しているという。その実験では、VR酔いしやすい人は垂直方向の知覚があまり変化しないことが判明している。
体の平衡感覚と視覚情報に生じるズレ 私たちは、重力の感覚や目から入ってくる情報を元に、どちらが縦(垂直)なのか無意識に感じている。これが「自覚的視性垂直位」だ。
だが、あくまで主観的なものなので、実際の垂直方向とは違うこともある。
あなたが感じている垂直方向を確認するには、たとえば、底に真っ直ぐ線が引かれたバケツを顔にかぶる(周囲の情報を遮断するため)というやり方がある。そして、その線が垂直になるようバケツを回転させる。
その結果があなたが感じている垂直方向、つまり自覚的視性垂直位だ。そして、それは実際の垂直方向とは多少のズレがあるかもしれない。
VR酔いの原因は、体の平衡感覚と視覚情報に生じるズレだ。
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VR酔いは乗り物酔いに似ている そもそもVR酔いは車酔いや船酔いなど、乗り物酔いに似ている。
VRでも車でも、実際は体が動いていないのに、目からの情報は動いていると伝えてくる。そうした視覚情報と体の平衡感覚とのズレのせいで、気持ち悪くなってくるのだ。
そこで今回、ウォータールー大学の研究チームは、VRゲームで体の平衡感覚(自覚的視性垂直位)がどのような影響を受けるのか調べ、VR酔いの原因に迫ってみた。
実験では、参加者31名にVRゲームをプレイしてもらい、その前後の自覚的視性垂直位や内耳前庭系(体のバランスを維持する器官)のシグナルなどを測定した。
その結果明らかになったのが、VR酔いしにくい人ほど、プレイ後の自覚的視性垂直位が大きく変化していたことだ。逆に言えば、自覚的視性垂直位があまり変わらない人は、VRで酷く酔う傾向にあったのだ。
こうした結果に、男女の性差やゲーム経験の有無などによる違いは認められなかったという。VR酔いしない快適なゲームを開発するために こうした結果は、VRゲームに酔いやすい人とそうでない人がいる理由を理解する上で大切なヒントとなる。
研究チームのマイケル・バーネット=コーワン氏は、今回の発見について「現実と仮想現実とで生じる矛盾に対して、感覚がどう適応するか、VR酔いの酷さはこれに左右されることを示しています」と説明する。
この発見を応用すれば、より酔いにくいVR体験を開発することもできるかもしれない。
ウィリアム・チャン氏によれば、「感覚処理の個人差を考慮して、人それぞれに調整されたVR酔い防止法やVR体験を開発すれば、VR酔いを軽くできるかもしれません」とのことだ。
VRの世界を楽しみたいのに酔いがひどくてそれどころじゃなくなってしまうので、早いところ何とかしてほしいものだ。テレビゲームの時はあらかじめ酔い止め飲んでやったもんだよ。
References:Cracking the Code of VR Sickness: Why Some Experience Motion Sickness While Gaming and Others Don't - Neuroscience News / written by hiroching / edited by / parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』
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