
アメリカ・フロリダ州フォートローダーデール郊外の小さなコミュニティで、ウサギが町を侵略中だ。いたるところにウサギがいる状態だという。
悪質な繁殖業者(ブリーダー)が引っ越しの際に、ウサギを不法に放ったことが原因で、今では60~100羽にも増え、地域を占拠しているのだ。
このウサギはライオンヘッドウサギと呼ばれるベルギーで種を交配して作られたペット用の種だ。その名の通りライオンのたてがみに似た毛を持つ。
とてもかわいいし、ペットとしても人気なのだが、町を占拠するほど増えすぎた。
フロリダ州は、外来動物による地元の野生動物への破壊的な習性がよく知られているだけに、増殖したウサギも早急に救助・保護することが望まれている。
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Freed rabbits take hold in Florida neighborhoodフロリダ州郊外で不法に放たれたウサギが大増殖 朝起きて外に出ると、そこには多くのウサギが飛び跳ねているという光景は、ファンタジーを感じるかもしれないが非現実的である。
そうした事態が実際に起こっているのが、フロリダ州・フォートローダーデール郊外ウィルトン・マナーズにある81世帯の小さなコミュニティ「ジェナダ・アイルズ」だ。
この地域には、野ウサギではなく、本来いないはずの外来種「ライオンヘッドウサギ(Lionhead rabbit)」が、推定60~100羽ほどあちこちにいるという。つまりは野放し状態だ。
その原因は、無計画な繁殖業者が引っ越しの際、ライオンヘッドウサギを十数羽を、その場で不法に放ったことで、その結果どんどん繁殖してしまった。
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ライオンヘッドウサギとは? ライオンヘッドウサギの原産地はベルギーで、スイスフォックスとドワーフ種、小型のアンゴラなどを交配させて作られた。
その名が示すように、ライオンのようなフサフサしたたてがみを持っているのが特徴だ。
1990年代にイギリスとアメリカでペットとしての人気が高まり、そこでさらに改良がなされた。毛並みの美しさだけでなく、社交的で人懐っこく、愛らしい性格で適応力も高い。寿命は飼育下で通常7~10年ほどと言われている。
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とてもかわいいウサギなのだが、それが100羽近く野放しの状況にいるとなると問題だ。ウサギを捕獲して保護する取り組み ライオンヘッドウサギは、フロリダの猛暑と、捕食者に囲まれた屋外での生活には適していない。
しかし、恐れを知らずで人を警戒しない彼らは、道を飛び跳ね、外の配線を齧ったり、人間に餌を求めたりしているという。
ジェナダ・アイルズの住民であるアリシア・グリッグスさんは、ウサギを保護し、避妊去勢し、ワクチンを接種し、良い家庭に譲渡するために必要な資金を集めるための活動を行っている1人だ。
グリッグスさんは、ウサギたちに餌を与えているが、早急な救出措置が必要だと認識している。毎日道路でウサギが車にひかれて死んでいるのを見るという。
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ライオンヘッドウサギ増殖問題の解決は容易ではない。
グリッグスさんは、「ウサギは一見可愛らしいペットと思われがちですが、実は複雑な消化器系を持っており、特別な食事が必要なのです」と語っている。
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ウィルトン・マナーズ市委員会は、害獣捕獲業者から8000ドル(約110万円)の見積もりを受け取った後、4月にウサギを駆除することを決議したが、今のところまだ実現していない。
この決議は、ライオンヘッドが穴を掘ったり、屋外の配線をかじったり、歩道や私道に糞を残したりするという一部の住民の苦情を受け、投票により決定された。
市委員らはまた、ウサギが近隣の地域社会や都市に広がり、主要道路に出れば交通上の危険につながることを指摘した。
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ウサギを捕獲して住み家を見つけるのは簡単なプロセスではないようだ。
イースト・コースト・ラビット・レスキューのモニカ・ミッチェルさんは、このように話している。
同委員会では、フロリダ州で在来種を絶滅させているビルマニシキヘビやミノカサゴ、庭を破壊するイグアナ、また家の漆喰を食べ、人間の病気を媒介する巨大なアフリカカタツムリへの対応が優先的であり、ウサギは野生動物にとって差し迫った脅威ではないからだ。
だがこれらの外来種も、ウィルトン・マナーズのライオンヘッドウサギ同様、人間が違法に放したことから始まった。
地元警察は、このように声明を出している。
屋外での寿命は過酷で短くなる傾向が高いという。
