巨大なダイヤモンドに変わりつつある星を発見!恒星の残骸が結晶化
  宇宙のスケールでいえば、地球のご近所とも言える104光年先で、巨大なダイヤモンドへと変貌しつつある星が発見されたそうだ。

 「HD 190412 C」と呼ばれるその星は、「白色矮星」という燃料を燃やし尽くして崩壊した恒星の残骸だ。


 この星はもはや燃えておらず、どんどんと冷える一方だ。このときに内部の炭素原子が結晶化、つまり”ダイヤモンド”のような状態へと変化する。

 じつのところ、誕生してから136億年しか経っていないこの宇宙に、完成したダイヤモンド星はまだ存在しない。ダイヤモンド化は1000兆年という気が遠くなるほどの時間がかかるプロセスだからだ。

 それでも、白色矮星で実際にこうしたプロセスが進んでいる証拠が観測されたのは、今回が初めてであるそうだ。

白色矮星が巨大なダイヤモンドに変化 地球から104光年先にある白色矮星「HD 190412 C」は、四重連星「HD 190412」を構成する星の1つだ。

 白色矮星とは、燃料を燃やし尽くして崩壊した星の残骸で、星が進化のはてに最終的になりうる形態の1つだ。

 地球と同じくらいの大きさながら、重さは太陽に匹敵する高密度の星で、弱々しい光を放っている。それまでに蓄えられた熱が宇宙に逃げていくからだ。

 もはや燃えていないので、時間と共にどんどんと冷えていくが、この過程で高圧化にある炭素原子などがゆっくりと整列(結晶化)していく。

 つまりダイヤモンドのような状態になるのだ。

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内部がダイヤモンド化(結晶化)する白色矮星を予想したイラスト図 / image credit:Travis Metcalfe & Ruth Bazinet, Harvard-Smithsonian Center for Astrophysicsダイヤモンド化により若く見える白色矮星 HD 190412 Cの内部で実際にダイヤモンド化(結晶化)が進んでいると言えるのは、年齢のわりに若く見えるからだ。


 四重連星HD 190412全体の年齢はおよそ73億年と推定されている。ところが、表面の温度から推定されたHD 190412の年齢は42億年だった。

 なぜHD 190412だけが31億年も若いのか? その秘密が結晶化にあると考えられるのだ。

 HD 190412の内部で結晶化が進むと、燃料などもうないはずのこの星が加熱される。この熱が、表面温度から推定される年齢をごまかしてしまう。つまり実際よりも若く見えるのだ。

 この若作りこそが、HD 190412がダイヤモンド化しているという証拠なのである。

 このような白色矮星で結晶化が進んでいる証拠が見つかったのは、今回が初めてであるとのことだ。

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地球のそばには他にもダイヤモンド星がある? だが地球の近くには、ダイヤモンドに変貌している星がほかにもあるかもしれない。

 たとえば、地球から見える太陽以外の星としてはもっとも明るいシリウスがある星系など、HD190412と似たような星系はほかにも見つかっている。

 ちなみに宇宙由来のダイヤモンド「エニグマ」の最低落札価格は約8億円だったが、巨大なダイヤモンド星の価格はいくらになるだろうか? 計算してみるのも一興だ。

 この研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に掲載される予定だ。
現在査読前論文のデータベース『arXiv
(2023年6月5日投稿)で閲覧することができる。

 「ダイヤモンドだね~、ああ~♪」と脳内であの曲が再生された昭和世代は私だけではないはずだ。

References:This collapsed star is turning into an gigantic diamond before our eyes | Space / written by hiroching / edited by / parumo

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