交通事故で首がほとんど切断された少年の頭部をつなぐ難しい手術に成功
 12歳の少年が自転車に乗っていた時、車にはねられ、首が切断されてしまった。頭蓋骨が首の付け根からほとんど切り離されている状態だったという。


 少年はすぐに病院に運ばれ大手術が行われた。生存確率は50%以下と深刻な状態だったが、難しい手術は無事成功した。

 イスラエルのハダサ医療センターの発表によれば、ハッサンくんはすでに退院し、普通に歩けるくらい回復したそうだ。

自転車に乗った少年が車にはねられ首の内部を切断 パレスチナのヨルダン川西岸地区で暮らすスレイマン・ハッサンくん(12歳)は、自転車に乗っているときに車にはねられ、ハダサ医療センターに搬送された。

 診察の結果、頭蓋骨の底を支えている靭帯が大きく損傷し、背骨の一番上から切り離されていることが判明した。

 医師による診断は「bilateral atlanto occipital joint dislocation」で、彼の頭は「首の付け根からほぼ完全に切断」された深刻な状態だったという。

 子供の場合、55%が生きられない大怪我で、ハッサンくんはまさに生死の境目をさまよっていたのである。

 手術チームの整形外科医オハド・エイナヴ氏は、「少年の命を救うために戦いました」と語る。

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難しい大手術が成功、奇跡的に命をとりとめる ハッサンくんにとって幸いだったのは、エイナブ氏が頚椎損傷の専門家だったことだ。

 bilateral atlanto occipital joint dislocationは、大人も含めてかなり珍しい症状だ。だがエイナヴ氏はカナダでのインターン時代にその手術を行ったことがあった。

 もう1つの幸運は、重要な血管が傷ついていなかったことだ。


 第三者であるニューヨーク大学ランゴン医療センターのマーク・シーゲル医師によると、この手術を成功させる鍵は、いかにして脳への血流を維持するかだったのだという。

 「話の内容からすると、主要な血管はおそらく切断されていなかった」と考えられるのだそうだ。

 手術は、数時間がかりで損傷した部分をプレートと固定具でつなぐという大手術だった。

 それでもハッサンくんは奇跡的にも命をとりとめ、無事退院することができた。なお手術自体は6月に行われたが、病院からの発表はつい先日のことだ。

 しかも後遺症らしきものもほとんどなく、補助がなくても普通に歩けるくらい回復しているそうだ。[画像を見る]  入院中、ハッサンくんの父親は、彼のそばを離れなかったという。父親は息子の命を救ってくれた医師団にこのように話している。
愛する一人息子を救っていただいたご恩は忘れません。皆さんに祝福を。見込みの低い危険な状態でしたが、みなさんのおかげで彼は命拾いしました。

彼を救ったのは、手術チームのプロ意識と技術、そして素早い決断力でした。
本当にありがとうございました
追記(2023/07/18)本文を一部修正して再送します。
References:Hadassah surgeons reattach boy's head to his neck after internal decapitation | The Times of Israel / Doctors reattach boy's head after car accident / written by hiroching / edited by / parumo

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