ライオンヘッドは分厚い毛皮のため、フロリダの夏はウサギにとっては暑くなり過ぎるのも短命にする理由の1つだ。
また、懐っこい性格のため、恐怖心の欠如によって捕食者に狙われやすくなる。芝生をむしゃむしゃ食べるのは健康的な食事ではなく、所有者が必要なのだ。
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「外に放たれたウサギは、自力で繁栄する能力を備えていない」と、米国ウサギ飼育者協会のエリック・スチュワートさんは言うが、ウサギは増え続けている。
メスが生後3か月ほどで毎月2~6羽の子を産むからだ。
地域では、2羽~10羽のウサギの子供を抱いた親ウサギが、道や芝生に点在し、勇敢なウサギたちは食べ物を求めて、住民や地域外からの訪問者に飛びついて行く。
地域住民は賛否両論いろいろで、住民の1人であるゲイター・カーターさんは、次のように話している。
References:Fuzzy invasion of domestic rabbits has a Florida suburb hopping into a hunt for new owners/ written by Scarlet / edited by parumo
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悪質な繁殖業者(ブリーダー)が引っ越しの際に、ウサギを不法に放ったことが原因で、今では60~100羽にも増え、地域を占拠しているのだ。
このウサギはライオンヘッドウサギと呼ばれるベルギーで種を交配して作られたペット用の種だ。その名の通りライオンのたてがみに似た毛を持つ。
とてもかわいいし、ペットとしても人気なのだが、町を占拠するほど増えすぎた。
フロリダ州は、外来動物による地元の野生動物への破壊的な習性がよく知られているだけに、増殖したウサギも早急に救助・保護することが望まれている。
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Freed rabbits take hold in Florida neighborhoodフロリダ州郊外で不法に放たれたウサギが大増殖 朝起きて外に出ると、そこには多くのウサギが飛び跳ねているという光景は、ファンタジーを感じるかもしれないが非現実的である。
そうした事態が実際に起こっているのが、フロリダ州・フォートローダーデール郊外ウィルトン・マナーズにある81世帯の小さなコミュニティ「ジェナダ・アイルズ」だ。
この地域には、野ウサギではなく、本来いないはずの外来種「ライオンヘッドウサギ(Lionhead rabbit)」が、推定60~100羽ほどあちこちにいるという。つまりは野放し状態だ。
その原因は、無計画な繁殖業者が引っ越しの際、ライオンヘッドウサギを十数羽を、その場で不法に放ったことで、その結果どんどん繁殖してしまった。
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ライオンヘッドウサギとは? ライオンヘッドウサギの原産地はベルギーで、スイスフォックスとドワーフ種、小型のアンゴラなどを交配させて作られた。
その名が示すように、ライオンのようなフサフサしたたてがみを持っているのが特徴だ。
中型のウサギで、成獣の体長は約25~30cm、体重約2~3kgほど。様々な毛色を持っている。
1990年代にイギリスとアメリカでペットとしての人気が高まり、そこでさらに改良がなされた。毛並みの美しさだけでなく、社交的で人懐っこく、愛らしい性格で適応力も高い。寿命は飼育下で通常7~10年ほどと言われている。
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とてもかわいいウサギなのだが、それが100羽近く野放しの状況にいるとなると問題だ。ウサギを捕獲して保護する取り組み ライオンヘッドウサギは、フロリダの猛暑と、捕食者に囲まれた屋外での生活には適していない。
しかし、恐れを知らずで人を警戒しない彼らは、道を飛び跳ね、外の配線を齧ったり、人間に餌を求めたりしているという。
ジェナダ・アイルズの住民であるアリシア・グリッグスさんは、ウサギを保護し、避妊去勢し、ワクチンを接種し、良い家庭に譲渡するために必要な資金を集めるための活動を行っている1人だ。
グリッグスさんは、ウサギたちに餌を与えているが、早急な救出措置が必要だと認識している。毎日道路でウサギが車にひかれて死んでいるのを見るという。
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ウサギたちは、保護される必要があります。繁殖したウサギの問題を解決するのは難しい しかし、このままではウサギの数はますます増えてしまう。私たちは、市にそれをやってもらいたかったのですが、彼らは応じてくれません。
市当局は、ウサギたちをイグアナなどの他の外来種同様、駆除しようと考えているのです。
