
「同じ両親から生まれた兄弟や姉妹は遺伝子の半分が同じ」という話を聞いたことはないだろうか?
私たちは母親と父親からそれぞれ半分ずつ遺伝子を受け継いでいる。だから両親が同じなら、子供たちの体の遺伝子は50%が同じになる、という理論だ。
だが実はこれ、あまり正確な話ではない。50%というのはあくまで平均値のことだ。もしかしたら、あなたと兄弟姉妹は60%の遺伝子を共有しているかもだし、40%だけかもしれないという。
遺伝子の共有率が50%でない理由 まずは私たちが親から受け継ぐ遺伝子についてざっと説明しよう。
人間の体には、およそ2万個から2万5000個の「遺伝子」がある。これらの遺伝子は23対、つまり合計46本の「染色体」にまとめられ、細胞核の中にしまわれている。
だが父親と母親が子供に渡す染色体は、それぞれ23本ずつだけだ。
なぜなら両親の細胞から精子と卵子が作られるとき、そこに渡される染色体が各ペアから1本ずつランダムに選ばれるからだ。このプロセスを「減数分裂」という。
首尾よく卵子と精子が出会えば子供ができる。このとき、それぞれが23本染色体を持っているので、生まれてくる子供には合計46本の染色体が渡されることになる。
つまり、子供は2本1組の染色体ペアから2分の1の確率で選ばれた染色体を1本ずつもらうので、平均すると兄弟姉妹は遺伝子の50%が共通しているということになる。
ところが、この数字をかき乱すまた別の要素がある。減数分裂では、また別のプロセスが起きているのだ。
それは「乗換え」や「交叉」と呼ばれるプロセスで、2本1組の染色体がバラバラになるとき、その一部が入れ替わっているのである。
その結果として、個々の卵子と精子はどれも独自の遺伝子の組み合わせを持つことになる。
[画像を見る]
遺伝子の交叉が起きる結果、精子や卵子はそれぞれ独自の遺伝子の組み合わせを持つ / photo by iStockどのように受け継ぐ遺伝子は決められているのか? こうしたプロセスについて、スタンフォード大学博士課程の遺伝学者が述べたものとして、遺伝子をコインに例えて説明している。
コインには表と裏がある。ピンッと弾けば、50%確率で表か裏が出る。私たちが受け継ぐ遺伝子も、そんなふうにコイントスで決められるようなものだ。
人体には約2万5000個の遺伝子がある。だから、子供がどの遺伝子を受け継ぐのか、2万5000回コイントスをする。
表と裏が出る確率はそれぞれ50%ずつなので、兄弟姉妹はおおよそ50%の遺伝子を共有している。
だが、完全に半々ではない。
50%に近いが完全ではない。それでも平均すれば半分は同じだ。
[画像を見る]
弟姉妹と共有する遺伝子の割合は? 結局、兄弟姉妹はどれくらいの遺伝子を共有しているのだろうか?
2006年の研究では、兄弟姉妹の常染色体ゲノムのばらつきをプロットして、これを調べている。それによると、兄弟間で共有されているゲノムの割合は平均49.8%、その範囲は37.4~61.7%だったそうだ。
他の研究でも同様の結果がでており、40%~60%の遺伝子を兄弟姉妹と共有しているという。
では、他の家族メンバーはどうだろう?
個人のゲノム解析サービスを提供する23andMeによると、祖父母とは25%のDNAを共有していると考えられていたが、やはりばらつきがあり、実際には共有する遺伝子は17~34%だという。いとこなら12.5%ではなく、4~23%だそうだ。
つまり結構個人差があるってことで、そっくりな兄弟がいても、あまり似てない姉妹がいても、おかしくないということだ。
追記:(2023/05/22)本文を一部訂正して再送します。
References:Siblings Don't Always Share 50 Percent Of Their Genes | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
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私たちは母親と父親からそれぞれ半分ずつ遺伝子を受け継いでいる。だから両親が同じなら、子供たちの体の遺伝子は50%が同じになる、という理論だ。
だが実はこれ、あまり正確な話ではない。50%というのはあくまで平均値のことだ。もしかしたら、あなたと兄弟姉妹は60%の遺伝子を共有しているかもだし、40%だけかもしれないという。
遺伝子の共有率が50%でない理由 まずは私たちが親から受け継ぐ遺伝子についてざっと説明しよう。
人間の体には、およそ2万個から2万5000個の「遺伝子」がある。これらの遺伝子は23対、つまり合計46本の「染色体」にまとめられ、細胞核の中にしまわれている。
だが父親と母親が子供に渡す染色体は、それぞれ23本ずつだけだ。
なぜなら両親の細胞から精子と卵子が作られるとき、そこに渡される染色体が各ペアから1本ずつランダムに選ばれるからだ。このプロセスを「減数分裂」という。
首尾よく卵子と精子が出会えば子供ができる。このとき、それぞれが23本染色体を持っているので、生まれてくる子供には合計46本の染色体が渡されることになる。
つまり、子供は2本1組の染色体ペアから2分の1の確率で選ばれた染色体を1本ずつもらうので、平均すると兄弟姉妹は遺伝子の50%が共通しているということになる。
ところが、この数字をかき乱すまた別の要素がある。減数分裂では、また別のプロセスが起きているのだ。
それは「乗換え」や「交叉」と呼ばれるプロセスで、2本1組の染色体がバラバラになるとき、その一部が入れ替わっているのである。
その結果として、個々の卵子と精子はどれも独自の遺伝子の組み合わせを持つことになる。
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遺伝子の交叉が起きる結果、精子や卵子はそれぞれ独自の遺伝子の組み合わせを持つ / photo by iStockどのように受け継ぐ遺伝子は決められているのか? こうしたプロセスについて、スタンフォード大学博士課程の遺伝学者が述べたものとして、遺伝子をコインに例えて説明している。
コインには表と裏がある。ピンッと弾けば、50%確率で表か裏が出る。私たちが受け継ぐ遺伝子も、そんなふうにコイントスで決められるようなものだ。
人体には約2万5000個の遺伝子がある。だから、子供がどの遺伝子を受け継ぐのか、2万5000回コイントスをする。
表と裏が出る確率はそれぞれ50%ずつなので、兄弟姉妹はおおよそ50%の遺伝子を共有している。
だが、完全に半々ではない。
あなたのコイントスは、表が1万2600回、裏が1万2400回出たかもしれないが、兄弟は表が1万2550回、裏が1万2450回出たかもしれない。
50%に近いが完全ではない。それでも平均すれば半分は同じだ。
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弟姉妹と共有する遺伝子の割合は? 結局、兄弟姉妹はどれくらいの遺伝子を共有しているのだろうか?
2006年の研究では、兄弟姉妹の常染色体ゲノムのばらつきをプロットして、これを調べている。それによると、兄弟間で共有されているゲノムの割合は平均49.8%、その範囲は37.4~61.7%だったそうだ。
他の研究でも同様の結果がでており、40%~60%の遺伝子を兄弟姉妹と共有しているという。
では、他の家族メンバーはどうだろう?
個人のゲノム解析サービスを提供する23andMeによると、祖父母とは25%のDNAを共有していると考えられていたが、やはりばらつきがあり、実際には共有する遺伝子は17~34%だという。いとこなら12.5%ではなく、4~23%だそうだ。
つまり結構個人差があるってことで、そっくりな兄弟がいても、あまり似てない姉妹がいても、おかしくないということだ。
追記:(2023/05/22)本文を一部訂正して再送します。
References:Siblings Don't Always Share 50 Percent Of Their Genes | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
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