ライオンヘッドウサギ増殖問題の解決は容易ではない。
グリッグスさんは、「ウサギは一見可愛らしいペットと思われがちですが、実は複雑な消化器系を持っており、特別な食事が必要なのです」と語っている。
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ウィルトン・マナーズ市委員会は、害獣捕獲業者から8000ドル(約110万円)の見積もりを受け取った後、4月にウサギを駆除することを決議したが、今のところまだ実現していない。
この決議は、ライオンヘッドが穴を掘ったり、屋外の配線をかじったり、歩道や私道に糞を残したりするという一部の住民の苦情を受け、投票により決定された。
市委員らはまた、ウサギが近隣の地域社会や都市に広がり、主要道路に出れば交通上の危険につながることを指摘した。
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ウサギを捕獲して住み家を見つけるのは簡単なプロセスではないようだ。
イースト・コースト・ラビット・レスキューのモニカ・ミッチェルさんは、このように話している。
ウサギを治療する獣医師はほとんどおらず、多くの将来の飼い主は、ライオンヘッドウ サギのお世話にどれだけの労力を必要とするかを知ると敬遠します。ライオンヘッドウサギの長い毛は定期的なケアを必要とし、運動のためのスペースや、安全で刺激的な環境を提供することも大切だ。
野生生物保護委員会の介入はなし 一方で、フロリダ州魚類野生生物保護委員会は、外来動物の殺処分を頻繁に行っているが、ライオンヘッドにおいては市に対し介入しないと通告した。
同委員会では、フロリダ州で在来種を絶滅させているビルマニシキヘビやミノカサゴ、庭を破壊するイグアナ、また家の漆喰を食べ、人間の病気を媒介する巨大なアフリカカタツムリへの対応が優先的であり、ウサギは野生動物にとって差し迫った脅威ではないからだ。
だがこれらの外来種も、ウィルトン・マナーズのライオンヘッドウサギ同様、人間が違法に放したことから始まった。
地元警察は、このように声明を出している。
これらのウサギの安全は重要であり、市が積極的に動き、必要なケアと愛情を提供する情熱を持つ人々の手に渡されるべきでしょう。地域住民らはウサギについて賛否両論 専門当局が、ライオンヘッドの保護に緊急を要していないとはいえ、フロリダの環境はライオンヘッドにとって友好的ではない。
屋外での寿命は過酷で短くなる傾向が高いという。
ライオンヘッドは分厚い毛皮のため、フロリダの夏はウサギにとっては暑くなり過ぎるのも短命にする理由の1つだ。
また、懐っこい性格のため、恐怖心の欠如によって捕食者に狙われやすくなる。芝生をむしゃむしゃ食べるのは健康的な食事ではなく、所有者が必要なのだ。
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「外に放たれたウサギは、自力で繁栄する能力を備えていない」と、米国ウサギ飼育者協会のエリック・スチュワートさんは言うが、ウサギは増え続けている。
メスが生後3か月ほどで毎月2~6羽の子を産むからだ。
地域では、2羽~10羽のウサギの子供を抱いた親ウサギが、道や芝生に点在し、勇敢なウサギたちは食べ物を求めて、住民や地域外からの訪問者に飛びついて行く。
地域住民は賛否両論いろいろで、住民の1人であるゲイター・カーターさんは、次のように話している。
毎朝私道にウサギが集まってくるので、2人の幼い孫は人参を喜んであげています。しかし、別の住人ジョン・キングさんは、ウサギへの早急な措置を望んでいる。
他の人も車で通りかかっても、車を止めてウサギに餌を与えたりしてかわいがっています。
彼らは私を悩ませません。この地域にはAirbnbがいくつかあり、外からやってくる宿泊客たちは、路上でウサギがすぐに近づいてくることに、ただ驚いていますよ。
ウサギをすぐに保護して欲しい。ウサギは庭を掘り、配線を齧ったんだ。だから損傷した屋外照明の修理に、我が家は200ドル(約28000円)を費やしたんですよ。目下、この問題は議論中である。
ウサギ除けを購入したけれど、効果はなかった。飼い犬は小さいから、ウサギはまったく恐れていないしね。なんだかウチの犬と親友みたいになってますよ。
毎朝、私が起きて最初にやることは、穴を塞いで裏庭からウサギたちを追い出すことです。
私はウサギが好きですが、できればどこか別の場所に行ってくれればいいのにと思っています。救出できれば、素晴らしいですね。
References:Fuzzy invasion of domestic rabbits has a Florida suburb hopping into a hunt for new owners/ written by Scarlet / edited by parumo
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